ショーン・ペン
Jimmy Markum
名匠クリント・イーストウッド監督が、デニス・ルヘインの同名ミステリー小説を映画化。再会した幼なじみ3人の心の闇を、濃密な映像と緊張感あふれる演技合戦で描く珠玉作だ。
※結末の記載を含むものもあります。
ボストンの下町に暮らす少年、デイブ、ショーン、ジミー。ある日、突如現れた謎の男に連れ去られたデイブは、心と体に深い傷を負う。25年後、ジミーの愛娘が殺害され、刑事となったショーンが事件を担当することに。
Jimmy Markum
Dave Boyle
Sean Devine
Sgt. Whitey Powers
Celeste Boyle
Annabeth Markum
Brendan Harris
Katie Markum
監督、製作
製作
製作
製作総指揮
脚本
原作
撮影
美術
編集
[c]2003 Warner Bros.Ent.All Rights Reserved [c]2003 Village Roadshow Films(BVI)Limited [c]キネマ旬報社
本作『ミスティック・リバー』はおそらく、同じくイーストウッドが監督した『許されざる者』(92年)以来、最も救いのない物語を描いたアメリカ映画の一つとして、長い間、人々の記憶に刻まれることになるだろう。この作品にはかつて多くのアメリカ映画(フランソワ・トリュフォーが「アメリカ映画なら何でもよかった」と述べていた、1950年代までのアメリカ映画)が持ち得ていた楽天性はもちろん、一片の「希望」すら描かれてはいない。アメリカ映画に限らず、「絶望」を描いた作品の多くが、それでも最後には(「絶望」を経た=描いた後には)「救済」として「希望」を差し出すのとは異なり、『ミスティック・リバー』には最後まで救いが訪れない。では、この「絶望」は何に由来するのか。言い方を変えれば、イーストウッドはこの映画の原作のどこに惹かれ、なぜそれを即座に映画化しようと思い立ったのか。「誤認」から生まれる復讐という映画の主題の一つから、当然、「イラクが大量破壊兵器を持っている」という「誤認」から戦争を仕掛けた当時の「ブッシュ政権」に対する批判を読み取ることができる。前述した『許されざる者』においても、白人警官たちが黒人男性をリンチした「ロドニー・キング事件」を映画の終盤で再現=表象してみせたイーストウッドのことだから、これは当然考えられる説だ。しかし、実際にイーストウッドがこの映画の製作を思い立ったのが、イラクで大量破壊兵器の捜索にあたっていたデビッド・ケイ氏が「イラクに大量兵器はなかった」と発言する前であるため、この説の信憑性は薄らぐ。もっとも、優れた作家や芸術家、思想家にはどこか預言者めいたところがある、という柄谷行人の説に従えば、預言者かどうかはともかく、やはりイーストウッドは、先見の明とまでは言わないにしても、「われわれはどんな時代を生きているか」(山内昌之)という点についての鋭い認識を持った、同時代のアメリカ映画作家であると納得してしまいたくもなる。つまり、この絶望は極めて「アメリカ的」なものである、と。しかし、私の考えはそれとは少し異なる。それは、この映画で描かれる悲劇が、決まって「3」という数字が「1」対「1」対「1」という対称(均等)性へと変換されず、「2」対「1」という非対称性へと変換され、必ず「2」の方が優位に立つことに由来しているように思えるためだ。(続く):このレビューは全体の1/7程度です。
この作品の評価は難しいですね。私はこれを『ミリオンダラー・ベイビー』『グラン・トリノ』へと続くクリント・イーストウッドの監督作品の一里塚として観ました。他のレビュアーの方からは「後味が悪い」という指摘がありましたが、私は他の2作品よりはむしろ良かったと思います。正統的なミステリーですね。
主役はショーン・ペンで、『ギター弾きの恋』で見せたエキセントリックな演技が光ります。何をするか分からなくて、本当に怖いですよ。
イーストウッド監督自身が、後発の2作品には出ていて、この作品には出ていないところがミソです。私は、ショーン・ペンの演技に満足できなかった監督が、後の2作品には自ら出ざるを得ない状況を作り出したと思いますが、贅沢な悩みですね。この作品でのショーン・ペンは最高ですもの。これ以上何をお望みになるのか、分かりません。そういう意味で難しいと思います。
高校生のときにレンタルして見たんですが
まだこの作品の良さが分かる歳ではなかったみたいです。
とにかくストーリーも映像も暗く、観ている間も観終わってからも
すっかり気分が滅入ってしまいました。
これを観た映画好きの友達も同じような感想だったみたいなんですが、
その上で「俺らがもうちょっと歳とって、親の立場になったら良さが分かるんかも」
って言っていたのがすごく印象的です。
今はまだ観る気にはなりませんが、もっと歳をとってからもう一回だけ観てみたいです。