忘却の砂漠へ:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
忘却の砂漠へ
忘却の砂漠へ
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忘却の砂漠へ

1938年公開
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「背信」「南方飛行」のシャルル・ヴァネル、「最後の戦闘機」「みどりの園」のジャン・ピエール・オーモン及び新顔のマルタ・ラバールが主演するフランスのA・C・E配給映画で、「地中海」「巴里の唄」のジャック・ド・バロンセリが監督に当ったもの。ストーリーはエリック・ユレルの原案に基いて「ジェニイの家」「望郷(1937)」の脚色者ジャック・コンスタンが書卸し、劇作家のミシェル・デュランが脚色して台詞をつけ、ドゥ・バロンセーリが自らコンティニュイティを作製した。撮影は「ジプシー男爵」「青春の海」のギュンター・リッタウが、音楽は「南の誘惑(1937)」のロタール・ブリューネが、それぞれ担当している。助演俳優は「地中海」「ミゼラブル」のポール・アザイス、「最後の戦闘機」「自由を我等に」のレイモン・コルディ、「美しき青春」のルネ・ダリー、新顔のボリス・アレキン、「巴里の屋根の下」のビル・ボケッツ、その他ジョルジュ・ランヌ、ニルダ・デュプレッシー、アンドレ・ランディアという顔ぶれである。

ストーリー

サハラ砂漠の真只中に、絶海に忘れられた小孤島に似た小さな駅がある。サハラ砂漠横断自動車会社の第三ポストだ。ここに住む五人の男は、時たま砂漠を横断する旅客にガソリンを補給し、車両の修繕をなし、道を誤った人々の救助に駆けつける等、人命を預かる重大な任務を担っているのだが、それ以外の生活は堪え難い単調と孤独に包まれたいた。然し彼らは或は過去を忘れるため、或は冒険に憑かれてここを選んだ人達だった。所長は「狼」という綽名で呼ばれる男である。彼は自分の過去の事は一つも語らなかった。ロシア人のイヴァンは外国人部隊で沢山の勲章を貰ったのが自慢のアルコール中毒者、快活なボビーは警察の眼を逃れて来た青年、ドリニは繊細な感情の持主、若いポールは冒険を求めて来た無電技師、そしてパリの夢ばかり描いているトラック運転手シャルルは、糧食や必需品を運搬して南方のユーメイと此処との間を往復している。或る日、北方から砂漠を横断して来た若く美しい女、エレーヌ・ミュリエル夫人が此のポストの近くで車輪を砂に埋められた。ポールはそれを助けて来た。女の出現でポストは異常にはしゃいだが、所長の「狼」一人は一室に閉じこもって姿も見せなかった。ポールはその夜彼女と砂漠を歩いた。若い彼は狂気のように彼女を恋したが、次の日女がユーメイへ出発する時、「狼」はポールが送って行くのを許さなかった。そしてドリニがシャルルの車で町まで送ったが、彼はそのまま熱帯の女ドリイと新しい生活を求めて何処へか行方をくらましてしまい、遂に砂漠のポストへは帰らなかった。数日後附近で遭難した車があった。それはボビーを逮捕に来た警官の車であったが、とは知らぬボビーは車の修繕が出来ると、逮捕されるとも気づかず、自由の天地へ行くのだと有頂天に喜んで警官の車に乗せられて行った。ポールはエレーヌはユーメイを去ったものと信じている「狼」の許しを得て町へ行った。エレーヌは一行が野獣狩に行った後も一人で残っていた。楽しい一週間を過したポールは、会社へ辞表を提出して彼女と新生活に入ろうと決心した。「狼」は彼の帰りが遅いので、遂に町へ出て来た。エレーヌは初めて「狼」の顔を見ると気も失わんばかりに驚いた。「狼」はエレーヌの昔の夫であった。心驕れる彼女の為に、「狼」は凡ゆるものを犠牲にし、しかも裏切られて殺人未遂さえも犯したのだった。彼はポールに自分と同じ道を踏ませたくなかったのだ。ポールを連れて行くならお前の命を奪ってやる、「狼」は断固としてエレーヌにそう告げるとポールを連れてポストへ帰った。何も知らぬポールは、二週間後に砂漠へ訪ねるというエレーヌの言葉を信じて待ったが彼女は現われなかった。恋に理性を失った彼は、銃を擬して仲間を脅迫してまで町へ行こうとしたが、その時、土匪に襲われたシャルルからSOSの信号があり、一同は直ちに救援に駆けつけた。幸い飛行機の応援があって敵を撃退し、負傷したシャルルは直ちに飛行機で町へ運ばれた。ポールはシャルルの車で町へ立った。そして「狼」がポストへ帰ると、イヴァンは群がる土匪と最後まで戦って勇敢な死を遂げていた。ポールは町でエレーヌの変心を知り狂気の様になってポストへ帰ったが、隙を見て短銃で胸を打ち重傷を負った。サハラを車で横断するには危険な風の季節が来たが、エレーヌは何かにひかれる如く第三ポストへ近づき、土匪の弾丸に当り、ピエールと「狼」の名を呼びつつ倒れた。「狼」は彼女の屍体を砂漠に埋めた。重傷のベッドではポールがエレーヌの名を呼びつづけている。

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作品データ

原題
S.O.S Sahara
製作年
1938年
製作国
ドイツ
配給
東和商事
初公開日
1938年
製作会社
ウーファ


[c]キネマ旬報社