蛍舞う月夜、剣心と沖田総司が一騎打ち!『るろうに剣心 最終章 The Beginning』“夜”のアクションが生まれる現場|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
蛍舞う月夜、剣心と沖田総司が一騎打ち!『るろうに剣心 最終章 The Beginning』“夜”のアクションが生まれる現場

インタビュー

蛍舞う月夜、剣心と沖田総司が一騎打ち!『るろうに剣心 最終章 The Beginning』“夜”のアクションが生まれる現場

大友啓史監督の手による「るろうに剣心」には、実は夜のシーンがよく似合う。文明開化が訪れ、新たな時代が到来する明るいワクワク感もまた「るろうに剣心」の魅力だが、シリーズ第2作『るろうに剣心京都大火編』(14)での京都が火の海になるクライマックス、戦艦上でのバトルしかり、「るろうに剣心」シリーズの“夜”のアクションは白眉だった。

“流浪人”である剣心のイメージから一転。剣心と巴の間になにがあったのか?
“流浪人”である剣心のイメージから一転。剣心と巴の間になにがあったのか?[c]和月伸宏/集英社 [c]2020 「るろうに剣心」最終章 製作委員会

ついに6月4日(金)に公開となる完結編『るろうに剣心 最終章 The Beginning』で、それらを更新するようなアクションシーンが生まれた。近藤勇・土方歳三と共に「新選組一番隊組長」として活躍する沖田総司(村上虹郎)と剣心が対峙する、中盤のクライマックスだ。MOVIE WALKER PRESS編集部は2019年2月、真冬の京都で行われた撮影現場を訪れた。ストイックな現場の様子を、大友監督のインタビューと共にお届けする。

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は、「なぜ、剣心は二度と人を斬らないと誓ったのか?」「頬の十字傷はなぜついたのか?」というシリーズ最大の謎に迫る、「るろうに剣心」始まりの物語。剣心役を務めてきた座長、佐藤健が「剣心のこのエピソードをお客さんに知ってもらって初めて『るろうに剣心』が完結します」とまで語る、集大成だ。“追憶編”と呼ばれ、原作ファンからひじょうに人気のあるエピソードでもある。

桂小五郎(高橋一生)は、“人斬り抜刀斎”として暗躍する剣心を見守る存在
桂小五郎(高橋一生)は、“人斬り抜刀斎”として暗躍する剣心を見守る存在[c]和月伸宏/集英社 [c]2020 「るろうに剣心」最終章 製作委員会

本作で描かれる剣心は、倒幕派である長州藩のリーダー、桂小五郎(高橋一生)のもと暗殺者として暗躍し、無慈悲な“人斬り抜刀斎”と恐れられていた。舞台は1864年、元治元年。剣心が、十字傷同様にトレードマークである“逆刃刀”を手にする前の時代だ。大友監督は「斬れば血が流れる、その返り血を浴びながら、剣心が真剣で散々人を斬っていた時代。“神速の人斬り抜刀斎”ですから、彼が刀を抜いた瞬間に、もう相手は斬られている。そういった、ためらいのないアクション…アクションという言葉よりも、立ち回りといったほうがいいのかな。間合いも逆刃刀の時とは違って“斬る”ことを重視した、時代劇に近い形になっていると思います」と語る。

見学させてもらったのは、京都御所への放火を謀議していた攘夷派志士を、新選組が襲撃した“池田屋事件”に連なるシーン。池田屋にいるはずの桂を助けに向かった剣心と、若くして天才剣士とたたえられるほどの武闘派である沖田が遭遇。蛍が乱舞する夜道で、刀を交わすことになる。

【写真を見る】初解禁のカットも!“真剣”を手にした緋村剣心と沖田総司が一騎打ちする
【写真を見る】初解禁のカットも!“真剣”を手にした緋村剣心と沖田総司が一騎打ちする[c]和月伸宏/集英社 [c]2020 「るろうに剣心」最終章 製作委員会

本作で初登場となる沖田総司役を演じたのは、村上虹郎。『武曲 MUKOKU』(17)で第41回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞、『孤狼の血 LEVEL2』(8月20日公開)や『燃えよ剣』(10月15日公開)など出演作も多数待機中の、若手きっての演技派だ。

「いい感じに生意気で、大好きな若者ですね」と笑いながら紹介してくれた大友監督。いつか一緒に仕事をしたかったと言い、「初日からめちゃくちゃ良いですねえ。彼の物怖じしない性格もあって、“緋村抜刀斎”佐藤健に真っ向からぶつかり、“剛”の抜刀斎に対し、まるで猫のようなしなやかな動きを見せてくれています」と手応えを感じていた。このアクションシーンについては、「桂を助けに行こうと急いでいる剣心だけれど、刀を合わせた瞬間すぐに、沖田が腕の立つ人間だということがわかる。剣の道を極めた者同士が思わず引き込まれ、相手との戦いにのめりこんで行く」と、剣豪たちが静かに闘志を燃やすシーンだと解説してくれた。


十字傷がトレードマークの剣心だが、このころはまだ一本傷の姿
十字傷がトレードマークの剣心だが、このころはまだ一本傷の姿[c]和月伸宏/集英社 [c]2020 「るろうに剣心」最終章 製作委員会

実際に撮影現場に入って、まず驚かされたのは、“人斬り抜刀斎”としての佐藤健のたたずまいだ。第1作で“イケメン俳優”のイメージを覆して以来、佐藤にとって自他ともに認める代表作となった「るろうに剣心」シリーズ。神谷道場の仲間たちを見る柔和な表情、「おろ?」と言うとぼけた表情、ときに厳しく人を守るために戦う…そうした剣心像を、シリーズ最終作にして覆して見せた。少し体重を落として挑んだという『The Beginning』の佐藤は、夜の撮影現場でもわかるほど、輪郭がソリッドになっていた。『The Beginning』は始まりの物語ではあるが、10年間にわたって剣心役を演じ、剣心についてストイックに考えてきた者だけがたどり着ける境地にも思える立ち姿だった。

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