井上芳雄『ソードアート・オンライン』声優に抜擢!「舞台でもこんな声は出したことがない」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
井上芳雄『ソードアート・オンライン』声優に抜擢!「舞台でもこんな声は出したことがない」

インタビュー

井上芳雄『ソードアート・オンライン』声優に抜擢!「舞台でもこんな声は出したことがない」

ミュージカル俳優の井上芳雄が、『劇場版 ソードアート・オンライン −オーディナル・スケール−』(2月18日公開)で声優にチャレンジした。「新しい世界に飛び込むチャンスは、できる限り参加するようにしている」と言う井上。向上心と謙虚さを忘れないその姿勢に、“ミュージカル界のプリンス”たる理由が隠れていた。

原作は川原 礫による人気小説(「電撃文庫」刊)。TVアニメ化も大ヒットしたシリーズ初の劇場版となる本作。AR(拡張現実)型ゲームを舞台に、主人公キリトたちが新たな冒険を繰り広げる物語だ。井上はキリトのライバル的存在となる謎の剣士・エイジを演じている。

人気アニメの声優への抜擢に「世界的にヒットしているシリーズのお話をいただけるなんて、ドッキリかなと。びっくりしました」と驚きを隠せない井上。「ほとんど声優のお仕事もやったことがないので、初めてでわからなことばかり。知らない世界に飛び込むことは大変だけれど、想像がつかないようなことをやるのは好きなので、どんな話なんだろう、どういうふうに録るんだろうとすごく楽しみにしていました」。

もちろんプレッシャーも感じていた。「僕みたいな者がポッと来てやらせていただくのは、おこがましいこと。きちんと勉強された方がやる専門的なお仕事」と話すが、「伊藤智彦監督は、普通の俳優さんやミュージカルをやっている僕みたいな者が入ってくることで、ちょっと違う風が吹いたらうれしいとおしゃっていて」と監督の言葉も背中を押してくれた様子。

井上自身は、「新しいお話をいただいたら、スケジュール的にできなかったり、あまりにも自分の方向性と違ったりしない場合は、できる限り飛び込んでみるようにしている」と求められる新境地に、前のめりで参加するタイプ。「自分で思い知らないと納得できないところがあって。自分のできないことを知るためにも、いろいろな経験をしたいと思っています」と言う体当たり派だ。

「やっぱり同じ場所にいると、そこだけで偉くなってしまうというか。やり方がわかっていくと、慣れてきてしまう。僕はそうしながら向上していくのは難しいと思っていて。今回のように声優さんのアフレコ現場に行くと、『すいません、わからないので』と違う立場になるわけです。もちろん同じ場所で偉くなっていくことは気持ちいいですし、だからそこはせめぎ合いですね(笑)」。地位に甘んじることなく、努力を怠らないからこそ、ミュージカル界の第一線を走り続けられるのだろう。

実際のアフレコ現場では、シリーズの声優陣と一緒に収録に臨んだ。どんな経験ができたのだろう。「舞台だと『気持ちができるまでセリフを言うな』と教えられるんです。『愛しているというセリフなら、愛しているという気持ちになるまで待て』と。でもアニメの現場では、例えば『24秒でこのセリフを言う』と決まっている。俺の心はどうしたらいいんだと(笑)!そこに合わせられるみなさんの技術は、本当に素晴らしかった。戦う場面では、『舞台でもこんな声は出したことがない』という声を出しましたね。全てがカルチャーショックのようでしたが、みなさんに優しくしていただき、色々と教えていただきました」。

他に気づいたことを聞いてみると、「声優さんがおきれい」と素直なコメントを発してインタビュー会場も大爆笑。このトーク力も彼の大きな魅力だが「僕のファンの方々には、『息子がソードアート・オンラインを好き』とおっしゃっている方もいて。ご本人は知らなくても、『息子が好きなので気になっていた。井上さんが出るなら絶対に観ます』という話も聞きました」とファンからのうれしい反応を告白。

本シリーズについて「ミュージカルもそうですが、知っている人はとことん知っているし、知らない人は知らないということもあるのかな」と話し、「描かれているのはファンタジーが加わった世界の話ですが、そこで繰り広げられているのは脈々と受け継がれて来た人間くさい営み。僕はそこがすごく魅力だと思ったんです。アニメだから、ミュージカルだからと言って、二の足を踏んでしまうことってとてももったいないこと。是非たくさんの方々に観ていただきたいです」と熱くアピールする。彼の声優としての演技は、驚くほど達者。彼の演技も楽しみに、是非とも本作の世界に飛び込んでみてほしい。【取材・文/成田おり枝】

関連作品