黒沢清、『CURE』『蛇の道』『蜘蛛の瞳』を語る!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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インタビュー 2020/11/26 12:00

黒沢清、『CURE』『蛇の道』『蜘蛛の瞳』を語る!

現在絶賛公開中、『スパイの妻』で第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(=監督賞)に輝いた黒沢清。今年はさらに吉報が。11月27日(金)より、Jホラーブーム前夜に発表した傑作サイコ・サスペンス『CURE』(97)が、ついに4Kデジタル修復を経て初のブルーレイ化となるのだ! メイキング+新規インタビューで構成された「CORE OF CURE」ほか全196分もの映像特典、初期プロット『伝道師』のシノプシスを収めたブックレットなどが付き、おまけに入手困難となっていたカルト作、『蛇の道』『蜘蛛の瞳』(98)のDVDも新HDマスター仕様で同時発売される――というわけでここに、ご本人の貴重な証言をいただいた。

「すごくイヤ〜な感じで終わる、でもそれが面白いエンターテインメントにしよう、と」

――世界に黒沢監督の名前を一躍知らしめた『CURE』ですが、その前、90年代中頃までは、当時隆盛していたオリジナルビデオでのお仕事が多いですね。

黒沢「そうです。一連のオリジナルビデオではずいぶんと、思い切ったことをやらせてもらえました。ほとんど同じスタッフが集っていて、自分的にはつくっただけで100%満足、ちょっと不遜な言い方かもしれないけれども、結果どれだけビデオが売れるかとか商業的なことはちっとも考えてなかったですね。それぐらい一本一本、制約のない自由な現場でした」

――そんな中、久々の映画、猟奇殺人事件を追う刑事が主人公の『CURE』は97年の年末に封切られ、翌98年の2月と4月には『蛇の道』と『蜘蛛の瞳』を発表。これはオリジナルビデオの企画だったのですが、まず短期間、劇場公開され、のちに『修羅の極道 蛇の道』『修羅の狼 蜘蛛の瞳』のビデオタイトルでリリースされました。

黒沢「3本とも撮ったのは97年だったんですよ。まだまだフィルム撮影での時代。『CURE』を仕上げた直後、秋に『蛇の道』と『蜘蛛の瞳』を立て続けに。精力的でしたね」

【写真を見る】役所広司、萩原聖人、うじきつよしらが共演
【写真を見る】役所広司、萩原聖人、うじきつよしらが共演[c] KADOKAWA 1997

――1年で3本! いずれも今に通ずる「黒沢作品らしさ」が横溢していたと思うのですが、特に意識されていたことは?

黒沢「何か深い意図があったわけではないんですけど、3本とも気分としては通底していて、いちばん分かりやすい言葉を探すと、すごくイヤ〜な感じで終わる、でもそれが面白いエンターテインメントにしよう、と。ホラーとは少し違うんですよ。“怖い”ではなくて、『うわ、おぞましいものを見ちゃったよ』って殺伐とした気持ちにさせるような映画を念頭に置いて、試行錯誤していた時期でしたね。ジョナサン・デミ監督の『羊たちの沈黙』を観て、ほぼその直後、90年代の初頭に『CURE』は構想が浮かんだんです。あれこそイヤさが快感に変わる映画の代表作でしょう」

――なるほど、クリーピー(ゾッとする、不気味)なテイストがたまらない。後年、監督が『クリーピー 偽りの隣人』(16)を撮られるのも納得です。しかし映画化まで、けっこう時間がかかりましたね。

黒沢「すでに準備していた『伝道師』というタイトルのプロットと組み合わせてシナリオを書いたのですが、なかなか実現には至りませんでした。それが役所広司さんの主演が決まったことで、大映(現・KADOKAWA)の製作で企画が動き出した。大映が『映画にしたい』と言ってくれたのが大きかったと思います。つくっている時は楽しかったですねえ〜。オリジナルビデオよりはバジェットがあり、役所さんみたいな大物俳優を演出する、という点では緊張しましたけど、とりたてて気合いを入れたわけではなく、他の作品と同じように臨み、やっていたこともオリジナルビデオと差はなかったんですから」

――それが出品されたロッテルダム映画祭やブリュッセル国際ファンタスティック映画祭など、今日まで続く海外での高い評価につながっていく。

黒沢「まったく、予想外のことでしたねえ」

■『CURE』4Kデジタル修復版 Blu-ray
発売日:2020年11月27日(金)
価格:¥4,800(税抜)
発売/販売元:KADOKAWA

■『蛇の道』
発売日:2020年11月27日(金)
価格:¥2,500(税抜)
発売/販売元:KADOKAWA

■『蜘蛛の瞳』
発売日:2020年11月27日(金)
価格:¥2,500(税抜)
発売/販売元:KADOKAWA

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