少年:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
少年
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少年

1969年7月26日公開、98分
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「新宿泥棒日記」でトリオを組んだ田村孟が脚本を、大島渚が監督、そして吉岡康弘が撮影を担当した。“当り屋”に材を得た社会もの。

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ストーリー

秋風のたつ夕暮、無名地蔵のある広場で、ひとり“泣く”練習をしている少年がいた。翌日、その少年の家族四人が街へ散歩に出た。やがて交差点に来ると、母親が一台の車をめがけて飛びだし、続いてチビを抱いた父親が間髪を入れず、駈けつけ、叫んだ、「車のナンバーはな……」。傷夷軍人の父、義理の母と弟のチビ、少年の家族の仕事は、病院の診断をタテに示談金を脅しとる当り屋だった。二回目の仕事が成功した時、父の腹づもりが決まった。少年を当り屋にしての全国行脚がそれだった。少年は、父母からかわるがわる説得され、家族とともに祖母の家を後にした。一家が北九州に来た時、母が父に妊娠したことを告げた。が、一家の生活は、彼女に子供を産ませるほどの余裕を与えなかった。父は母に堕胎を命じ、一家はその費用を稼ぐために松江に降りたった。その夜父は芸者を呼んで唄い騒いだ。少年は、土佐節を聞いているうちに、高知の祖母に会いたくなった。が、高知に帰るには小遣が足りなかった。やがて、一家は福井に来た。そこで新しい運動帽をかぶり、なんのわだかまりもなく車に当る少年。その姿は、父母にすら恐怖を覚えさせるほどだった。父は母が病院へ行くのに少年を監視役としてつけた。が、母は少年に腕時計を買い与え産婦人科へは行かなかった。仕事の旅は依然として続き、一家は北陸路を辿り、山形に着いた。この頃、母はつわりに襲われ、少年は母と二人で父に内緒の仕事をした。一家が小樽へ着いた時、父母が少年を奪い合って喧嘩をした。父はいつものように母を殴り、雪に母の血が散った。その時、少年は、時計のくさりで、手の甲を血がでるほど掻きむしった。その意味を悟った父は、時計を投げすてた。チビが、その時計を拾いに道へ出た瞬間、一台のジープが電柱に衝突。少年は、担架で運ばれる少女の顔に一筋の血を見た。雪の中には少女の靴が、ひっそり残っていた。少年の一家が逮捕されたのは、春が芽ばえはじめたころだった。少年は、父母とともに犯行の一切を否認した。が、翌日護送される車中で、北海道の事件を思い浮かべて、涙をこぼした。あの少女の死は、少年たちの仕事が絶対的に悪であると啓示した。少年は、そのように生きなければならなかった自分の運命に涙を流した。

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作品データ

製作年
1969年
製作国
日本
配給
ATG
初公開日
1969年7月26日
上映時間
98分
製作会社
創造社=ATG


[c]キネマ旬報社