石井裕也作品にとって池松壮亮の存在とは?『ぼくたちの家族』から『アジアの天使』へと続くタッグを振り返る|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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コラム 2021/7/19 11:30

石井裕也作品にとって池松壮亮の存在とは?『ぼくたちの家族』から『アジアの天使』へと続くタッグを振り返る

現代の社会やそこに生きる人々を常に深く見つめ、誰かが決めた悪しき常識に抗うように、自分の撮るべき映画を自分のスタンスで撮り続けている石井裕也監督。現在上映中の『アジアの天使』は同監督が初めて韓国でのオールロケを敢行した“アジアの家族”の物語で、主演はもちろん池松壮亮だ。

「もちろん」と書いたのは“もちろん”意識してのこと。石井監督の映画をずっと観てきた人、池松壮亮をずっと追いかけてきた人なら、彼らがただの監督と俳優の関係ではないことは感じていたに違いない。

『アジアの天使』は公開中
『アジアの天使』は公開中[c] 2021 The Asian Angel Film Partners

監督、石井裕也と俳優、池松壮亮の固い信頼関係

2人の最初のタッグは、2012年にWOWOWのドラマWで放送された「エンドロール~伝説の父~」。この作品で父の7回忌のために帰郷する大学生を演じた池松は、『ぼくたちの家族』(14)、『バンクーバーの朝日』(14)、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)、『町田くんの世界』(19)、そして『アジアの天使』と、実に6作もの石井裕也作品に出演している。

それだけでも石井監督が池松に全幅の信頼を寄せていることが分かるが、池松が今回、共同制作である韓国サイドとの折り合いがなかなかつかず、実際にクランクインするまでに3年の歳月が流れ、さらに韓国俳優のスケジュールの都合で3か月も撮影が延びたというのに監督のもとから離れなかったのを見れば、彼が石井監督の才能や映画に対する姿勢を心から支持しているのは明白だ。


事実、昨年刊行された石井監督の著書「映画演出・個人的研究課題」(朝日新聞出版)に寄せた巻末の解説で、池松は石井監督のことを「非凡だと思う、明らかに天才だと思う」と言い切っている。この言葉は、石井監督にずっと寄り添ってきた池松のものだけに説得力がある。

しかも彼自身、なにかに抗うように自分の映画を求めている節があるし、敬愛する中国の俊英、ジャ・ジャンクーとの対談に積極的に参加し、ただ演じるだけではなく、映画の世界全体を俯瞰で捉えているような人にも思える。映画を批評する能力に長けていることも、様々な映画のことを語ってきた池松のこれまでのコメントを振り返れば一目瞭然だ。

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