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クロエ・ジャオ監督、『ノマドランド』チームの絆を語る!監督賞受賞スピーチ全文&受賞後インタビュー

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クロエ・ジャオ監督、『ノマドランド』チームの絆を語る!監督賞受賞スピーチ全文&受賞後インタビュー

アカデミー賞の93回の歴史のなかで、『ハートロッカー』(08)のキャサリン・ビグロー監督以来史上2人目、有色人種の女性として、初の監督賞を受賞したクロエ・ジャオ。中国に生まれ、中学生の頃から海外で教育を受けた彼女のアウトサイダー的視点が、アメリカの原点を浮かび上がらせるような『ノマドランド』(公開中)を作り上げた。クロエ・ジャオ監督のスピーチからは、彼女を信じて入魂の企画を託したプロデューサーのフランシス・マクドーマンドが作り上げた『ノマドランド』ファミリーの固い結束が感じられた。ジャオ監督の受賞が発表された瞬間、マクドーマンドの目には涙が浮かんでいた。

スピーチで語った『ノマドランド』チームとの固い絆
スピーチで語った『ノマドランド』チームとの固い絆[c]2020 20th Century Studios. All rights reserved.


3年前、『スリー・ビルボード』(17)で主演女優賞を受賞した際に発した「インクルージョン・ライダー(包摂条項)」がハリウッドの映画製作状況に変化をもたらし、性別、人種、性的などのマイノリティに門戸が開かれていった。そして、ジャオ監督は受賞後のインタビューで、作品賞受賞の際にマクドーマンドが「できる限り映画館で観てください」と言った後に「ウォォーン」と叫んだのは、3月に35歳の若さで亡くなったサウンド・ミキサーのマイケル・ウルフ・スナイダーに捧げられた雄叫びだと明かしている。下記は、ジャオ監督の監督賞受賞スピーチ全文。

クロエ・ジャオ監督 監督賞受賞スピーチ全文

『ノマドランド』(公開中)で監督賞を受賞したクロエ・ジャオ監督
『ノマドランド』(公開中)で監督賞を受賞したクロエ・ジャオ監督Todd Wawrychuk / A.M.P.A.S.

ああ、どうもありがとうございます。アカデミー賞に感謝します。素晴らしく、優秀な候補者の仲間たち、ありがとうございます。
『ノマドランド』ファミリーのみなさん、私たちの生涯に一度のクレイジーな旅は、本当に素晴らしいものでした。本当にありがとうございました。とても感謝しています。
私は最近、物事が複雑になったときにどうやって前に進むのかをよく考えていました。そして、子どもの頃に学んだことを思い出していました。中国で育った私は、父と一緒に中国の古典的な詩や文章を暗記するゲームをしていました。一緒に暗唱して、お互いの文章を完成させるという遊びです。そのなかでも特に印象に残っているのは「三字経」で、最初のフレーズは“人之初 性本善”というものでした。

人は生まれながらにして善良なものであるーー。この6文字は、子どもの頃の私に大きな影響を与え、今でも心から信じています。時には、反対のことが起きているように見えるのも確かです。しかし、私は世界のどこに行っても、出会った人々のなかに善意を見出してきました。
このオスカーは、どんなに難しくても、自分自身のなかにある善意を保ち、お互いのなかにある善意を持ち続けるという信念と勇気を持っていた人のためのものです。そして、これはあなたのためです。あなたのおかげで、私は前進し続けることができます。ありがとうございました。

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