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緊急事態宣言延長による東京都の休業要請を受け、全興連が声明「心が張り裂ける思い」

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緊急事態宣言延長による東京都の休業要請を受け、全興連が声明「心が張り裂ける思い」

当初4月25日から5月11日までの17日間の予定だった新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が7日、5月末日まで延長されることが発表された。
それに伴い、政府は12日以降の休業要請の範囲を緩和し、20時までの時短営業を認める方針に切り替えたが、各自治体の休業要請との間で齟齬が生じることに。科学的知見に基づかず、かつ合理性を著しく欠いたそもそもの方策も相まって、ひたすら混迷を極めることとなっている。

まず、12日以降の各映画館の対応はそれぞれ異なっているため、詳細については各映画館のホームページやSNSなどで確認してほしい。
代表的な例を挙げると、TOHOシネマズでは東京都と大阪府の映画館で引き続き休業を決定。イオンシネマも東京都と大阪府の映画館は休業、京都府と兵庫県では平日のみ営業を再開するほか、埼玉県や神奈川県など複数の県の劇場で営業時間の短縮などを行なう。
ほかに延床面積1000平方メートルに満たないミニシアターなどを中心に、時短など一層の感染対策を強化したうえで営業を再開する見込みとなっている。

【写真を見る】映画館ではガイドラインを徹底し、厳重な感染対策を講じている
【写真を見る】映画館ではガイドラインを徹底し、厳重な感染対策を講じている写真は2020年6月5日のTOHOシネマズ日比谷


そうしたなか、映画館を中心とした興行場の業界団体である全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)は「映画を愛する皆様へ」と銘打った声明文を発表。
東京都で映画館が施設規模に応じた休業要請の対象となっていることを「痛恨の極み」としたうえで、「当然ながら、感染拡大防止に最大限の協力を行うことに関しては一点の疑問もなく、ただ今回の措置に合理的かつ公平なご説明をいただきたいと願うばかりです。それが、非常に重い私権の制限を我々に課す行政側の責務であると考えております」と苦言を呈す。

そして「東京都の映画館を閉めることは、実質上全国規模の映画の公開が不可能なこととなり、すでに明日には新しい基準が適用される12日が迫っていることから、多くの映画が中止や延期の判断に追い込まれつつあります。新作の映画が提供されなくなった他府県の映画館、関係する配給会社、製作会社、出演者やスタッフまでも苦境に立たされています。彼らの悲痛な叫びには心が張り裂ける思いです」と、映画興行の中心地である東京都の映画館が休業することによって全国に波及し、映画界全体を脅かすことになるという窮状を訴えた。

現に、当初の緊急事態宣言の措置期間を踏まえて4月29日から5月12日へ公開が延期されていた『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』は再延期を決定。5月28日(金)に公開を予定していた『100日間生きたワニ』も公開延期を発表するなど、多くの作品が苦渋の決断を余儀なくされている。

『賭ケグルイ』最新作など、話題作が続々公開延期に…
『賭ケグルイ』最新作など、話題作が続々公開延期に…[c]河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX[c]2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会

昨年の4月に発令された最初の緊急事態宣言で大きな打撃を受けた映画界。その後徐々に回復の一途をたどり、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(公開中)や『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(公開中)などの大ヒット作を世に送りだし、世界でもいち早く映画館が復活した国として注目を浴びることとなった。しかしここにきて、再び1年前の状態に逆戻りしようとしている。

前述の声明文にもある通り、感染者を1人も出さないことを目的としたガイドラインを徹底して遵守してきた映画館では、現在までクラスターを発生させることなく営業を続けてきた。

Twitter上では現在「#映画館への休業要請に抗議します」や「#SaveTheCinema」のハッシュタグをはじめ、映画・演劇・音楽・美術を包括した「#WeNeedCulture」や「#文化芸術は生きるために必要だ」といった、文化を守ろうとする運動が活発化しており、あらゆる面において事態の改善が急がれるところだ。

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