蜩ノ記|MOVIE WALKER PRESS
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蜩ノ記

2014年10月4日公開,129分
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第146回直木賞に輝いた葉室麟の時代小説を、『明日への遺言』の小泉堯史監督が役所広司、岡田准一らを迎えて映画化。前藩主の側室との不義密通の罪で幽閉され、家譜編纂と10年後の切腹を命じられた元郡奉行の秋谷。その監視役が、山間の村で秋谷の家族との交流を通して、事件の真相に迫っていく姿が描かれる。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

前代未聞の事件を起こし、10年後の夏の切腹と、藩の家譜の編纂に務めるよう言い渡された戸田秋谷。切腹を3年後に控えたある日、彼が逃亡しないようにと見張り役を命じられた檀野庄三郎は、秋谷とその家族と共に生活するようになる。庄三郎は秋谷と暮らしていくうちに、彼が起こした事件に疑問を抱くようになり、真相を探りはじめる。

作品データ

映倫区分
G
製作年
2014年
製作国
日本
配給
東宝
上映時間
129分

[c]2014「蜩ノ記」製作委員会 [c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.8
  • えこう

    4
    2014/12/11

    11月22日より福知山シネマでもようやく公開されて鑑賞。
    原作は葉室麟による直木賞受賞作の映画化と注目された作品でもあった。

    物語は江戸時代後期、ある罪のため10年後の切腹を命じられた戸田秋谷(役所広司)は幽閉先で藩士を編纂をする日々。
    切腹を3年後に控え、監視するために派遣された檀野庄三郎(岡田准一)は事件の真相を知り、秋谷の気高い生き方に魅了されるようになります。

    最初はただただ見張るつもりだったんですが、次第に秋谷のお人柄に引き寄せられるように変わっていく姿は素敵です。
    それがただの冤罪にすぎないことは秋谷の人柄を見れば誰にもよくわかります。
    秋谷自身も理不尽な罪にも何一つ弁明もせずに従う姿に熱きものが流れます。

    秋谷は刀と鍬、取る物は違ってもみな同じだといいます。
    武家の鏡とも思えるその包容力に庄三郎でなくとも引きつけられます。

    配役陣を高く評価したいです。
    無論、役所広司さんや岡田准一さんの侍としての恰好良さは言うまでもないけれど、田舎の家での家族の食事や暮らしの美しさは秀でていました。

    映画は撮り方の技術の良さだけではないです。登場人物に魅力がなければ客は来ない。
    その点、今作は役所さんなり時代劇、現代劇を問わず引っ張りだこの岡田さんも登場され引きつけられますね。

    家族への想い、友人の想い、師への想い、それぞれの想いを見つめながら観てみました。

    安心立命、義を見てせざるは勇無きなりといったことわざも劇中に出てきます。
    勉強にもなります。食卓を囲む箱膳の風景が素敵でした。「勇義」と書かれた掛け軸がまたいい。
    私個人としても好きなシーンでした。

    映画をそれぞれ比較するのは難しい。
    蜩ノ記には蜩ノ記の良さが、柘榴坂の仇討には柘榴坂の仇討の良さがありま
    す。

    秋谷と庄三郎の子弟が机を並べて書を書く姿なんか美しい場面でした。
    最後は家族らに見送られて家を出るわけですが、その背中が寂しそうながらもすごく大きく見えます。
    クライマックスの描かれ方もまた美しい。

    ほんとに時代劇の美しさが存分に描かれていたと思います。
    三拍子そろったいい作品でした。
    確かに流す涙の数は少なかったかもしれませんが、しんみりと見せてくれる、そんな作品ではなかったかと思います。

    当時の武家たちが抱いていた想いに少しでも近づけたとしたら、それだけでも見た甲斐はあります。

    堀北真希さんや原田美枝子さんをはじめ家族を演じる俳優たちの表情や姿勢に情感がこもってました。

    いつの時代にも武家を支える家族がありました。
    そうした夫婦愛であったり、家族愛であったり、友情をも美しく描かれていきます。

    最後、夫の切腹する道具を揃えるシーンなんかも夫婦愛がよく出ていたし、その時代その時代に適合した愛情表現は時代劇の見どころでもあります。

    劇中には居合いのシーンであったり、書を書くシーンもあります。
    私たちはなにげなく観ていますが役者さんのそれまでの
    かける役作りのために膨大な時間をかけられたと聞きます。
    そんな俳優さんの意気ごみもいい映画にはにじんでいるもんです。
    登場人物たちの想いの詰まった作品ではないかと。

    人はひとりでは生きられない。
    秋谷も家族の支えがあったから、ここまで生きられたと思うし、家族の大切さを思い起こさせてくれる映画でもあった。
    こういう生き方もあったんだと映画は教えてくれました。

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  • シネマ

    3
    2014/11/1

    原作未読で見ましたが、レビュー読んでかなかったらよく分からないまま終わってた気がします。読んでって良かった(笑)

    あんな事を言われた程度で改心するような人が、自分の仕えてる殿を欺くレベルの不正を働かないと思うので一点、原作読んでないとよく分からないまま終わる危険性のある編集(脚本?)で更にもう一点気になったので★3つにしときました。

    別に戸田にあんな濡れ衣着せなくても何とかなりそうな気がして釈然としない。悪党の改心がどうにも都合良すぎ。檀野が郁太郎を止めないのも解せない。俳優陣の演技は良かったので、それを考えると逆にもったいない気がする。

    郡奉行が帰ると同時に席を立った農民二人と、檀野と郁太郎が相手を打ち負かすさまはスカッとした。夫の死に装束を縫う妻の姿には涙した。殺陣も綺麗だったし、堀北真希も寺島しのぶも綺麗だった。夫婦愛も美しくて・・・やっぱりもったいない気がする映画だった。

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  • おだちん

    5
    2014/10/26

    足したり引いたりする必要のない、見事な映画です。
    誇り、忠誠、自己犠牲、憐憫。
    古臭い武士の価値観と笑うのは、現代人の心の荒みを嘆くのと同じ。
    自分はなにか譲れないものを貫き、仕事を、家族を、仲間を、世の中を守っているだろうか。
    そう考えずにはいられない作品です。
    加えて、出演者の所作、特に岡田さんの剣さばきの素晴らしさには目を見張ります。
    非常に高いクオリティを持った日本映画です。

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