オリヴァー・リード
Hugh Lambard
砂漠の中にある宮殿に集まってきた10人の招待客たちが、やがて〈マザーグースの歌〉の内容と同じように一人ずつ殺されてゆくというミステリー映画。製作はハリー・アラン・タワーズ、監督は「らせん階段」のピーター・コリンソン。アガサ・クリスティの原作を基にピーター・ウェルベックが脚色。撮影はフェルナンド・アリバス、音楽はブルーノ・ニコライ、編集はジョン・トランパーが各々担当。出演はオリヴァー・リード、リチャード・アッテンボロー、エルケ・ソマー、ゲルト・フレーベ、アドルフォ・チェリ、ステファーヌ・オードラン、シャルル・アズナヴール、ハーバート・ロム、アルベルト・ド・メンドーサ、マリア・ローム、オーソン・ウェルズ(声)など。
砂漠の中に建てられたペルセポリスの宮殿に大型ヘリコプターが到着した。将軍サルヴェ(アドルフォ・チェリ)、女優のイローナ・モルガン(ステファーヌ・オードラン)、医師アームストロング(ハーバート・ロム)、歌手ミシェル・ラヴェン(シャルル・アズナヴール)、秘書ヴェラ・クライド(エルケ・ソマー)、ヒュー・ロンバード(オリヴァー・リード)、高等法院の判事アーサー・キャノン(リチャード・アッテンボロー)、刑事ウィルヘルム・ブロア(ゲルト・フレーベ)の8人が降り立つが、彼らと、この宮殿の召使い夫婦、オットー(アルベルト・ド・メンドーサ)とエルサ(マリア・ローム)の計10人は互いに初対面同士だった。宮殿には、招待主の姿はなく、なぜそこに招待されたかの理由もわからないまま、その日の晩餐会が始まった。テーブルの中央には10個のインディアン人形が置かれ皆の目をひいた。食後、ミシェルが、ピアノの弾き語りを始めると、どこからともなく無気味な声(オーソン・ウェルズ)が流れてきた。“私はU・N・オーエン”と語る声は、次に、ここに集まった10人の過去のあやまちを告発した。それによるとサルベ将軍は部下の五人の兵士を死に追いやり、イローナは夫を殺し、アームストロングは手術のミスで人を死なせ、判事は無実の人間にそれと知って有罪の判決を下し……。一転して狼狽の表情をうかべる人々。気分を取り戻そうとミシュルが〈マザーグースの歌〉を歌いはじめた。“10人のインディアンの子供、ごはんを喰べて一人が喉をつまらせ9人になり、……”その歌を歌い終わり酒を飲みほした彼は、突然バッタリと倒れた。酒に毒が入っていたのだ。そして10個あったインディアンの人形が9個になっていた。恐怖におののく人々をよそに、脱出不可能のこの土地で、〈マザーグースの歌〉どうりに殺人がすすんでいった。ミシュルに統いて、エルサがペルシャ人の処刑方法で殺され、続いて将軍、脱走を試みたマルティーノ……と犠牲者が続いた。オーエンとは誰なのか。この10人の中にオーエンがいることを悟った残りの人々。そして遂にヴェラとロンバートの二人だけが残った。しかし、この二人は他の人々とは少し事情が違っていた。ヴェラが夫を殺したのではなく、殺したのは妹で、彼女は妹をかばったのだった。そしてロンバートは、実は、ロンバートではなく、ロンバートの親友だった。ロンバートが自殺したので、彼がかわりに招待状をもってやってきたのであった。もちろん、そのことはオーエンの計算外のことだ。しかし、二人だけが残った今となっては、お互い、相手をオーエンと思うしかない。だが、実際にはもう一人の人物が残っていた。死んだと思われていた判事だ。実はオーエンの正体は彼だった。罰せられない罪をせおった人々を集め、心臓を病んで余命いくばくもない彼は、それぞれの人間に戒めを与ようとしたのだった。罰せられる必要のない二人に、全てを告白した判事はそのまま発作を起こし息絶えるのだった。
Hugh Lambard
Judge Cannon
Vera Clyde
Wilhelm Blore
General Salve
Ilona Morgan
Michel Raven
Doctor Armstrong
Otto Martino
Elsa Martino
U. N. Owen (Voice)
監督
原作
製作
撮影
音楽
編集
脚色
字幕監修
[c]キネマ旬報社