60歳の人生を生きた芸術家、今井次郎の創作の秘密に迫るドキュメンタリー。作曲家、ミュージシャン、造形作家、パフォーマーなど、既存の枠組みにとらわれない活動を続けた今井の足跡と存在を、莫大な資料や過去の音源・映像、関係者インタビューで解き明かす。2012年に悪性リンパ腫となった今井は、死に至る半年間の入院生活のなかで、病院食を使った「ミールアート」などをSNSで発信し続けた。2021年にはそれらが『今井次郎病院作品集』として出版され、彼のユニークな才能にいま注目が集まっている。監督は今井とは劇団『時々自動』で知己となった青野真悟と大久保英樹。「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎 90 歳」「沖縄スパイ戦史」などの橋本佳子がプロデューサーを務めた。
ストーリー
2018 年 2 月、今井次郎トリビュートライブが開催された。今井が関わったバンドや劇団、今井にインスパイアされ、彼を尊敬している若いミュージシャンが集った。追悼ではなく「今こそ必要な音楽」として今井作品が演奏された。この一夜限りのライブ映像を主軸に、今井本人のパフォーマンス映像や今井作品の広がりについての取材映像がリミックスされていく。今井は悪性リンパ腫による死に先立つ半年間の入院生活中にも膨大な作品を残した。ノートの端や薬の袋、献立表など、さまざまな紙片に走り書きされていた譜面、ツイッターなどに発表し続けたシュールな回文、絵やオブジェ、彼の死の当日が初日となってしまった劇団『時々自動』の公演での新作曲。死への意識の迫力を伝える一方で、ガン病棟の病院食を使って表現した「ミールアート」は日々、 SNS などで発信され続けた。厳しい抗がん剤治療の最中の、ユーモアあふれる写真。芸術家の本能的な覚悟。一人の「そのようにしか生きられなかった芸術家」を基点にした、シリアスだけどユーモアにあふれた最高にハッピーなドキュメンタリー。
スタッフ
監督、撮影、編集
青野真悟
監督、撮影、編集
大久保英樹
ライブ撮影
山崎裕
ライブ撮影
高野大樹
ライブ録音
清水克彦
レコーディングエンジニア
内田直之
企画
桐山真二郎
プロデューサー
橋本佳子
EED
織山臨太郎
MA
富永憲一
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
[c]キネマ旬報社