香港の“男神”アンディ・ラウ&ルイス・クーが激突!せめぎ合う2大スターのキャリアを振り返る|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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コラム 2020/12/13 21:00

香港の“男神”アンディ・ラウ&ルイス・クーが激突!せめぎ合う2大スターのキャリアを振り返る

ブルース・リーをはじめ、ジャッキー・チェン、チョウ・ユンファ、チャウ・シンチーなどこれまで名スターを数多く輩出してきた香港映画界。最近はなかなか若手からスターが生まれていないことが悩みの種だが、言い換えてみればそれだけベテラン勢の存在がまだまだ大きいということ。

先日、ソフトがリリースされたばかりの『ホワイト・ストーム』も、ベテランたちの健在ぶりを楽しめる作品の一つで、アンディ・ラウとルイス・クーという香港映画界の重鎮がしのぎを削っている。アンディといえば、映画賞を何度も受賞し、日本でも抜群の知名度を誇る大スター。一方、ルイスはデビュー以来なかなか賞に恵まれてこなかったことから“無冠の帝王”とも呼ばれるなど、どこか影の存在的な印象も…。『ホワイト・ストーム』でも、そんなキャリアを思わせるような役柄に扮しているので、ここで改めて2人の歩みを振り返りたい。

ハリウッド作にも出演!“四大天王”の一人として華々しく活躍

まずは現在59歳のアンディから。幼少期から芸能活動をしていた彼は、1980年に入所した香港の民放TV局・TVB俳優養成所を卒業後、1982年の『望郷』で映画デビュー。本格的に役者として歩み始めていく。1985年からは歌手としての活動も並行してスタートすると、俳優としても『ゴッド・ギャンブラー』『いますぐ抱きしめたい』(ともに88)などでインパクトを残し、“四大天王”と呼ばれるまでの存在になっていく。

アンディの代表作となった『インファナル・アフェア』は後にハリウッドリメイクもされた大傑作
アンディの代表作となった『インファナル・アフェア』は後にハリウッドリメイクもされた大傑作[c] 2002 Media Asia Films(BVI)Ltd. All Rights Reserved.

約170作という膨大な出演作の中でも代表作と言えるのが、2002年からの「インファナル・アフェア」シリーズだろう。マフィアに潜入する捜査官と警察に入り込んだマフィア、それぞれが抱える葛藤が描かれる本作で、ラウはマフィアから警察に潜入する男を演じ、組織を裏切り善人になろうとする男の苦悩を体現。アンディもその名を広く知らしめることになった。作品は、後にスコセッシ×ディカプリオで『ディパーテッド』(06)としてハリウッドリメイクされたり、日本でも香川照之×西島秀俊のドラマ「ダブルフェイス」としてリメイクされた。

その他にも、チャン・イーモウ監督の『LOVERS』(04)や同監督のハリウッド作『グレートウォール』(16)といった超大作にも出演し、国際的に活躍してきた彼だったが、2017年、タイでの広告撮影中に落馬し、重傷を負う悲劇に見舞われてしまう。事故の恐怖から心にも傷を負った彼だったが、リハビリの末、カムバック。この『ホワイト・ストーム』で、華々しく復帰を果たしたのだ。

ジョニー・トー作品の常連の実力派もなかなか賞に恵まれず…

一方、アンディの少し下の世代にあたる現在50歳のルイス。彼はモデルとして芸能界に入ると、アンディのキャリアのきっかけにもなったTVBと契約し、93年頃から本格的に俳優活動をスタートさせる。初期は主にテレビドラマで経験を積むと、次第に映画でも活躍の場を広げていき、それと同時に2000年には歌手としてもデビュー。伝統的な香港のスター街道を突き進んでいく。

ジョニー・トー作品に頻繁に登場しているルイス・クー『ホワイト・バレット』
ジョニー・トー作品に頻繁に登場しているルイス・クー『ホワイト・バレット』[c]2016 Media Asia Film International Limited All Rights Reserved

これまで出演した作品は100作にも及ぶルイス。その中でもジョニー・トー監督とのタッグを組むことが多く『柔道龍虎房』(04)や「エレクション」シリーズ、『ドラッグ・ウォー 毒戦』(12)など9作品に出演。トーとの最新作『ホワイト・バレット』(16)など、ノワール作品において、凄みを感じさせる演技とアクションの両方をこなせる存在として重宝されてきた。

