原田大二郎
山田道夫
地方から上京した少年が大都会の非情なメカニズムの車輪に巻きこまれ、次第に脱落し、ふとしたはずみで殺人を犯すという事件を素材にした、近代映協創立二十周年記念映画。脚本は「かげろう」の関功と松田昭三、監督は脚本にも参加している「かげろう」の新藤兼人、撮影は同作の黒田清巳がそれぞれ担当。
山田タケは明治の末年北海道で生まれ、青森県細柳で成人した。リンゴ園の渡り職人と結婚し、次々と子供を生んだが、妻子を顧みない夫のために喰いつめ、一家は北海道網走に渡った。貧苦の中で八人の子供を生み、離婚して再び細柳に帰って来た。タケは魚の行商をして子供たちを育て、やがて成長した子供たちは都会へと巣立っていった。七人目の道夫も四年前希望に胸をふくらませ、集団就職で上京したが、大都会の孤独に耐えきれず、勤め先のフルーツパーラーをやめた。それからの道夫は、勤め口を転々として、脱落の一途をたどった。彼には最早いくべきところがなかった。道夫を支えるものは、かつて横須賀米軍基地から盗んだ、ずっしりと手応えのある拳銃だけだった。夜更けの都会をさまよう道夫は、華やかな明るさにひかれるようにホテルの庭に忍びこんだが、不意にガードマンに襟首をとらえられ、無我夢中で引き金を引いた。殺人は想像を絶する簡単さでなされてしまった。道夫は京都に逃れたが、衝動的に八坂神社のガードマンを射殺し、北海道に渡った。道夫は生まれ故郷で自殺を企てたが果せず、帰りの旅費欲しさに函館のタクシー運転手を殺した。そして数日後、名古屋に現われての第四の殺人。今度も犠牲者はタクシーの運転手だった。金を求めて、深夜のオフィスに忍びこみガードマンに発見されたが、発砲して一旦は逃れたものの、明け方歩行中をパトカーの警官に訊問され、ほとんど無抵抗で逮捕された。
山田道夫
山田タケ
山田初子
山田義郎
山田半次郎
権堂先生
校長
林咲枝
労務者
佐々木フジ
婦長
やくざ
病院の事務員
更生審議会副会長
民生委員
義郎の妻
米屋の主人
その妻
安宿の婆さん
中年の男
賭博師
刑事
りんご園の人夫
大西
野川
少年院院長
友人
朝顔
ガードマン
網走の大家
監督、脚本
脚本、助監督
脚本
ナレーション
製作
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
スチール
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