初めて明かされる『るろうに剣心』10年の秘話が満載!大友啓史監督が読者の質問に次々回答|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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インタビュー 2021/7/18 21:30

初めて明かされる『るろうに剣心』10年の秘話が満載!大友啓史監督が読者の質問に次々回答

シリーズのグランドフィナーレとして2部作として連続公開され、メガヒットを記録中の『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』。2011年に映画第1作が誕生してから10年という歳月が流れ、主演の佐藤健はいまや押しも押されもせぬトップスターとなった。コロナ禍での公開延期を経てようやく封切られた2作だが、シリーズ全作で監督を務め、脚本も手掛けてきた大友啓史監督は、完結を迎えたいま、どういう心境なのだろうか。

そこで今回、MOVIE WALKER PRESSではユーザーからTwitterで募った質問の数々を大友監督にぶつけて答えてもらう“AMA”(=Ask Me Anythingの略。ネットスラング風に言うと「大友啓史だけど、なにか質問ある?」といった意味)を実施。話を聞くと「荒波のなかで敢えて船出をした」と言う大友監督の胸中には、様々な葛藤があったようだ。今回は、『The Final』や『The Beginning』の製作秘話やこぼれ話はもちろん、パーソナルな側面に切り込んだ話まで、大友監督が語ってくれた様々なトピックをお届けする。

「原作から映画に脚本を起こす時、どのようにまとめていくのですか。文章からですか、映像からですか?」(40代・女性)

「るろうに剣心」シリーズのメガホンをとってきた大友啓史監督
「るろうに剣心」シリーズのメガホンをとってきた大友啓史監督[c]和月伸宏/集英社 [c]2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

「前提として、まずは撮影のことはまったく考えずに書き始めます。『るろうに剣心』の場合は原作がありますから、ストーリーの大きな流れは決まっています。『The Beginning』であれば、剣心と雪代巴(有村架純)との十字傷にまつわる出会いと別れの物語。『The Final』は、それを受けての剣心と雪代縁(新田真剣佑)の間に横たわる確執の復讐譚。それを軸に、必要な要素を取捨選択しながら、一番ワクワクするストーリーを探っていきます。同時に、それぞれのキャラクターを強化し、どういう形でどの程度登場させるかを考えます。

『るろうに剣心』シリーズの場合、特にこだわっているのは、冒頭でどれだけお客さんのハートをつかめるかということ。様々なアイデアで書き始め、中心となる人物を軸に物語を動かしていき、一旦ざっくりと最後まで書いてからリライトをしまくります。“ライティング イズ リライティング”ですからね。

一稿一稿リライトを終えるたびに、脚本の書体も明朝体やゴシック体などまったく別の字体に変えてプリントアウトして、真っ白な、新鮮な気持ちで読み返すよう心掛けています。字体を変えるのは、僕ではない誰かが書いたものとして、客観的に読むための僕なりの工夫です。あちこち読む場所も変えて、読んではまたパソコンで修正し、再度別な字体で打ちだすという作業を繰り返します。最初は剣心、次に巴や縁の気持ちになって読んだり、時には俳優の意見を聞きながら、次第に実際に撮ることを考え、手を加えていきます。その後ロケハンをし、場所を考慮したり時代考証を重ねたりして修正し、ようやく第一稿が完成します」

「『るろうに剣心』初期からキャスト発表が楽しみでした。キャスティングはどのような考え方でされているのかを知りたいです!」(20代・男性)

歴代キャストが集結し、怒涛の展開を迎える最終章
歴代キャストが集結し、怒涛の展開を迎える最終章[c]和月伸宏/集英社 [c]2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

「漫画原作の映画化作品だと、どうしてもキャラクターと似ているか似てないかが議論されます。もちろん原作のイメージは考慮しますが、やはり二次元の世界なので、僕はそこを少し離れ、まずは役としての経歴を重視します。例えば、高荷恵(蒼井優)なら、会津の名家の医者で生まれたけど、戊辰戦争で天涯孤独の身となり、武田観柳に出会うという、リアルなプロフィールを想像しながら、生身の人間として捉える努力をします。

