フリーク・オルランド:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
フリーク・オルランド
フリーク・オルランド
-

フリーク・オルランド

1994年5月28日公開、127分、文芸
5
1
  • 上映館を探す
評価、レビューが削除されますがよろしいでしょうか?

サリー・ポッターによる92年度の映画化版より11年前に、英国近代文学の金字塔的作品、ヴァージニア・ウルフの「オルランド」を、ニュージャーマン・シネマの鬼才ウルリケ・オッティンガーが彼女独自の解釈で映画化した異色映像絵巻の一編。マグダレーナ・モンテーツマ、デルフィーヌ・セイリグといった今は亡き個性派女優に加え、タイトルにふさわしく“フリーク”然たるユニークな出演者たちが全編で狂喜乱舞する様と、キッチュな衣装と美術、荒涼たる現代ヨーロッパの風景を切り取って来たかのようなロケーション撮影などが見もの。映画のムードにマッチした音楽・音響にも注目。オッティンガー自身の言葉を借りれば、「世界の歴史の物語、無能なものの成り立ち、権力の渇望、怖れ、狂気、残虐行為そして、日々の生活。原初から今日までが5つのエピソードで語られる」物語がオルランドを狂言回しに展開される。製作はハラルド・ムシャメトウ、脚本・撮影はオッティンガー、音楽はウィヘルム・D・ジーベルが担当。

ストーリー

プロローグ:荒野をさまよう漂泊者オルランド(マグダレーナ・モンテーツマ)は、“生命樹の女神”(デルフィーヌ・セイリグ:役柄ヘレナ・ミューラー)を見つけ、女神の乳房に顔を近づけ、その乳で喉をうるおすと、目前に立つ“フリーク・シティ”の門をくぐる。 エピソード1:有史以前の神話的な時代の物語。フリーク・シティのデパート“人間倉庫”は“スピード靴店”で、靴職人の7人の小人に囲まれ、オルランドは日夜大ハンマーをふるっていたが、支配人ヘルベルト・ゼウス(アルベルト・ハインス)の不興を買い、小人たちを伴い、そこを立ち去る。後からオルランドを慕う7人の小人のスポーツマンの女王となり、旅を続けるうち、柱頭行者(エディ・コンスタンティーヌ)と彼を信仰する鞭打(舞踏)行者たちと出会う。そこで柱頭行者の指名を受けながら後継者となることを拒否したオルランドは鞭打行者らに殺され、首を打ち落とされ、ささげもの扱いにされる。 エピソード2:初期キリスト教教会(パジリカ)の前で中世における奇跡の子として誕生したオルランドは、2つの頭を持ち二声の歌声をきかせることができた。相変わらず跋扈する鞭打行者たちは曲芸師を捕らえ、迫害し、都市から連れ去る。小人の女性画家ガリと共にその後を追うオルランドは、やがて聖女である髭女ヴィルゲフォルテ(エルゼ・ナブ)の修道院にたどりつき、聖女が自ら歌で語る彼女の地位転変の人生を聞く。 エピソード3:神話デパート提供の時間旅行の案内が、アナウナンサー(ヘレナ)によって告知される。衣装替えのため着替えのスペースに入ったオルランドは、ガリ描くところの肖像画のままに変身を遂げ、驚愕する間もなく、18世紀初めのスペインへと飛翔している。気がつけば彼女は捕らわれの身、“神の名において”と称するぶち犬を連れたぶち男の先導の元、異端迫害・追及、あげくの果てのいわれなき拷問がまかりとおる新世界へと放り出される。オルランドだけでなく、中世の芸人のねずみ使い、魔女、アマゾネス、同性愛者、兵士らなどがあたかも“阿呆船”のごとくつながれた病院の白いベッドに詰め込まれて、ファシズムの体現の場となったオリンピック競技場へとかつぎ込まれる。 エピソード4:オルランドは男性に生まれ変わっている。白いスーツの上下に身を固め、田舎の精神病院を退院した“彼”は誘われるままサーカスの見世物一座の一員となる。時は19世紀末のプロシアはヴィルヘルム皇帝時代。かれらのような異形の人たちは反映する市民社会のもと好奇と畏怖の目で見られる。オルランドは一座のシャム双生児の姉妹レナ(ヘレナ)を見初めて結婚し子までもうけるが、事態が受け入れられない双生児の片方レニの錯乱と紛糾に苦しめられる。ついに激昂の末オルランドはレニをナイフで殺すが、そのためにもともと彼女と一心同体の双生児であるレナまでも死なせてしまう。一座の座長は年来の掟に従い、オルランドを死神ゴルゴの元に連れて行く。ゴルゴはオルランドを幽閉する。 エピソード5:時代は現代のイタリア。オルランドは女性エンターテイナーとして、バニーガールと共に“醜い者協会”の百周年を祝う“醜い者たちのフェスティヴァル”の光栄ある100回目の式典の司会者として登場する。優勝すると“身体が麻痺した人の前では足を引きずるのが礼儀”という銘文が刻まれたカップが送られる、アウトサイダーたち総出演の“松葉杖ダンス”“痙攣ボンゴ”といった演目が続くコンテストが行われ、その結果不意に通りかかった品行方正そうなホワイトカラーの、薬品の営業マン、ヘルベルト・ゼウスがなぜか優勝してしまう。彼はバニーガールのひとりレナ(ヘレナ)と躍りながら陽気な音楽の元、ロマンスの階段を登って行く。やがてオルランドが手にするおんどりが朝を告げ、“彼女”は自ら「自分の物語は終わった」と語る。 エピローグ:オルランドはフリーク・シティの門を出ると“生命樹の女神”の傍らを通り過ぎ、元来た道を足早に立ち去っていく。

フォトギャラリー

映画レビュー

まだレビューはありません。
レビューを投稿してみませんか?

コラム・インタビュー・イベント

ニュース

作品データ

原題
Freak Orlando
製作年
1981年
製作国
ドイツ
配給
スタンス・カンパニー
初公開日
1994年5月28日
上映時間
127分
製作会社
ウルリケ・オッティンガー・フィルム・プロ=ピア・フランケンベルク=ZDF
ジャンル
文芸

Freak Orlando, Photo: Ulrike Ottinger [c] Ulrike Ottinger
[c]キネマ旬報社