高い演技力と人気を兼ね備えているにも関わらず、映画賞からは見放されていたため、隠れた実力者という印象の強いルイス。しかし2017年の『SPL 狼たちの処刑台』では、娘を誘拐され、事件の解決しようと独自捜査をする怒れる警察官を熱演すると「香港電影金像奨」の最優秀主演男優賞と「アジア・フィルム・アワード」の主演男優賞に選ばれ、ようやく栄冠を手に。さらに2018年にはチャリティーに熱心なことも評価され、華人の発展に貢献した人に贈られる「世界傑出華人奨」にも選ばれ、陽の目を見ることとなった。

5度目の共演となる2大スターが義兄弟としてぶつかり合う!

【写真を見る】アンディ・ラウとルイス・クーのぶつかり合いが見応えありすぎ!(『ホワイト・ストーム』)
【写真を見る】アンディ・ラウとルイス・クーのぶつかり合いが見応えありすぎ!(『ホワイト・ストーム』)[c]2019 ALL RIGHTS RESERVED BY UNIVERSE ENTERTAINMENT LIMITED /FOCUS FILMS LIMITED.

そんな2人は、これまで『センチュリー・オブ・ザ・ドラゴン』(99)、『アンディ・ラウの麻雀大将』(02)、『新世紀Mr.Boo! ホイさま カミさま ホトケさま』(03)、『プロテージ/偽りの絆』(07)と(一部の作品では共演シーンはないが)4度同じ作品で名を連ねているが、本作『ホワイト・ストーム』ではガチで激突!火花を散らす競演で魅せてくれる。

全世界興収200億円突破するほどのヒットを記録し、アカデミー賞国際長編映画賞の香港代表にも選ばれた本作は、かつて同じマフィアに所属し、義兄弟とも言える存在だったが、袂を分かつことになる2人の男の因縁を描くノワールアクションだ。

かつての義兄弟をめぐる因縁を描くノワールアクション(『ホワイト・ストーム』)
かつての義兄弟をめぐる因縁を描くノワールアクション(『ホワイト・ストーム』)[c]2019 ALL RIGHTS RESERVED BY UNIVERSE ENTERTAINMENT LIMITED /FOCUS FILMS LIMITED.

アンディが演じているのは、マフィアでの堕落的な生活から抜け出し、金融界の大物として華やかな暮らしを手に入れるティン。一方、ルイスは組の掟を破り麻薬に手を出したことから、ティンに制裁として指を落とされた上に組を追われるディゾンを演じている。このディゾンが、香港の裏社会を牛耳る麻薬王として、ティンの前に突如として姿を表し平穏な生活をかき乱していく。

アンディ・ラウとルイス・クー!香港の大スターが激突!(『ホワイト・ストーム』)
アンディ・ラウとルイス・クー!香港の大スターが激突!(『ホワイト・ストーム』)[c]2019 ALL RIGHTS RESERVED BY UNIVERSE ENTERTAINMENT LIMITED /FOCUS FILMS LIMITED.

ラスト15分のカーチェイスをはじめ、香港映画らしいド派手なアクションもさることながら、やはり見どころは、この香港2大スターが見せる演技合戦だ。20年来の仲が崩れ去る際の悲痛そうな眼差しや憎しみ合う関係に変わった二人の間に漂う不気味な緊迫感、互いの鬱憤が爆発し思いの丈をぶつけ合う鬼気迫る表情…。長年のキャリアで積み重ねられた男としての深みを感じさせる演技は圧巻だ。

長きにわたり香港映画界を牽引する、アンディ・ラウとルイス・クー。ベテランならではの卓越した演技合戦は、ぜひチェックしてみて欲しい。

文/武藤龍太郎

■『ホワイト・ストーム』
DVD 発売中
価格:3,980円+税
発売・販売元:ツイン

■『ホワイト・バレット』
DVD 発売中
価格:4,743円+税
発売元:ハーク
販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

■『インファナル・アフェア』
『【おトク値!】インファナル・アフェア』 発売中
価格:ブルーレイ 2,500円+税 DVD/1,800円+税
発売元:カルチュア・パブリッシャーズ
販売元:ポニーキャニオン

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