ベニスに死す|MOVIE WALKER PRESS
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ベニスに死す

1971年10月2日公開,131分
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純粋な美の具現と思えるような美少年に、魅入られた芸術家の苦悶と恍惚を描いた作品。製作総指揮はマリオ・ガッロ、製作・監督はルキノ・ヴィスコンティ、脚色はルキノ・ヴィスコンティとニコラ・バダルッコ、原作はトーマス・マン、撮影はパスカリーノ・デ・サンティス、音楽はグスタフ・マーラー(第3・第5交響曲より)、衣装デザインはピエロ・トージが各々担当。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

1911年のヴェニス(ヴェネチア)。ドイツ有数の作曲家・指揮者であるグスタフ・アシェンバッハ(ダーク・ボガード)は休暇をとって、ひとりこの水の都へやってきた。蒸気船やゴンドラの上で、さんざん不愉快な思いをしたアシェンバッハは、避暑地リドに着くと、すぐさまホテルに部屋をとった。サロンには世界各国からの観光客があつまっていた。アシェンバッハは、ポーランド人の家族にふと目をやった。母親(シルヴァーナ・マンガーノ)と三人の娘と家庭教師。そしてアッシェンバッハは、母親の隣りに座った一人の少年タジオ(ビヨルン・アンデルセン)に目を奪われた。すき通るような美貌と、なよやかな肢体、まるでギリシャの彫像を思わせるタジオに、アシェンバッハの胸はふるえた。その時からアシェンバッハの魂は完全にタジオの虜になってしまった。北アフリカから吹きよせる砂まじりの熱風シロッロによってヴェニスの空は鉛色によどみ、避暑にきたはずのアシェンバッハの心は沈みがちで、しかも過去の忌わしい事を思い出し、一層憂鬱な気分に落ち込んでいった。ますます募るタジオへの異常な憧憬と、相変らず重苦しい天候に耐え切れなくなったアシェンバッハは、ホテルを引き払おうと決意するが、出発の朝、朝食のテーブルでタジオを見た彼の決意が鈍る。だが駅に着くと、自分の荷物が手違いでスイスに送られてしまったため、アッシェンバッハはすぐにホテルに引き返した。彼の心は、タジオと再会できる喜びでうちふるえていた。彼はもう、タジオへの思いを隠そうともしなかった。タジオの行く所には、常にアシェンバッハの熱い眼差しがあった。タジオもそのことに気づき始めているようだ。しかしこの頃、ヴェニスには悪い疫病が瀰漫しはじめていたのだ。街のいたる所に、消毒液の匂いが立ちこめ、病いに冒され、黒く痩せ衰えた人々が、行き倒れになっていた。しかし、観光の街ヴェニスにとって旅行者に疫病を知られることは死活問題であり、地元民はそれをひた隠しにした。そのことを何とか聞き出したアシェンバッハは、それが真性コレラであることを知った。それでも彼はヴェニスを去ろうとはしなかった。彼は身も心もタジオの姿を追い求めて彷徨っていた。タジオのために、化粧をほどこし、若づくりをするアッシェンハッハだったが、コレラに冒され、極度の精神的疲労も加わり、彼の肉体は急速に衰えていった。浜辺の椅子にうずもれたアシェンバッハの目に、タジオのあの美しい肢体が映った。海のきらめきに溶け込んでゆくかの如きタジオの姿に、アシェンバッハの胸ははりさけんばかりとなる。そうして最後の力をふり絞って差しのべた手も力尽き、アッシェンバッハは、タジオの姿を瞳に焼き付けながら、遂に息絶えるのだった。

作品データ

原題
Death in Venice
映倫区分
G
製作年
1971年
製作国
イタリア フランス
配給
ワーナー・ブラザース
上映時間
131分

"DEATH IN VENICE [c] 1971 Alfa Cinematografica S.r.l. Renewed 1999 Warner Bros., a division of Time Warner Entertainment Company, L.P. All Rights Reserved." [c]キネマ旬報社

  • rikoriko2255

    みるみる

    3.0
    2019/7/21

    半世紀前の作品ですがあえて詳しいストーリーを見ないようにして鑑賞しました。
    いやはや大変な芸術的作品だったんですね。美少年に心奪われる男性のもっと直接的な表現があるのかと思っていたら妄想で髪を撫でる以外では声もかけていないなんて。美少年も思わせぶりに微笑み目を合わせるのに最後まで接触無し。「そんな笑顔を他人に見せるな」とつぶやく主人公の胸の高鳴りが聞こえてきそうです。
    主人公と友人との美や芸術に対する論争はとても重要でした。心と体を病んだ主人公が神に選ばれた様な美しさのタジオにすべてを奪われてしまうわけですが、彼に出会えたことは主人公を癒し浄化したと思います。それと同時に美しい物と醜い物、生と死の狭間で行き来する人間の嫌らしさも垣間見えました。
    世界一の美少年と呼ばれたビヨルン・アンデルセンのタジオの美しさに心酔する映画ですが、音楽、衣装(特にご婦人方の帽子!)、ラストの海辺のシーン等とても素晴らしい映画です。2時間以上ありますがあっという間でした。
    15歳でこの映画に出演したビヨルン・アンデルセンは役柄のせいか随分苦労されたようで彼にとってこの映画が人生を激変させたのは間違いなく、良かったのか悪かったのか複雑な思いもしました。

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  • rikoriko2255

    マーティン

    3.0
    2006/12/10

    先日NHK‐BSで放送されたものをビデオに撮って今回観てみました。
    老音楽家のバカンス地での出来事と出会い、美少年に魅入ってしまい自らも顧みず死んでいってしまう物語です。
    妻子とも死別(?)し、音楽会も失敗し、心臓も悪くなって自分の限界を知った老音楽家がバカンスのためベニスにやってきた。
    そこで若くて美しい美少年に出会った。老音楽家はこの世のものとは思えない美に魅入ってしまい、彼を追い求め注視していくのである。
    彼を自分にはない若さと、芸術家としての美の対象として見ていたのである。

    やがてコレラが蔓延し、老音楽家も病に冒され死んでいくのである。
    もちろん美少年一家は無事であった。

    台詞が極端に少なく、老音楽家を追って撮影したドキュメンタリーのようでもあります。
    老人と美少年との対比、美に魅入られた老人と醜さ。
    世間ではこういう人はあまりいないとは思いますが、こういう人もいるのだなあと思わせる作品です。

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