ディア・ドクター|MOVIE WALKER PRESS
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ディア・ドクター

2009年6月27日公開,127分
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「ゆれる」の西川美和によるミステリアスな人間ドラマ。山あいの村で、人々から慕われていた医師の失踪の原因とは? 数々の作品で独特な存在感を示してきた笑福亭鶴瓶が映画初主演。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

山あいの村で医師を務める伊野の元に、医大を卒業したての研修医・相馬がやってくる。相馬は田舎の医療に戸惑うも、伊野の働きぶりにやがて共感を覚えるように。だが、かづ子という患者の存在が大きな事件を引き起こす。

作品データ

原題
DEAR DOCTOR
製作年
2009年
製作国
日本
配給
エンジンフィルム+アスミック・エース
上映時間
127分

[c]2009「Dear Doctor」製作委員会 [c]キネマ旬報社

映画レビュー

4.1
  • あちゃぺ

    3
    2015/10/4

    過疎で、かつては無医村だった村にきた医師に
    「専門外だから」は通じない。ミスは許されても、
    なんでもできて当たり前、できないとは言えない環境。
    かたや、ミスでないこともミスとして起訴されてしまい、
    自分の守れる狭い範囲での診察しかできない環境。
    どっちが本当の医師の姿なんでしょうか…。
    自分より患者を優先する医者か、自己保身する医者か。

    ラストシーンは観る人の感覚で、大きく左右される。
    ボクは、なぜかホッとでき、
    この映画が名作と言われることに納得できました。

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  • やまひで

    3
    2013/9/9

     無医村という現代日本の社会問題をコメディー・タッチとして描くのは、重い問題を重いものとして物語る気合が無くなった現代では、その商業主義的方策にも合致した手であり、また、人間的悲劇を「喜劇」として見るA.チェホフ的立場から言えば、なくもない。しかしながら、本作冒頭のシーン、偽医者が逃亡してからの村人のドタバタと、このシーンに直後に続く、研修医と偽医者の、交通事故一歩手前の「邂逅」とは、如何にも笑いを誘おうというわざとらしさが何となく感じられて、いただけない。

    とは言え、コメディー・タッチ路線のその一貫性ということでは、本作の主人公を演じる役者を落語家にしたことは、当然と言えば当然と言う感も無きにしも非ずである。この関連では、作中に落語の話が出てくるのも頷けるし、ラスト・シーンは、これまた落語必須の「オチ」と見なすことも可能であろう。但し、主役を演じている笑福亭鶴瓶の個性に監督が呑まれて、果たして監督自身の演出が効いているのか、キャスティングの妙と言えば、それはそれで収まるかもしれないが、監督が本来的には脚本家出であることを勘案すると、疑問とする面も多々ありである。

    しかし、である。ストーリー全体を人間喜劇として一括りにし、冒頭の事件構えの描き出しで物語の現在軸を出し、これに回想場面を適宜入れていき、そうして「偽医者」の人間像を描こうとするこの女流監督の、原作者・脚本家としての手腕は並々ではないものを感じさせる。

    とりわけ、無くてよかったのではないかと巷で取り沙汰されているというラスト・シーンは、蓋し、偽医者が、村で関わった病人八千草に、失踪後もう一度関わっていくということで、偽医者が持つ人間性の深みを強調するものであり、ストーリーの全体像に真実味を持たせる上で絶好のエピソードである。また、このラスト・シーンでの八千草の演技は、絶妙である。最初は、気が付かずにいたものが、不意に気が付き、事の次第に驚く。しかし、すぐに事情を察知し、これに笑顔で応える。この笑顔がまた複雑な笑いを込めており、わずか10秒にも満たない演技でありながら、それまでの90分前からのストーリー展開を凝縮させる力を持っているのである。

    自分の娘に知らせたくない病気を持ち、それでも自分の病気がどう進行しているのか不安で知りたくて結局は偽医者に診察させる八千草。そして、その病状を偽る嘘を偽医者にも頼む八千草。元々嘘の身分の偽医者が、患者に嘘を頼まれるという謂わば人生の「皮肉」である。そして、この事情を頭に入れてラスト・シーンの八千草の笑みを読むと、そこに嘘がバレないようにいう遊び心の「共犯者」の笑みが紛れ込んでいるのではないか。この複雑なる笑みを体現した八千草薫という女優の演技力に筆者は脱帽するものである。

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    ネタバレあり
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  • ほし★ママ。

    5
    2012/1/7

    真っ赤なBMWで相馬(瑛太くん)が
    研修にやってきた山村の診療所。
    伊野医師(鶴瓶さん)と大竹看護師(余さん)が
    日々、村の人たちの健康を守っています。

    到着早々往診に駆けつける三人。
    意識を無くした老人に挿管しようとする相馬
    心臓マッサージを始めようとする伊野
    伊野はあたりを見回すと、いきなりその手を止める。
    そして、静かに死亡時刻を告げるのです。
    (まぁ~、そのシーンはその後オチが付くのですが)
    私は伊野は「本物だ!」と思いました。

    父も義父も病院のベッドの上でその日を迎えました。
    父は、気管を切開して補助人工呼吸を受けながら
    義父は、長年人工透析を受けた上の脳梗塞で
    ふたりとも口から食事を摂る事もできない状態でした。

    伊野が病を発見し、熱心に治療をする患者(八千草さん)の
    医師の娘(井川さん)が「あの先生なら母をどう死なせるのか」と
    つぶやくシーンがあるのですが
    自分は「どう死ぬか」身内を「どう死なせてあげるか」
    父ふたりを見送ってから、そんな事を考える事の多い私です。
    その日の迎え方を患者の身になって考え実践する伊野・・・

    私が伊野に惚れこむのですから
    そばにいる相馬が伊野に肩入れしていくのは当然だと思います。
    相馬の笑顔がどんどん増えていきます。
    それに反して伊野は、どんどん追い詰められていきます。

    井野の失踪を追う刑事ふたりが、正義を貫き通す中で
    本音なのかウソなのかわからない証言が続きますが
    ゆれるどころか、キャストみんなに感情移入し
    あぁ、きっとこう思ってる・・・と
    手に取るようにわかる気がしました。

    そして、ラストまたも「ニヤリ」~やられました。

    八千草さん、可愛くてきれいです。
    ある意味この方が主役だと思います。
    鶴瓶さん、往診で老人と話す様子など
    まるで「家族に乾杯」~演技とは思えない。
    香川さん、余さん、松重さん~いつもながらスゴイ!
    良くこれだけの方々が集まったものだと思います。

    話は、いくつかの時間軸を織り交ぜながら進むのに
    肝心の謎解きは同時進行で明かされていく演出も
    本当に素晴らしいです。
    「お気に入り」そして「お勧め」作品です。

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