まだ観てないの?スピンオフ&シーズン3製作も決定した「ザ・ボーイズ」のおもしろさを再確認
企業利益のためヒーローを利用するヴォート社
単なる勧善懲悪のヒーロー作品ではなく、政治や宗教、企業、ジェンダー、差別など現代社会の多様な問題を痛烈にドラマに盛り込んでいるのも「ザ・ボーイズ」の特徴。バラク・オバマ元大統領も本作をお気に入りの1本に挙げており、「人種問題や資本主義の問題を露わにし、企業の圧力やマスメディアの歪みを描いている」とインタビューで語るなど、そのブラックなストーリーを絶賛している。
セブンの面々が利己的であるのは上述の通りだが、彼らを抱えるヴォート社もまた、世間的には人道援助を掲げながらも、その実は企業利益を優先。ヒーローたちを使って会社の権威を強めようとしており、劇中では米軍と会社の契約の必要性を訴え、国防にまで影響力を持とうとする様子が描かれていた。
そういった社会的なメッセージはシーズン2になるとより顕著で、ストームフロント(アヤ・キャッシュ)というレイシストのヒーローも新たに登場。国民同士の対立を煽り、社会が分断されていく様子は現実ともリンクする。
また、所属するヒーローの一人が同性愛者であることを知ったヴォート社が、そのことを世間に公表させ、会社のイメージアップにつなげようとするなど、個人の性的マイノリティまで企業に搾取されるという現実の生々しさまでもが映しだされている。
欠点や欠陥ばかりの登場人物たちの人間くさいドラマ
一方で、ザ・ボーイズのメンバーも完璧な人間というわけではない。セブンを憎むビリーは最愛の妻を殺された(と信じている)ことへの復習心から行動しており、時には目的達成のために残酷な手段を選ぶことも。方針を巡って仲間同士でもめることも多々あり、欠点や欠陥を抱えた登場人物たちの人間くさいドラマも魅力となっているのだ。
シーズン2の好評を受けてスピンオフの製作も発表。さらに、シーズン3も決まっており、撮影は2021年にスタートし、現在のコロナ禍の社会を物語に反映するとも噂されている。ますます盛り上がる本作の波に乗り遅れる前に、シーズン1と2を一気に鑑賞してみてはいかがだろうか?
文/サンクレイオ翼