小沢弘治
赤間勝美
松川事件の赤間勝美被告の自白供述書、第一審、第二審の公判記録を主体に、新藤兼人・山形雄策が共同で脚本を執筆、「武器なき斗い」の山本薩夫が監督したもの。撮影は佐藤昌道が担当した。なお、製作資金四千五百万円はカンパによって調達された。
福島の街はまだ眠りに包まれていた。二つの影が冷くいかめしい地区警察署に吸いこまれていった。一人は本間刑事、一人は十九歳のチンピラ青年赤間勝美。東北本線金谷川駅と松川駅間で上り旅客列車の脱線転覆事件があってから一カ月近くたった昭和二十四年九月十日のことである。その日から、激しい赤間取調べが始まった。否認を続ける赤間に、組合幹部への憎しみと恐怖心をあおりたてる果てしない拷問。赤間の瞳は次第に焦点を失っていった。警察官、検察官によってあらかじめ用意されたウソの供述書を筋書通りに作らされた。この“赤間自白”をもとに、国鉄労組から十名、東芝労組から十名が次々と逮捕された。その年の十二月五日、福島地方裁判所で第一回公判が開かれた。赤間は冒頭から警察での自白をひるがえし、無実を主張した。公判は回を重ねるにつれ、この事件をめぐる警察、検査側の陰謀を明らかにしていった。昭和二十五年十二月六日、死刑五名、無期懲役五名、残る十名に長期刑という判決。裁判は被告たちの考えたほど甘いものではなかった。昭和二十八年十二月二十二日、仙台高等裁判所における第二審判決の日がきた。三名をのぞいて全員有罪。判決文というより、検事の最終論告そのものだった。裁告たち、弁護人団は怒りにふるえた。佐藤一被告がトラックの上に立ち、被告団声明を読みあげた。拍手が起り、「真実の勝利のために」の歌声が起った。
赤間勝美
杉浦三郎
佐藤一
鈴木信
本田昇
二宮豊
阿部市次
太田省次
佐藤代治
加藤謙三
二階堂武夫
大内昭三
小林源三郎
菊地武
武田久
斎藤千
岡田十良松
浜崎二雄
高橋晴雄
二階堂園子
岡林弁護人
大塚弁護人
梨木弁護人
袴田弁護人
上村弁護人
袴田特別弁護人
吉田部長
司検事
藤木裁判長
玉田警視
守屋署長
幸田牧師
園子の母タニ
武田の母シモ
高橋の妻キイ子
太田の妻抗子
斎藤の母すみ
寺尾裁判長
原刑事
赤間の兄博
阿部の父
本間刑事
井口証人
神斎刑事
赤間の父有治
赤間の祖母ミナ
パン屋の主人
鈴木セツ
大原美枝子
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