トラフィック|MOVIE WALKER PRESS
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トラフィック

2001年4月28日公開,148分
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本年度アカデミー賞で4冠を勝ちとった社会派ドラマが登場。メキシコと米国を結ぶ麻薬ルートをめぐり、捜査官や人妻など多数の男女の人生が、劇的に交錯していく。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

メキシコの警官ハビエールは、ある麻薬組織を逮捕したことで、将軍と組織の癒着を知る。一方米国では、麻薬取締責任者に就任したロバート、麻薬王の夫を逮捕されたヘレーナも、波瀾の運命をたどっていく。

作品データ

原題
Traffic
製作年
2000年
製作国
アメリカ
配給
日本ヘラルド映画
上映時間
148分

[c]キネマ旬報社

動画配信

映画レビュー

3.0
  • rikoriko2255

    やまひで

    3.0
    2008/8/15

     確かにこの映画はシナリオがいい。(脚本:スティーヴン・ギャガン)ストーリーは四つの地点を相互に飛び交いながら進められる。メキシコ北端の、アメリカとの国境に近い町Tijuanaティフアナ、この町と国境を挟んでアメリカ側のカリフォルニア州南部にあるサン・ディエゴ、更にオハイオ州シンシナティー市、そして政治権力の集中するワシントンD.C.である。話の眼目は麻薬であり、これを巡ってこの四つの地点が結び付けられる。そして、このテーマに絡む人々が錯綜するストーリーの中で語られていく。だから、いい編集がそのストーリーの交通整理のためには必要である。(編集:スティーヴン・ミリオン)ハンドカメラを使った撮影も申し分ない。後で言われて気づいたのであるが、メキシコには、砂漠の乾いた黄土色の配色を、サン・ディエゴには、緑色の冴えた天然色の配色を、そして、シンシナティー市やワシントンD.C.には、クールな青みがかった配色をそれぞれ採り、それでなくても混乱するストーリーの展開をこれで少なからず助けている。撮影は、「ピーター・アンドリュース」となっているが、これは実は監督のスティーブン・ソダーバーグ自身だそうで、中々なものである。しかし、である。  それは、同監督の『セックスと嘘とビデオテープ』を観た時もそうであった。中々の才気と知性を感じさせる作品ではあるが、何か一つ心に通うものが欠けているのである。監督の頭の中で合成されてものであるから、それなりに面白いのであるが、何かそこに人工的なものを感じ、何となく納得が行かない部分が残った。この不満足の感覚が、本作品を見終わった時にも感じられ、ある種のデジャヴュー感を僕は味わった。  この映画のストーリーを整理すると、三人の人物がストーリー展開の中心人物となっている。ベニシオ・デル・トロが好演している、メキシコ側の麻薬捜査官ハヴィエル・ロドリゲス=ロドリゲス、サン・ディエゴの麻薬密輸の仲介を一手に担うルイス・アヤラの妻ヘレーナ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)、そして、シンシナティー市のやり手の検察官で、まもなくワシントンD.C.に出て、中央の麻薬対策機関の長になることが決まっているロバート・ウェークフィールド(マイケル・ダグラス)の三人である。この三人が、物語の展開に沿ってその生き様を変えていくところが錯綜するストーリーを理解する上で要になる。ところが、それぞれの人生を変える出来事が如何に本人達に影響し、彼らの生き方を変えたのか。そこの肝心な所の心理描写が、ハヴィエル以外の場合、僕には十分な説得力を持って語られていない。所謂「ドラッグ・ツァール」として麻薬撲滅の長官となるはずのウェークフィールドは、やり手であり、それまでは家族のことを余り顧みずに中央に打って出る気が満々であった。それが、皮肉なことに自分の16歳になる娘が麻薬のとりこになっていることを知り、結局は、自分の栄達の道を諦めて娘のためにシンシナティーの家族の許に残る決心をするのである。これは、プロットがドラマチック過ぎて僕には説得力がない。サン・ディエゴのヘレーナの場合はもっと説得力がない。サン・ディエゴの上流階級に属するヘレーナは、自分が享受している冨がどこから来ているのか、皆目見当がついていなかった。しかし、自分の夫が麻薬密売の容疑で逮捕され、裁判にかけられるという状況になり、ようやく自分の生活の基盤がどんなものであるかを知らされる。しかし、この無垢な妊婦は、突然の如く「やくざの姐さん」に早変わりし、自分の夫をちくった裏切り者に殺し屋を差し向けるのである。  更にこれに駄目をおすが如くに、安っぽいラストシーンが延々と映される。自分の相棒を麻薬カルテルの一方に殺されて陰気な顔をしているハヴィエルがスタンドに座っている。そのスポーツ広場には夜間照明が点いている。これは、ハヴィエルが、地元の麻薬カルテルの「仁義無き」抗争を利用して、アメリカの秘密工作員と取引きをした産物であっった。そのハヴィエルの見守る中、そこでは子供達が野球に打ち興じるのである。  「オーシャンズ」シリーズのような、軽快でスタイリシュな映画は撮れても、人間心理の細かい襞までは描ききれないS.ソダーバーグ監督よ、これからは、登場人物を心理的に描写する際にもっと深みのあるものを出してくれることを心より期待するものである。

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