今宵、フィッツジェラルド劇場で|MOVIE WALKER PRESS
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今宵、フィッツジェラルド劇場で

2007年3月3日公開,105分
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「ショート・カッツ」などの巨匠ロバート・アルトマンの遺作となった音楽映画。得意の群像劇形式で、ユーモラスかつスリリングに人生の哀歓を浮き彫りにしていく。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

ラジオ局が買収され、打ち切りの決まった音楽番組の公開録画ショーがスタート。劇場の舞台裏では、出演者、保安係、謎の美女らが入り乱れていた。やがて会場にラジオ局の新オーナーがやってくる。

作品データ

原題
A Prairie Home Companion
製作年
2006年
製作国
アメリカ
配給
ムービーアイ
上映時間
105分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.6
  • 美雨

    4
    2009/4/6

    アメリカで何十年も愛されてきた公開ラジオショー"Prarie Home Companion"。
    劇場で司会が番組を進行し、歌手たちが生で歌い
    それを全国に放送するという昔ながらのラジオショーが
    現在まで続いてきたことが奇跡的なのだが、
    それもついに今夜最終回を迎える。
    観客も出演者も通い続けたフィッツジェラルド劇場は、大きな駐車場になる。
    出演する歌手たちも、司会者も、いつもと変わらない様子で舞台に立つ。
    最後のお別れも、過去を振り返るようなしみじみとした場面もない。
    だけど、伝説の番組が、いつもと変わらずに終わるはずがない!
    幼いころから歌い続けてきた歌手のヨランダは
    娘のリンダを今夜デビューさせようとしているし、
    さまざまなハプニングが起こる上に、劇場には謎のブロンド美女が現れ、
    なにやら怪しい動きをしている。

    別れはつらいし、今まで続いてきたものが終わるなんて到底信じられない。
    いつか別れた後の世界のほうが現実となる。
    何かが終わっても、誰かが死んでも、別れを受け容れ、人生を歩む。
    人生は続いているのだから。

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  • かなり悪いオヤジ

    3
    2008/6/6

    2006年癌による合併症で惜しまれつつ逝去したロバート・アルトマンの遺作。今日で最終回を迎えるラジオ公開番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」(実在する長寿ラジオ番組名が原題になっている)。実際に番組で司会を務めるギャリソン・キーラーの元に、カントリー歌手姉妹ロンダ(リリー・トムリン)&ヨランダ(メリル・ストリープ)たちが集まって、ファアウェル・コンサートが始まるのだが・・・。

    多くの評論家が指摘しているとおり、アルトマンが自らの死を予感しながら撮った形跡がいたる所でうかがえる1本だ。劇場が売却され長寿番組が打ち切りとなってしまう物語の背景や、白いコートを着た金髪天使(ヴァージニア・マドセン)が劇場関係者を死出の旅路へと誘うシーンなどを見ていると、本作品が遺作となるかもしれないことをアルトマンが覚悟していたのではないかと思えてくる。

    ずっこけ用心棒(ケヴィン・クライン)や下ネタカントリーデュオ・ダスティ&レフティに(笑えない?)アメリカンジョークを連発させて、いつものコメディ要素もしっかりと作品に盛り込まれ、同じ群像劇を得意とする若手映画監督ソダーバーグの名前を前劇場主に重ねてちょっぴり揶揄ったり、自己監督作品名(「ショートカット」)を役者に語らせたり、小ネタの配置にもぬかりがない。

    そんな細かい部分にまで配慮が行き届いた作品でありながら、見終わった後なぜか<散漫なイメージ>がつきまとうのがまたアルトマン流。役者個人に演技をさせすぎない抑制が効いた演出は、比較的ヤッピーな人々を描くことが多かった彼の洗練された上流志向と無縁ではあるまい。ラストコンサートの最中もけっして観客席を映さず、歌手(役者)と一般観客との溝を埋めるようなことはあえてしない。楽屋と舞台。役者たちがまるで劇中劇を演じているような(他の作品にも共通している)不思議な感覚は、観客の安易なシンパシーを拒絶するアルトマンのストイシズムがなした技なのかもしれない。

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  • ひらたいら69

    3
    2007/11/11

    アルトマンの遺作。終了するラジオ・ショーの最後の日を得意の群像劇で写していく。しかし、そこにあるのはシニカルな視点ではなく、人間賛歌とも言えるやさしさだ。

    イノセント、という言葉がしっくり来ない映画監督。それがロバート・アルトマン。シニカルで体制をコケにして笑い飛ばす。特に70年代のアブラギッシュな映画群は、そのことを裏付ける。アメリカに夢なんかあるのか?っていうのが一貫したアルトマンの問いだ。しかし、この遺作に関して言えば、むしろ人生肯定とでもいうべき穏やかな空気が作品を包んでいる。シニカルや、皮肉、といったあたり、この映画にないとは言わないが、昔の監督作に比べたらほとんどないに等しい(ウッディ・ハレルソンとジョン・C・ライリーの下ネタコンビが毒っちゃ毒か?)。最後の作品があまりにまともで(笑)ひょっとしたら化けて出てくるんじゃないか?なんて思ったけど。最後の作品がこれとは!出来すぎだぜ!アルトマン!シニカルな監督のイノセントな作品。遺作にふさわしい佳作。

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