「死霊館」シリーズでも描かれた怪奇譚、再び…『ラ・ヨローナ ～彷徨う女～』が日本公開

第76回ヴェネチア国際映画祭や第32回東京国際映画祭など世界の映画祭で絶賛された傑作ホラー『ラ・ヨローナ ～彷徨う女～』が7月10日(金)に公開決定し、幻想的なポスタービジュアルと予告編が解禁された。

本作は、1960年から36年にわたって、25万人の死者を出したと言われるグアテマラの内戦の歴史をベースに、中南米に伝わる怪奇伝説「ラ・ヨローナ」を取り入れたホラー。グアテマラの軍事政権による大虐殺から30年後、当時将軍として虐殺を指揮したエンリケのもとにメイドとしてやってきたアルマの周囲で起こる奇妙なできごとを描いていく。

作品を手掛けるのは、『火の山のマリア』(15)で第65回ベルリン国際映画祭の銀熊賞を受賞し、世界が大きな期待を寄せる新鋭ハイロ・ブスタマンテ監督。悲劇に彩られた歴史と幻想的な世界観を、現代の恐怖の物語として恐ろしくも美しい映像に仕立て上げている。

今回解禁されたポスタービジュアルには、水面に浮かび、儚く悲しげな表情を見せるアルマの姿が。彼女はいったい何者で、なにを訴えているのか。美しく謎めいた印象的なビジュアルとなっている。そして、予告編には内戦時の事件を巡る歴史的裁判が続くなか、自身の正当性を訴える元将軍エンリケとその家族が、突如聞こえてきた女のすすり泣く声や、混乱のなか現れた新しいメイドの存在により、徐々になにかに追い詰められていく姿が映しだされている。

背筋をゾクゾクさせながらも、繊細かつ巧妙に組み立てられたホラーストーリーの奥に隠された深い悲しみにも注目したい。

文/トライワークス