金子修介、樋口真嗣両監督が証言!いまなお愛される「平成ガメラ三部作」“特撮”の魅力とは|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
金子修介、樋口真嗣両監督が証言!いまなお愛される「平成ガメラ三部作」“特撮”の魅力とは

コラム

金子修介、樋口真嗣両監督が証言!いまなお愛される「平成ガメラ三部作」“特撮”の魅力とは

昨年、記念すべき第1作『大怪獣ガメラ』(65)の公開から55周年のメモリアルイヤーを迎えた、大映が誇る怪獣“ガメラ”。昨年12月には「平成ガメラ三部作」の第1作となる『ガメラ 大怪獣空中決戦』(95)が、今年2月には『ガメラ2 レギオン襲来』(96)が立て続けに4K HDR版としてドルビーシネマで上映。特撮ファン、怪獣映画ファンを熱狂の渦に包み込んだ。

ドラマ性の高いストーリーが後世に大きな影響を与えた『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』
ドラマ性の高いストーリーが後世に大きな影響を与えた『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』[c]KADOKAWA 徳間書店 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ 日販/1999 

そして本日より、「平成ガメラ三部作」の最終章である『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』が東京・丸の内ピカデリーと大阪・梅田ブルク7のドルビーシネマにて上映開始。本稿では、この公開にあわせて発売される、ファン待望のパンフレット「ガメラ55周年プロジェクト『平成ガメラ三部作』劇場用プログラム」のなかから、「平成ガメラ三部作」で特技監督を務めた樋口真嗣と、土川勉プロデューサー、金子修介監督のインタビューを抜粋しながら、本シリーズの特撮パートの魅力に触れていきたい。

「平成ガメラ三部作」の第1作となった『ガメラ 大怪獣空中決戦』
「平成ガメラ三部作」の第1作となった『ガメラ 大怪獣空中決戦』[c]KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ/1995

『ガメラ対深海怪獣ジグラ』(71)以来24年ぶりのシリーズ完全新作となった『大怪獣空中決戦』。五島列島に現れた古代怪獣のギャオスと、それを迎え撃つ地球の守護神ガメラの壮絶な戦いを描き、怪獣映画としては異例の高評価を獲得。続く『レギオン襲来』では札幌に現れた宇宙怪獣のレギオンと、『邪神<イリス>覚醒』では奈良県の山中に現れたイリスとの戦いが描かれ、それと並行するようにガメラを取り巻く人間たちのドラマが3作に連なるように展開。魅力的な怪獣の造型やバトルシーンの迫力、感情を揺さぶる高いドラマ性は、特撮作品に限らず多くの作品、作家に影響を与えた。

「『特撮を本編に揃えるので、先に撮り終えてください』と無茶なお願いをしました(笑)」(樋口)

特技監督として参加した樋口真嗣は当時まだ20代!
特技監督として参加した樋口真嗣は当時まだ20代![c]KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ/1995

当時まだ20代ながら特技監督を務めた樋口といえば、後に『シン・ゴジラ』(16)で庵野秀明総監督とともに日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞。『シン・エヴァンゲリオン新劇場版』(公開中)にもスタッフとして参加し、監督を務める『シン・ウルトラマン』(公開未定)も控えるなど、いまや日本を代表するクリエイターの一人として知られている。
この「平成ガメラ三部作」には当初美術スタッフとして参加する予定だった樋口は、脚本家の伊藤和典の協力もあり、自ら土川プロデューサーに願い出て特技監督のポストに就くことになったそうだ。

「キネマ旬報ベスト・テン」にランクインするなど、怪獣映画としては異例の高評価を獲得した
「キネマ旬報ベスト・テン」にランクインするなど、怪獣映画としては異例の高評価を獲得した[c]KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ/1995

「時間も予算もなく、正直に言うと1作目は妥協の産物。高い評価をいただけたのは各々のスタッフが頑張ってくれたことと、金子監督の協力に尽きます」と、“特技監督”としての初仕事を振り返った樋口。「『特撮を本編に揃えるので、先に本編を撮り終えてください』と無茶なお願いをしたところ、僕のやりたいことを理解して応じてくださったんです。自分が監督になったいまだからわかるのですが、なかなかできる事じゃない(笑)」。


【写真を見る】『シン・ゴジラ』の原点!? 樋口真嗣がこだわった“画コンテ”をパンフレットで公開!
【写真を見る】『シン・ゴジラ』の原点!? 樋口真嗣がこだわった“画コンテ”をパンフレットで公開!

そんな樋口が現場でもっとも重視していたのは画コンテだったそうで、「1作目の時は金子監督に出来上がった画コンテを見てもらって、2作目以降は最初から金子監督と一緒に描くようになりました」と語る。
怪獣たちの動きやミニチュアなど、特撮シーンをどのように撮ってどのように見せたいのか。労力をかけて徹底的にこだわり抜いたヴィジュアルこそ、本シリーズが四半世紀近く経ったいまなお特撮ファンから愛されつづける最大の理由であろう。また「画コンテへの執着が僕が監督の道へ進んだ理由かもしれません」と語るように、後に樋口が携わる様々な傑作の原点とも言えるのかもしれない。

1996年に公開された『ガメラ2 レギオン襲来』
1996年に公開された『ガメラ2 レギオン襲来』[c]KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ 富士通 日販/1996
丸の内ピカデリーで、『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』ドルビーシネマ上映記念プレゼントキャンペーンが実施中!

https://www.smt-cinema.com/site/marunouchi/news/event/detail/036511.html

「ガメラ55周年プロジェクト『平成ガメラ三部作』劇場用プログラム」「ガメラ55周年プロジェクト『平成ガメラ三部作』劇場用プログラム」
「平成ガメラ三部作」の立役者である金子修介監督、樋口真嗣特技監督、脚本の伊藤和典氏のインタビューや、監督たちの書き込み台本を特別公開!また、「水曜どうでしょう」のディレクター陣や、著名人が語る“ガメラ愛”。当時のガメラの印象を知ることができる報道記事・コラム記事など、ここでしか見られない内容が盛りだくさん。
発売中 定価:1,540円(10%税込)
ムービーウォーカー刊