敵、ある愛の物語|MOVIE WALKER PRESS
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敵、ある愛の物語

1990年7月13日公開,0分
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はからずも3人の女と結婚してしまった男の、追いつめられた苦悩を描く人間ドラマ。エグゼクティヴ・プロデューサーはジェームズ・G・ロビンソンとジョー・ロス。アイザック・バシェヴィス・シンガーの原作を基に、製作・監督・脚本は「ビバリーヒルズ・バム」のポール・マザースキー、共同脚本はロジャー・L・サイモン、撮影はフレッド・マーフィ、音楽はモーリス・ジャールが担当。出演はロン・シルヴァー、アンジェリカ・ヒューストンほか。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

49年、ニューヨークのコニーアイランド。ポーランドのナチによるユダヤ人狩りで、妻と子供を失ったハーマン(ロン・シルヴァー)は、現在は彼をナチから匿ってくれた命の恩人である女中のヤドウィガ(マルガレート・ゾフィ・シュタイン)と結婚し、ラビのレンベック(アラン・キング)の事務所で、説教の原稿書きなどをして働いていた。彼にはマーシャ(レナ・オリン)という、やはりアウシュヴィッツの生き残りの愛人が、彼女の老母シフラ(ジュディス・マリナ)と共にブルックリンに住んでおり、妻には本のセールスに出かけると言っては家を留守にしていた。そんなハーマンの前に、ある日死んだとばかり思っていた妻タマラ(アンジェリカ・ヒューストン)が姿を現わした。大戦中、ふたりは離婚寸前だった。ハーマンは彼女に、ヤドウィガが現在の妻であることを告げる。一方ハーマンは、マーシャから結婚を迫られていたが、彼女は夫のトートシャイナー(ポール・マザースキー)との離婚交渉がうまく進んでいなかった。その頃からハーマンは、結婚としがらみの苦しみに頭を悩ませるようになる。そんな折、ヤドウィガが妊娠した。そんな彼女の前にマーシャが現われ、ヤドウィガは当惑する。その頃レンベックと出会ったマーシャは、彼からフロリダの仕事を紹介され、ハーマンに一緒に行って欲しい、と頼む。しかし彼は煮えきらず、また母の死で人生に絶望したマーシャは、ひとり命を絶った。その頃ヤドウィガはタマラに付き添われ、出産していた。そしてハーマンは、女たちの前から姿を消した。残されたヤドウィカとタマラは、赤ん坊にマーシャと名付け、ふたりで育ててゆく決心をするのだった。

作品データ

原題
Enemies,A Love Story
製作年
1989年
製作国
アメリカ
配給
20世紀フォックス
上映時間
0分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

4.0
  • 晴耕雨読

    4
    2009/5/24

     舞台は1949年のニューヨーク。登場人物は皆、ナチスによるユダヤ人大虐殺の悪夢を引きずっています。テーマは極北に位置する位に暗い。それでも肩に力が入り過ぎた感じはありません。ポール・マザースキー監督は持ち前の柔軟さと温かさで喜劇的な作りの陰に悲劇的な要素を隠した原作を巧みに料理しています。確かに笑えますが心の複雑さを描いた深みのある作品です。

     ロン・シルバー演じるユダヤ人青年ハーマンは最初の妻がナチスに殺害されたと思い込み、命の恩人のポーランド人女性と再婚します。しかし妻に満足出来ない彼はナチス強制収容所の生き残りである人妻との不倫に溺れてしまいます。そこへ現れるのが奇跡的に生き残っていた最初の妻タマラ。片足が不自由になっても元気一杯の気丈な女性をアンジェリカ・ヒューストンが演じています。

     描かれているのは放蕩なプレイボーイの物語ではありません。むしろ一度は死んだはずなのに、何故か生きながらえている人々の物語です。彼と彼女たちは皆、死を怖れており、生を確認し合う手段は肉体関係だけ。そこに凝縮した情熱が輝き出します。暗い喜劇は知的で、生きる勇気が湧いてくる異色のハリウッド映画なのです。

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