選挙取材歴25年を越える50歳のフリーライター、畠山理仁に密着し、その苦悩と情熱、そして日本の民主主義の現在地に迫ったドキュメンタリー。2022年7月の参院選・東京選挙区で34人の候補者全員に取材を試みる畠山。その肩越しに映る世界とは? 監督は「なぜ君は総理大臣になれないのか」、「香川1区」などでプロデューサーを務めた前田亜紀。
ストーリー
選挙の面白さを伝えるフリーランスライター、畠山理仁。国政から地方選、海外まで、選挙取材歴は25年を越え、候補者全員を取材することを記事執筆の信条としている。全員が同額の供託金を支払い、対等な立場で立候補しているにも関わらず、世間からは“泡沫候補”と呼ばれ、黙殺されてしまう候補者たちがいる。畠山は、敬意を込めて彼らを“無頼系独立候補”と呼ぶ。その取材実績をまとめた書籍『黙殺~報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い~』(集英社)は、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞するなど、高い評価を受けてきた。そんな畠山の肩越しにカメラを据えると、一体どんな世界が映るのか。2022年7月の参院選・東京選挙区で34人の候補者全員への取材を試みる畠山に文字通りの“密着取材”を敢行。都内各所で行われる候補者の街宣を分刻みで巡っていくと、そこには超個性的な候補者の姿が。候補者が珍種なら、取材者である畠山もまた珍種。1人で選挙現場を走り回り、睡眠時間は平均2時間。本業の原稿書きもままならず、経済的に回らない本末転倒な生き方を続けてきた。そんな畠山ももう50歳。お金にならない選挙取材人生によって、これまで家族にも散々迷惑をかけてきた。“この生き方もそろそろ潮時”と、参院選の最終日、引退を口にした。9月に行われた沖縄県知事選の取材を最後にすると語る畠山を追って、沖縄へ。そこで出会ったのは、他の地域では見られない、有権者の選挙への高い参加意識と、民主主義を諦めない県民の思いだった……。日本の民主主義の現在地と、選挙に憑りつかれたフリーランスライターの情熱と苦悩に迫るドキュメンタリー。