『君の名は。』実写リメイク版も控えるチョン監督が明かす『ミナリ』制作秘話「映画が終わった瞬間、家族全員で抱き合うことができた」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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インタビュー 2021/4/4 12:45

『君の名は。』実写リメイク版も控えるチョン監督が明かす『ミナリ』制作秘話「映画が終わった瞬間、家族全員で抱き合うことができた」

今年のアカデミー賞で作品賞、監督賞など6部門でノミネートを達成した『ミナリ』(公開中)。リー・アイザック・チョン監督は、賞レースでの自作への高い評価に対し、あくまでも謙虚な表情で次のように語り始めた。
「こうして『ミナリ』が評価されることに心から敬意を表しますし、なにより、受賞やノミネートによって多くの人が作品に興味をもってくれる状況がうれしいです。もし『ミナリ』がオスカーに輝けば、出演者、スタッフと一緒に“チーム”として誇りに感じることでしょう。とにかくいまは心を平穏に保つことにしています」

「受賞やノミネートによって多くの人が作品に興味をもってくれる状況がうれしい」

ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞受賞に喜ぶリー監督
ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞受賞に喜ぶリー監督(c)NBC

『ミナリ』は、ロサンゼルスから南部アーカンソー州に移り住んだ、韓国系移民一家が主人公。チョン監督も移民の両親の下にコロラド州で生まれ、家族と共にアーカンソー州へ引っ越したので、半自伝的なストーリーなのである。一家の幼い息子デビッドには、明らかに監督自身が投影されている。
「本作で最も重要視したのは、家族関係と、それぞれの考え方の違い、そして人生への向き合い方です。あくまでも物語はフィクションですが、私の両親は現在もアーカンソー州に住んでいますし、『ミナリ』の家族構成は、私たちとまったく同じ。ですから両親は『自分たちの映画が作られるのでは?』と心配していたと思います。ただ両親はユン・ヨジョンさんの大ファンで、彼女が息子の映画に出ると知って、その部分だけは興奮していましたが(笑)」

【写真を見る】アメリカ南部に越してきた韓国人移民一家がひたむきに生きる姿を描く(『ミナリ』)
【写真を見る】アメリカ南部に越してきた韓国人移民一家がひたむきに生きる姿を描く(『ミナリ』)[c]2020 A24 DISTRIBUTION, LLC All Rights Reserved.

こうした状況から、完成した映画を真っ先に観てもらったのも家族だったと、チョン監督は付け加える。
「映画が公式上映される3週間前の、2019年の感謝祭で、私は家族に『ミナリ』を観てもらいました。姉は『家族みんなにストレスを与えたのよ』と、私を犯罪者扱いしましたが、映画が終わった瞬間、そのストレスは一気に解消され、家族全員で抱き合うことができたのです。あの夜は、一生忘れられない美しい時間になりましたね」

どこか懐かしい家族の風景が描き出される(『ミナリ』)
どこか懐かしい家族の風景が描き出される(『ミナリ』)[c]2020 A24 DISTRIBUTION, LLC All Rights Reserved.

ちなみにチョン監督の父親が「あの描写は懐かしかった」と感激したのが、一家4人が床の上で並んで寝そべるシーン。しかし監督によると「あれは私の創作で、父の思い出と重なったのは偶然」とのこと。『ミナリ』が移民という枠を超えて普遍的な感動を呼ぶのは、誰の心にもある家族の原風景が紡がれるからかもしれない。

父ジェイコブは、息子に成功する姿を見せたいと奮闘する(『ミナリ』)
父ジェイコブは、息子に成功する姿を見せたいと奮闘する(『ミナリ』)[c]2020 A24 DISTRIBUTION, LLC All Rights Reserved.

そうした普遍的な感動を呼び起こすドラマを後押ししたのは、『ミナリ』を製作、配給した会社である。プランBエンターテインメントとA24。映画ファンにはおなじみの“傑作保証”の2社だ。アカデミー賞に絡む映画を次々と送り出し、両社が組んだ『ムーンライト』(16)は2016年度、アカデミー賞作品賞に輝いている。
「他のスタジオなら敬遠するであろう韓国人移民のドラマを、リスクを恐れずに引き受けてくれただけあって、プランBもA24も、私のビジョンを全面的に支持すると断言してくれました。『ミナリ』は脚本も私が手掛けたので、作家性を重視してくれたようです。そのうえで彼らはスタジオとして、そしてプロデューサーとしての適切なアドバイスを与えてくれました。しかも韓国語も使ってサポートしてくれたのです。特に参考になったのが編集に関してのアドバイスで、私と編集者はそれらの多くを納得して取り入れました」

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