僕が一番大事にしているのは、その役者さんがいかにして役を引き寄せ、もしくは、役と一心同体となって芝居にのめり込んでくれるかという点です。それができる俳優たちは、自然に役と同化していく気がします。そのあと、衣装やメイクを用意して、彼ら彼女らが堂々と演じられるように作り込んでいく。つまり二次元の絵柄をなぞるのではなく、僕なりの基準で、フィクションでありつつもしっかりと生身の芝居と感情に落とし込んでいく。そこには、明確に技術と思考のツール、そして準備期間が必要です。

また、相手役との芝居の相性もあるし、スケジュール調整も必要なので、1つの役に4~5人の候補を考えておかなければならない。日本の俳優たちは忙しいですからね。最終的にはパズルのような思考作業を得て、決めていきます。みなさんが思っている以上にギリギリまで粘って、ベストチョイスを探しています」

「『The Beginning』で描かれている『追憶編』は、原作漫画やアニメと大きくテイストが異なる物語です。大友監督がアニメ版の追憶編をご覧になり、どう感じたのかをお聞きしたいです」(20代・男性)

「アニメ版の追憶編は、『最終章』の企画が始まり、脚本を書く前に1回観直しましたが、アニメでここまでストイックにやるのか!と感銘を受けました。当然10年前に第1作を撮る前にも観ましたが、引きずられすぎてもよくないので、通しで観たのはその2回だけです。すばらしい作品だと感じましたし、当然触発されている部分も少なくありません」

「『The Beginning』の舞台挨拶で、大友監督は『想像以上の演技力(迫力)でカットをかけ忘れた』と言われていましたが、どのシーンでしょうか」(40代・女性)

「いや、覚えてないですね、そんなシーンあったかな。迫力云々ということではありませんが、剣心が縁と最初に出会って、神谷道場の面々に過去を告白した後で雨に打たれるシーンでは、長い時間カットをかけませんでしたね。あのシーンは天気かなにかの都合で撮りこぼし、別日にもう1回撮り直しました。雨の降り具合や濡れ方、スモークの動きなど、細かい部分にかなりデリケートにこだわったので、テイクを重ね、めちゃくちゃ長回しをした記憶があります」

「剣心のポニーテールの高さが、時により異なりますが、そのあたりは意識して変えていますか?」(30代・女性)

佐藤のポニーテールの位置にも演出意図が!
佐藤のポニーテールの位置にも演出意図が![c]和月伸宏/集英社 [c]2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

「髷の高さは、年齢の見え方に影響します。髷が少し高めだと若く見え、少し荒ぶっている感じになりますが、低いと少し落ち着いた印象になります。スタンダードな高さはありますが、時代によっても変えるし、あとは現場で、衣装さんやメイクさんと健くんが話しながら、細かい調整をやっていたと思いますね」

「『The Final』と『The Beginning』では撮影方法が異なっていると思いました。『The Beginning』で、剣心をかばって斬られる巴のシーンを、カメラを固定して撮影されたのは、どのような意図があったのでしょうか?」(10代・女性)

有村架純を演出する大友監督
有村架純を演出する大友監督[c]和月伸宏/集英社 [c]2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

「あのシーンは引いた横画の固定ショットだけではなく、当然いろんなカットを撮っています。その結果、息が止まるような瞬間をどう印象づけるかということで、撮影監督の石坂拓郎さんが足を据えて撮ったものをマスターショットとして選択し、一番印象に残るように編集しました。その場で起きていること、そして「生きている」登場人物たちの感情を思うと、とてもカメラを動かせるようなシーンではありません。フィクションとはいえ、カメラはレンズ前で起きていることの目撃者でもあります。カメラを動かすことなどできない、ただ見つめることしかできない瞬間だったと思います」

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