イノセンス|MOVIE WALKER PRESS
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イノセンス

2004年3月6日公開,99分
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「GHOSTINTHESHELL攻殻機動隊」で世界を驚愕させた鬼才、押井守監督の最新作。ロボットによる殺人事件を通し、人間の存在を問う哲学的なハードボイルドSFアニメ。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

2032年の日本。少女型の愛玩用ロボットが暴走し、所有者を惨殺。公安9課の刑事バトーは電脳ネットワークを駆使して捜査を開始。真相を暴くべく製造元ロクス・ソルス社に迫るが、やがて恐るべき事実を知ることに。

作品データ

原題
INNOCENCE
製作年
2004年
製作国
日本
配給
東宝映画
上映時間
99分

[c]2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD [c]キネマ旬報社

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映画レビュー

3.9
  • rikoriko2255

    やまひで

    4.0
    2012/4/22

     人は何故自分の似姿を作り続けてきたのか。神が自らの姿に似せて人を創造なさり給いしとすれば、人形を作る行為は、人間が自らを「神」へと止揚しようとする、冒瀆的な、傲慢な行為かもしれない。しかも、このニンギョウがヒトのように動く時、ヒトとニンギョウとの違いは何であるのか。このテーマを、バイオロイド(作中では「レプリカント」)の存在として問題化したのは、1982年作の『ブレード・ランナー』であった。「義体化」が進行し、有機器官が無機器官に徐々に置き換えられていく時、人間、サイボーグ、アンドロイド(またはガイノイド)との境界は次第に希薄になっていく。その時の、人間が人間たる最後の「核心」は、人間に固有な精神作用(これを「ゴースト」と呼ぶか?)となるであろうが、このことは、「電脳化」の時代では、個体の存立の点では、その意味をなさなくなるのではないか。この問題を突きつけたのが、押井守監督の、1995年作の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』であった。2004年作の、同監督の本作品は、その問題提起性においては、前作を超える物ではない。しかし、「愛」という精神作用を、「電脳化」時代においてセンチメンタルに描写したのが、本作における押井監督の「ご愛嬌」であったのではないか?  本作のストーリーの時点は、本作の主人公バトーのかつての上司「少佐」がサイバー世界の彼方に失踪してから二年経った頃、しかも本作では相棒であるトグサがまだ公安9課のリーダーになる前の頃である。そのバトーは、オールドタイマーの車を乗り回し、ことあるごとに皮肉に引用を吐き、一人暮らしの寂しさをペットを飼うことで癒しているそういう刑事である。ここに、そこはかと「フィルム・ノワール」のあの感覚が甦ってきたのは果たして僕の錯角であったろうか。  果たして、『ブレード・ランナー』では、あるSF小説を「フィリップ・マーロウ的な探偵の物語」として構想して、その脚本化がなされたとのこと。E.グールド主演の、『The Long Goodbye』(1973年作、監督R.Altman)では、飼い猫のために夜中にわざわざコンビニに餌を買いにいくマーロウの日常を描く部分が意外と時間を掛けて撮られて、本作との図らずも類似性を思わせる。とすれば、本作は、外見はクールなバトーを主人公として、いつも女性との運命的な絡みが関わるフィルム・ノワールのタッチを持って、彼の「少佐」への忍ぶ想いを情緒的に描いた作品と言えなくはないか。こう考えると、エンディングに流れる、意外に卑俗な歌にも合点がいくし、何よりもフランス象徴派の作家デゥ・リイル・アダムのSF小説「未来のイヴ」からの、「愛」についての引用の妥当性も肯けるのである。

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