「007」「ロッキー」のMGMが売却を模索、ソニーには問い合わせ急増?パンデミックがもたらしたハリウッド地殻変動|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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映画ニュース 2020/12/27 6:30

「007」「ロッキー」のMGMが売却を模索、ソニーには問い合わせ急増?パンデミックがもたらしたハリウッド地殻変動

ウォールストリート・ジャーナル紙によると、ハリウッドの老舗スタジオMGMは正式な売却のプロセスを探っているという。非公開株に基づいた同社の時価総額は負債を含めて約55億ドル。MGMの現在の筆頭株主は、元ゴールドマン・サックスの幹部が率いるヘッジファンド「アンカレッジ・キャピタル」で、同社のCEOはMGMの取締役会のトップでもある。

MGMは、「ロッキー」シリーズや「007」シリーズなどの映画フランチャイズ、「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」などのテレビ番組を含む、4000本以上の映画作品と1万7000時間以上のテレビ番組のライブラリーを持つ。シリーズ25作目となる『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は海外配給網をユニバーサル・ピクチャーズに託していたが、劇場公開日が今年11月12日から2021年4月2日に延期されている。

MGMの負債はパンデミックにより映画の公開日程が幾度となく変更になったことが明らかに影響しており、どのスタジオも打開策を探っているところだ。クリスマス休暇に突入したアメリカでは依然パンデミックが収束する気配はなく、2021年も相当数の劇場が閉鎖されたままになるだろう。自社でストリーミングサービスを持つディズニーやワーナー・ブラザースは早々にネット配信に舵を切ったが、MGMなどストリーミングを持たないスタジオは作品の売却以外に主だった手立てがない。

北米では『ワンダーウーマン 1984』が劇場公開と同時にHBOMaxで配信
北米では『ワンダーウーマン 1984』が劇場公開と同時にHBOMaxで配信

一方、12月初旬にワーナー・ブラザース映画の親会社であるワーナー・メディアが、2021年公開予定全作品を劇場公開と同時に同社のストリーミングサービスHBO Maxで配信するという決定を下したことにより、劇場主やクリエイターから非難が殺到。『DUNE /砂の惑星』と『GODZILLA VS. KONG』を共同製作しているレジェンダリー・ピクチャーズとワーナー・ブラザースとの間では引き続き協議が行われているとの報道もある。

ワーナーの決定の余波を受け、ストリーミングサービスを持たずに現在も劇場公開を続けているソニー・ピクチャーズには、クリエイターからの問い合わせが急増しているそうだ。ソニー・ピクチャーズのトニー・ヴィンシクエラCEOによると、「当社と一緒に仕事をしたいという映画製作者からの関心が多く寄せられている。クリエイター、俳優、監督からの電話の数が増え、(この状況は)とても良い影響をもたらしている。我々にとっては、劇場公開期間が柔軟になったことに利点が多い」と述べている。

先日のワーナーの決定には、ノーラン監督ほか映画界からも非難が殺到
先日のワーナーの決定には、ノーラン監督ほか映画界からも非難が殺到写真:SPLASH/アフロ

大手シネコンチェーンのAMCやアメリカでリーガル・シネマズを経営するCinemarkは、劇場公開からPVOD(プレミアム・ビデオ・オン・デマンド)化までの期間を短縮することで、ユニバーサル映画と合意している。通常であれば劇場公開から3か月程度を劇場公開し、その後プレミアム料金で配信するPVODに移行するのが慣例だったのを、最短17日で移行できるよう変更。

ただし、公開週末の興行成績が5000万ドルを超える作品については、移行までの期間を31日間もしくは5回の週末とする取り決めを行った。ソニー・ピクチャーズは現時点でユニバーサル映画のようにシネコンチェーンとこのような取り決めを行っていないが、CEOのコメントから察すると話し合いが行われているということだろう。

大手シネコンも大打撃を受けた2020年
大手シネコンも大打撃を受けた2020年写真:SPLASH/アフロ

2020年のパンデミックは、ハリウッドのスタジオと映画館チェーンの関係を大きく変えてしまった。おそらく2021年も、ハリウッドの地殻変動は続いていくだろう。

文/平井伊都子

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