南京の基督:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
南京の基督
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南京の基督

1995年12月9日公開、文芸
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一人の日本人作家と、不治の病に冒された中国人の少女娼婦の悲恋を描いた文芸メロドラマ。作家・芥川龍之介が20年に発表した同名短編小説の映画化で、日本と香港の初の本格的合作映画でもある。監督は『夢中人』『さらば英雄 愛と銃撃の彼方に』(共に日本ではビデオ発売のみ)の區丁平。脚本は、芥川の熱烈な愛読者でもあり、香港ニューウェイヴの牽引役を果たし、本作が久々の映画作品となる陳韻文。撮影は「フルムーンインニューヨーク」『ルージュ』(V)の黄仲標、美術は「スウォーズマン 女神復活の章」「キラーウルフ/白髪魔女伝」の馬磐超。音楽は日本から「トカレフ」「居酒屋ゆうれい」の梅林茂が参加。主演は、芥川の分身ともいえる日本人作家に「黒薔薇VS黒薔薇 kurobara tai kurobara」「ドラゴン・イン」の梁家輝。相手役の少女に、「釣りバカ日誌スペシャル」の富田靖子が扮し、美しい裸身も晒して体当たりの熱演を見せている。共演は「風櫃の少年」「息子の告発」のツォ・チョンファ、「Love Letter」の中村久美ほか。95年の第8回東京国際映画祭のインターナショナル・コンペティション部門で、最優秀女優賞(富田靖子)と最優秀芸術貢献賞を受賞。

ストーリー

20年代。新聞社の依頼で中国・南京を訪れた作家の岡川(梁家輝)は、帝大時代の同級生・譚永年(ツォ・チョンファ)の誘いで遊廓へ行く。道すがら、彼は無邪気な少女・金花(富田靖子)に出会った。彼女は年老いた父のために金を都合しようと従姉妹の山茶(鄒静)のいる遊廓、藕香院を頼ってきたところだった。粗末な壁に書けた十字架に熱心に祈りを捧げる金花の純粋な姿が、疲れ切った岡川の心をとらえる。借金を返すため、金花は岡川にその身を任せた。郊外の別荘へ金花を連れていった岡川は、彼女がそこにいるだけで創作意欲が沸き上がり、持病の頭痛も嘘のように消えた。蜜月を味わう二人の元へ永年が届けた電報は、東京の岡川の妻が二人目の子供を生んだという報せだった。金花はショックを受け、キリストが禁じている重婚の罪を犯した岡川を激しくなじる。父親の訃報も重なり、彼は急いで東京へ帰ることになった。南京駅の雑踏で、岡川に別れを告げぬまま姿を消す金花。一度は故郷へ帰ったものの、再び藕香院に舞い戻った彼女は、客から性病を移されてしまう。他人に移せば治る、と仲間は言うが、「誰にも病気を移さず、一人で死んでいけばキリストが天国に連れていってくれる」と信じる金花は、頑に客を取らなかった。彼女の病状は次第に悪化し、肺病まで併発する。そんなある夜、金髪の男(マーク・カスバーグ)をキリストだと信じた彼女は体を許してしまう。翌朝、身体から性病の斑点が消えており、彼女は「キリスト様が直してくれた」と無邪気に喜ぶ。帰国してからも金花が忘れられない岡川は、永年からの手紙で彼女の病気を知り、治療のため日本に連れ帰ろうと決意。金花は岡川との再会を子供のように喜ぶ。だが、キリストの正体が、女好きな海外特派員であることを知った岡川は怒りに駆られ、彼を殴り倒すが、金花はその一部始終を見てしまう。金花の身体の斑点は、以前よりひどくなった。一緒に日本へ行こうとの誘いを激しく断る彼女の目は、既に狂気を帯びている。彼女の夢を壊したのでは、と岡川は自分を責め、心中するつもりで彼女を抱こうとするが、激しく拒絶される。永年の説得で日本に帰ることになった岡川は、悄然と駅への道を歩き始めた。その時、金花が必死で彼を追い始め、今にも倒れそうな彼女を気遣う小僧が、馬車でその後を追う。南京駅へと続く鉄路で抱き合う二人。だが、金花は間もなく眠るように息を引き取った。帰国した岡川は創作の壁に突き当たり、幻覚に怯え、睡眠薬自殺した。枕元には読み古された一冊の聖書があった。

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作品データ

原題
The Christ of Nanjing 南京的基督
製作年
1995年
製作国
日本 香港
配給
アミューズ
初公開日
1995年12月9日
製作会社
アミューズ(日)=ゴールデン・ハーヴェスト(香港)
ジャンル
文芸


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