ゴルダー:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
ゴルダー
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ゴルダー

1930年公開
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「にんじん」「商船テナシチー」を作ったジュリアン・デュヴィヴィエの第一回トーキー作品で、イレーヌ・ネミロフスキーの評判の小説をデュヴィヴィエ自身が脚色ならべに台詞づけて映画化したものである。主役は「にんじん」のアリ・ボールで、主なる助演者は舞台出のポール・アンドラル、「西部戦線一九一八年」のジャッキー・モニエ、「ラテン街の屋根裏」のガストン・ジャッケ、「ムーラン・ルージュ」のジャン・ブラダン、など。なお「外人部隊(1933)」のカミーユ・ベール、ジャン・コクラン、ジャック・グレティラ、シャルル・ゴールドブラット等も出演している。撮影は「パリ祭」のジョルジュ・ペリナール、「にんじん」のアルマン・ティラールの二人がワルターを補佐として協力担任した。

ストーリー

ダヴィッド・ゴルデルは今こそ世界にその名の高い実業家であるが、その昔を訪ねればポーランドのクレメネツに生れた一介の貧しいユダヤ人だった。彼は若い時に青雲の志を抱いて郷里を出た。それから数十年というもの彼はひたすらに働いた。そして今では屈指の実業家になっている。ゴルデルが助けないために、同じユダヤ人の実業家マルキュスが絶望の余り自殺した時、噛んで吐き出す様に、ばかめ破産した位で死ぬのか、何故やり直さないんだ、と言った彼だったが、そのゴルデルも今では疲れているのだ。心臓も弱っている。数十年間の過度の労働は彼の体を壊したからである。で、彼は暫く仕事を休んで静養のためビアリッツの己の別荘に赴いた。ビアリッツにはゴルデルの地上の愛を一つに集めた娘のジョイスがいる。ジョイスに会うのが彼の楽しみなのである。だが、ジョイスや妻のグロリヤにとっては、ゴルデルは唯の金を儲ける機械でしかなかった。ビアリッツの別荘には迎かれて来た客が一杯にいてそれがゴルデルの金を費い尽くしていた。そして妻も娘も彼の顔を見ると、すぐ金をせびって執拗に追って来た。しかし、このグロリヤとは何者なのか、ゴルデルにとってはこの女は終生の敵なのである。彼女は彼から健康を奪った、金を盗んだ。今でこそ宝石に飾られてグロリヤと名乗っているが、昔を洗えばこの女もユダヤの卑しい娘ハヴケなのだ。それからジョイスも放埒な仕様のない娘である。彼女は贅沢三昧に暮し今ではロシヤから亡命して来たアレキシスというプリンスと恋仲になっているが、プリンスとスペインに旅行したい為めに、ゴルデルに新しい自動車をねだるのだ。彼女の為めに彼はカジノで徹夜してバカラをやった。そして金を儲けた。だが、この結果、ゴルデルは心臓を一層傷けて病の床についた。彼が重態だと知るとグロリヤは、いま死んではならぬ何とか後始末をしてから死ね、とゴルデルの枕辺に来て彼を責めた。それから二人の間に激しい口論が起きた時、ゴルデルは妻の口からジョイスは彼の娘ではない、いつもこの家に出入りしているオヨスとの間に生まれた娘だという事を聞かされた。ゴルデルは脳天をブチのめされた気がした。彼はもう世の中に望みはなくなった。彼はビアリッツの別荘を売りパリに帰ると、家財道具も売り飛ばし大きな家に一人で住んだ。市場ではゴルデルの株が下って関係銀行が一つ二つ潰れたが、ゴルデルにとっては、そんな事はもうどうでも良かった。ところが或る夜、思いがけなく娘のジョイスが訪ねて来て、金がないためにアレクシスとの恋が成らず、卑しい老人のフィシェルと金銭結婚をしなければならなくなった、私を可哀想と思うなら助けてくれ、と泣きじゃくりながら訴えて来た。ジョイスは事実どうあろうとも世間ではゴルデルの娘である、それがフィシェルに金で買われるのだ、そう思った時にゴルデルは自尊心からの憤怒と、ジョイスへの可愛さに再び立ち上った。もう一切手は触れぬと思った商売へ娘を助けるために最一度乗り出して行く決心を固めた。だが、体が弱っていたゴルデルにはこれが最後の取引かも知れない、それは彼も覚悟の上だった。ゴルデルは前々から申込のあったソヴエトとの石油取引のためにテイスクに赴いた。数週間のソヴエト代表との激しい交渉は彼の体をすっかり打ち砕いたが、それでも彼は有利な契約を結ぶ事に成功した。これでジョイスの将来の幸福は約束された。かくて黒海を船で帰国の途についた時、彼は霧で一杯の船上で、欧米へ出稼ぎに行くユダヤの人々に昔の己の姿を見た。そして彼は小さな船室の中で唯一人野良犬の様に死んで行った。

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作品データ

原題
DAVID GOLDER
製作年
1930年
製作国
フランス
配給
東和商事
初公開日
1930年
製作会社
ヴァンダル・エ・ドウラック


[c]キネマ旬報社