リーアム・ニーソン
マイケル・マコーリー
『フライト・ゲーム』の監督&主演コンビによる、走り続ける電車の中で繰り広げられる出来事を描くサスペンス・アクション。リーアム・ニーソン演じる通勤電車に乗り込んだ中年男が、謎の女からのとある人物を捜し出せば10万ドル支払うという依頼を引き受けてしまったことから、次々と危険にさらされていく姿がつづられる。
※結末の記載を含むものもあります。
10年勤めた保険会社を60歳でリストラされ、通勤電車で常連客に挨拶をするマイケルの前に見知らぬ女が座り、ゲームをしようと持ちかける。彼女は乗客の中からある重要な荷物を持った人物を捜し出せば10万ドルを支払うという。ゲームを始めたものの、100人の乗客から1人を特定するのは無理だと諦めかけるが、妻子が人質にとられていることを知る。
マイケル・マコーリー
ジョアンナ
マーフィー
ホーソーン警部
カレン・マコーリー
ウォルト
グウェン
監督
エグゼクティブプロデューサー
プロデューサー
プロデューサー
撮影
プロダクションデザイン
脚本
脚本
脚本
[c]STUDIOCANAL S.A.S. [c]キネマ旬報社
「トレイン・ミッション」という邦題を見た瞬間、だいたいの筋が想像できるでしょ。
……実はまったく違うのですが。
見た瞬間、「暇人以外は観る必要がない三流の模倣作だ」と感じるはずです。
……その予想を、良い意味で見事に裏切る作品なのですが。
邦題が凡庸なら、あらすじも投げやりに書き飛ばされているこの作品。
しかし、いやいやいや。
ほんとうに驚嘆しました。
突然失業した初老の主人公が家路に向かう寂しさ辛さ。この抑えられた名演技から映画が始まり、一瞬の隙もなく、観客はグイグイとストーリーに引き込まれます。
列車の中で巻き起こる、ジワジワと異常さが鮮明になりゆくサスペンスの恐怖は、ヒッチコックも軽く凌駕する怖さです。
そしてついに事件はパニックへ。これも往年のパニック映画「カサンドラクロス」を軽々と超えるレベルです。
だれか一人が死なねばならない時に人々が見せた、人間としての誇りと勇気と尊厳も。
最後まで予想もつかない見事なミステリー作品としての驚きも。
そしてエンドロールのオシャレなところまで。
手抜きひとつ、ありません。
もしも映画の評価点として★6個を選択できたなら、6個でも7個でも付けたいほどの作品でしたが、この凄さを、凡庸な邦題はまったく伝えられていません。
日本の映画宣伝屋の仕事がいかに手抜きで愚劣かを証明するひとつの例だと思います。
この凄い作品に対して、いったい誰がこんな馬鹿げた邦題を付けたのか。
もしも良い案を思いつかなかったのなら、原題をそのまま使うべきなのです。
なぜなら映画の制作者たちが、日本の宣伝屋の何十倍もの時間と愛情とを込めて考え抜いたタイトルなのですから。
宣伝屋は、この映画の原題を見た瞬間、だっせー、と思ったのでしょう。
しかし、その、一見、平凡すぎるタイトルをひねり出すまでに、どれだけ頭を絞ったか。
そして実際に原題がどれほど優れているか。
わかんないのかねぇ。
ほんと情けないです。
※告知※ 今後、私のレビューは「映画コム」のほうに順次移行し、ムービーウォーカーに書いていたものは、移行終了後に削除することにしております。ご了承ください。
全体的に、ネット配信で自宅でまったり見るなら良い作品だな、という印象。
キャラ設定など何のつながりもないが、『フライト・ゲーム』の電車版っぽい。
出だしの25分ほど、主人公の置かれた日常を描くあたりはもっさりしてました。
中盤の非日常はスリリングで好き。
終盤で、脚本の粗さ、無理やりさが目立ったので興ざめ。
エンディング・クレジットが一番面白かった。
主演のリーアム・ニーソンは、本作ではなんだか「沈黙の〇〇」セガールにも似た扱い。の長身マッチョなせいか、『96時間』シリーズや『バトルシップ』『フライト・ゲーム』など、いかついアクション俳優ってイメージが強いのかもしれない。
しかし、『沈黙 -Silence-』のフェレイラ神父役や、『シンドラーのリスト』のシンドラー役、『ザ・シークレットマン/Mark Felt』のマーク・フェルト役みたいな、抑えた演技のほうが、個人的には好き。