“時間経過”への挑戦。細田守監督が『おおかみこどもの雨と雪』で綴った、一人の女性の13年間|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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コラム 2021/7/2 22:52

“時間経過”への挑戦。細田守監督が『おおかみこどもの雨と雪』で綴った、一人の女性の13年間

2012年に公開された『おおかみこどもの雨と雪』は、細田監督にとって2作目となるオリジナル長編映画だ。2006年の『時をかける少女』、2009年の『サマーウォーズ』が高校生を主人公にしていたのに対し、本作のヒロインは女子大生。しかも“おおかみおとこ”と恋に落ち、やがて2児の母親となる。大ヒットした前2作が爽やかな青春路線だったことを考えると、かなり思い切った路線変更だった。

過酷な運命を経て、少女から母へと変化するヒロイン、花の強さ
過酷な運命を経て、少女から母へと変化するヒロイン、花の強さ[c]2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

少女から母へと変化する“13年間”を2時間で描くという挑戦

本作の着想を得たきっかけを、細田監督は「自分の身近で親になった夫婦、特に母親がカッコよく輝いて見えた」と語っている。監督自身の体験と憧れがそのまま作品に投影されたわけだが、“子育て”を主題とするアニメーション映画は当時まだ珍しく、アニメファンの目には画期的に映った(2018年にはさらにアップデートされた『未来のミライ』が公開される)。また、前2作との違いについては“時間経過”を挙げ、「13年間という長い時間を2時間の映画の中で描ききるというのは自分にとって大きな試み」ともコメント。物語の冒頭で19歳だった主人公の花は、ラストシーンを迎えた時点では32歳に。環境や考え方がもっとも激しく変化するであろう20~30代女性の人生に正面から向き合うことが、相当にチャレンジングだったことは想像に難くない。

自然の中でのびのびと成長する雪と雨
自然の中でのびのびと成長する雪と雨[c]2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

最終的な興行収入は前2作を上回り、細田作品では、『バケモノの子』の58.5億円に次ぐ42.2億円を記録。難しいキャラクターである花という役に寄り添った宮崎あおい、おおかみおとこ役の大沢たかおらボイスキャスト陣の好演も高く評価された。監督の試みは大成功だったと言えるだろう。

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