栗原小巻
上条圭子
新発足した大映の第一回作品で、昭和19年の朝鮮を舞台にに様々な厳しさの中で真実の愛をみつけ、人間として目覚め、強く生きぬく人妻を描く。小林勝原作の『狙撃者の光栄』の映画化。脚本は立原りゅうと山内久、監督は「若者たち」の森川時久、撮影は黒田清巳がそれぞれ担当。
昭和19年、冬。戦時色一色に塗りつぶされている朝鮮のある都市。23歳の美しい人妻上条圭子は夫、浩太郎と親子ほども年齢がちがう。圭子は掠奪されるように結婚を強いられたために夫婦の間には、愛のひとかけらもなく、浩太郎には金と権力が全てであった。ある日、圭子は村はずれの道を連行されていく四宮病院の医師、江原望を見た。彼は休日を利用して雉射ちに来たのだが、その銃声が朝鮮人たちに警察の動きを察知されたという事で逮補されたのだった。数日後、圭子は雉小屋にひそんでいた朝鮮人の少年を逃そうとしたが、浩太郎がぷ射殺してしまった。あまりのショックで圭子は失神した。病床眼を醒ました圭子の枕元に江原の微笑があった。やがて、圭子は江原の中に今まで知り得なかった人間の暖かさを感じ、二人の間には愛が芽生えていった。二人の仲が、浩太郎に知られた。激怒した浩太郎は、圭子の床上げ祝の席上、江原の叔父が天皇狙撃者として死刑になった事を暴露した。圭子は浩太郎の残忍さをはっきり知った。凍りついた河原を歩きながら、圭子は江原に愛をうちあけ、その夜、二人は結ばれた。戦局は日本に不利になり、浩太郎は焦燥していた。しかも、圭子が江原の子供を身ごもった。狂気のように暴れまわる夫に、圭子は誇らし気に宣言した。「私は自由になります! そしてあの人の子供を生みます!」
上条圭子
江原望
上条浩太郎
四宮医師
四宮潤子
李英順
寺崎夫人
大沼編集長
木下カメラマン
中川刑事
尾形刑事
丸山憲兵少尉
監督
脚本
脚本
原作
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
企画
企画
スチル
[c]キネマ旬報社