銀嶺征服:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
銀嶺征服
銀嶺征服
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銀嶺征服

1932年公開
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一昨年の夏マッターホーン北壁登攀に初めて成功したシュミット兄弟の壮挙を映画化したもので、ウォルター・シュミッドクンツの殆ど事実そのままの原案によってB・E・リュトゲが脚本を作成、監督及び撮影には山の映画に縁の深いフランツ・ウェンツラーとフランツ・アッテンベルガーが当り、伴奏曲は「モンブランの嵐」「白銀の乱舞」のジュゼッペ・ベッチェ博士。主役は当人のフランツ・シュミットで、五名のミュンヘン山岳倶楽部員と「愛国者」「偽国旗の下に」のテオドル・ロース、アンソニー・トゥストナー等本職の俳優数名が助演している。

ストーリー

アルプスの連山を脚下に踏まえて巍然と聳え立つ名峰マッターホルン。山に憧れる若者の足跡はスイス路にイタリア路に来る夏毎に絶え間無かったが、唯一ヶ所北側の大氷壁のみは、魔の登山路と称されて既に登攀を試みた数名の若き命を吸い取った処女地であった。しかしそれなればこそ尚更に登山家の情熱はこの一点に注がれるのであった。ミュンヘン生れの青年技師フランツとトニーのシュミット兄弟も数々の高山を征服して、今燃ゆる憧れをこの大氷壁に対して感じたのであった。一九三一年七月末日、貧しい彼等は二人の女友達と共に自転車旅行でミュンヘンからツェルマットの山麓に着いた。星空の下に天幕を張ってシュミット兄弟は眼前に突立った巨峰を仰いだ。世界中の登山家が踏破を企て、而も成功しなかった大きな冒険が今や二十才の彼等に由ってなされようとしているのだ。登山家のみの知るあやしい昂奮と歓喜とが彼等の胸に湧き立つ。夜中の二時と言うに彼等は軽やかに身仕度をして千古の秘密を包んだ厚氷に最初のピッケルを打ち込んだ。涼しい山の朝風が暁雲を吹き払った頃山麓のホテルでは人々が窓際に集って大騒ぎをしていた。彼等の覗く望遠鏡には死の氷壁をよじ登る二人の姿が豆の様に映っている。彼等は今大きな氷の割れ目を登っているのだ。兄のフランツが先頭になってロープを落す。トニーはそのロープに伝わって一歩々々を注意深く進んでいる。と氷の岩角にかけたトニーの足が辷った。ズルズルと辷って全身の重みがロープにかかる。兄は肩できっと受けて静かにたぐって行く。望遠鏡で覗いている人々は息も詰る危かしさだ。しかしトニーの沈着とフランツの熟練とがこの戦慄すべき危期を救ったのである。そして彼等は間もなく高く山霧の中に姿を没してしまった。その頃からマッタホルン山頂には黒雲が集り出した。やがて烈しい稲妻、篠つく雨、轟く雷鳴、山上にいるシュミット兄弟に対する人々の限りない不安の裡に漸く空は晴れた。そして望遠鏡には南の登山路を下って来る小さな二人の人影が見えた。ホテルの人々の狂喜、勇敢なシュミット兄弟に対する讃嘆。ホテル中は二人の勇士を迎える為にひっくりかえった。--が山を下りて来たのは兄弟とは似ても似つかぬ二人のルンペンだった。彼等は旅行券のない為山越をして来たのだった。そんな事とは知らないホテルの人々は嵐の様な歓迎! 何が何だか分からぬながら鱈腹御馳走を詰め込んですっかり嬉しくなったルンペン二人組。その頃遂に大氷壁を征服して山を下った本物のシュミット兄弟は女友達の待っている天幕に帰って来ていた。そして粗末な黒パンを噛りながら彼等は満ち足りた心で打ち勝って来た偉大な困難を沁み沁み思い返すのであった。

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作品データ

原題
Gipfelstuermer
製作年
1932年
製作国
ドイツ
配給
東和商事
初公開日
1932年
製作会社
トビス


[c]キネマ旬報社