サレムの魔女
サレムの魔女
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サレムの魔女

1958年10月23日公開
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「セールスマンの死」の劇作家アーサー・ミラーの原作戯曲「るつぼ」を、「賭はなされた」でシナリオを書いているジャン・ポール・サルトルが脚色、仏演劇界の重鎮レイモン・ルーローが監督した作品。ルウローは一九五四年にこの原作をマルセル・エーメの訳によって、パリのサラ・ベルナール座で上演、成功をおさめている。十七世紀のアメリカ・マサチューセッツのサレムに実際に起った事件に材をとった魔女狩りの物語。撮影監督は「恋多き女」のクロード・ルノワール。音楽はハンス・アイスラー。主演するのは仏舞台初演の際に同じ役をつとめた「人間と狼」のイヴ・モンタンと、「悪魔のような女」のシモーヌ・シニョレ。その他に「悲しみよこんにちは」のミレーヌ・ドモンジョ、「殺人鬼に罠をかけろ」のジャン・ドビュクールとアルフレ・アダン、アレクサンドル・アストリュック監督の「女の一生」に出ている新人パスカル・プティ、「スパイ」のピエール・ラルケ、監督のルウロー自身、「居酒屋(1956)」のシャンタル・ゴッジ等が出演する。製作シャルル・ボルドリー。

ストーリー

十七世紀の末、北米マサチューセッツの清教徒達は厳しい戒律に縛られた日々を過していた。日曜日に幼い一人娘ファンシーから人形までとりあげ安息を強制する妻エリザベス(シモーヌ・シニョレ)の態度に、サレムの町の農夫ジョン(イヴ・モンタン)は疑問を抱いていた。しかも、妻は肉欲を悪としてしりぞけ、彼と寝室を共にしようとしなかった。若く健康な彼の本能は、若い女中のアビゲール(ミレーヌ・ドモンジョ)に、はけぐちを求めた。しかしこの現場は妻の知るところとなり、アビゲールは家を追われた。アビゲールは叔父の牧師パリスの許におちついたが、一七歳の彼女のジョンへの思いは、妻エリザベスへの激しい憎悪に変った。その頃、サレムの町に奇妙な事件が起った。牧師の家の黒人奴隷女チチュバが、夜の森の中で奇妙な呪術を行い、牧師の娘ベティや、ジョンのもう一人の女中メアリ等を集めて踊り狂っているのを、牧師パリスに発見されたのである。牧師はこれを魔女のしわざとして、ボストンから総督ダンフォースを呼んで魔女狩りにのりだした。アビゲールはこれを利用して、自身悪魔にとりつかれたふりを装って、少女達を煽動して自分達を受難者とふれ歩き、自らは聖女と名のって、エリザベスをこの事件の張本人の魔女として告発した。その他にも多くの人達が魔女として逮捕された。魔女は、絞首刑に処されるのが昔からの定めである。妻をとらえられたジョンは、法廷で過去のアビゲールとの密通の事実を告白し、彼女が妻を憎んで、魔女として告発したのであることを証言した。しかし、エリザベスは夫の名誉を考えてその事実を否定した。その上、アビゲールの脅迫におびえた女中のメアリが、ジョンを悪魔の手先と叫んだことから彼もその場で逮捕された。サレムは恐怖の町となった。町はアビゲールを中心とした数人の少女の手中に握られ、人人は次々と逮捕された。町の人々は、やっとこの魔女狩りが、権力者の策略でもあることに気づいてきた。反抗の空気が彼等の間に広まってきた。四カ月がすぎて、ジョン達にもやがて絞首刑執行の日がやってきた。アビゲールは苦悩するジョンを獄舎におとずれて、媚態をみせて彼に罪を認めることを強いた。そうすることが、権力者達に助命を認めさせる唯一の方法だった。一度はアビゲールの魅力に敗れたジョンだったが、今は夫への本然の愛に目ざめたエリザベスの愛情が、彼を正気にかえした。絞首台の前には無実のジョン達を奪回するために町の人々が集って来たが、総督は内庭に別の絞首台を設けて刑を執行した。ジョンは、自分が死ぬことによって、立上った人々の手で自由がとりかえされるだろうことを信じて、死んでいった。彼の死体をとりかえした町の人々の葬列は、長く丘の上をどこまでも続いた。

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作品データ

原題
Les Sorcieres de Salem
製作年
1957年
製作国
フランス
配給
東和
初公開日
1958年10月23日
製作会社
パテ・シネマ


[c]キネマ旬報社