【今週の☆☆☆】胸アツの青春ストーリー『犬部!』、規格外のアニメーション『サイダーのように言葉が湧き上がる』など、週末観るならこの3本!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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コラム 2021/7/23 9:30

【今週の☆☆☆】胸アツの青春ストーリー『犬部!』、規格外のアニメーション『サイダーのように言葉が湧き上がる』など、週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、林遣都と中川大志が、犬や猫たちの命を救うため活動する獣医科大学生を演じる熱血青春映画、言葉と音楽をキーワードに紡ぐ“ボーイ・ミーツ・ガール”ストーリー、伝説のSF小説を『メッセージ』などの天才作曲家ヨハン・ヨハンソンが映画化した叙事詩の、観たら誰かと語りたくなる3本!

行き場のない動物たちのために奮闘する“犬ばか”たちの奮闘を爽やかに…『犬部!』(公開中)

キャストと動物たちの触れ合いにも思わずほっこり(『犬部!』)
キャストと動物たちの触れ合いにも思わずほっこり(『犬部!』)[c]2021『犬部!』製作委員会

獣医科大学生による実在したサークル「犬部」をモチーフとする青春ドラマ。犬部設立の経緯と、犬部メンバーのその後の再会をベースに保護犬や保護猫たちが抱える諸問題が丁寧に描かれる。林遣都演じる主人公である颯太の“犬ばか”っぷりにはハラハラさせられるが、ひとつでも多くの命を救うため獣医師になったという志は16年たっても健在で、その揺るぎない姿勢はそのまま “動物の命に責任を持つ” 本作の主張を体現する。また、瑞々しい感性で本質を描く篠原哲雄監督&動物保護をテーマとするドキュメンタリーを手掛けてきた山田あかね脚本でつむがれるこの胸アツのストーリーでは、現実社会で行き場を失くした動物たちが直面している状況が登場人物たちの壁や課題として語られ、そのどれもがやるせなくも鋭い痛みを伴う。一方、青森県十和田市の美しい大自然とともに展開する奮闘劇の味付けはかなり爽やかで、中川大志扮する同じく“犬ばか”の柴崎と颯太のバディ感もじわじわと効いてくるし、なにより動物たちの無垢の演技にメロメロになること請け合いだ(ライター・足立美由紀)

シュワッと弾ける、極上の「夏の青春映画」…『サイダーのように言葉が湧き上がる』(公開中)

【写真を見る】ポップでカラフルな映像美に惹き込まれる!(『サイダーのように言葉が湧き上がる』)
【写真を見る】ポップでカラフルな映像美に惹き込まれる!(『サイダーのように言葉が湧き上がる』)[c]2020 フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会

タイトルは俳句。だから、ここに出てくる“サイダー”とは夏の季語なのだが、作品自体がシュワッと弾ける極上の「夏の青春映画」になっている。と言っても、ただただ明るく、爽やかに突っ走るのではない。炭酸水に苦味が少々含まれているように、青春期の痛みも影を落とし、共にコンプレックスを抱えた男女の高校生が主人公だ(ボイスキャストの歌舞伎役者・八代目市川染五郎と杉咲花のカップリングがぴったり!)。とにかく規格外の作風で、全篇鮮やかなパステルカラーの彩色が施され、タギング(グラフィティアート)、俳句、レコード、動画配信などが重要なディテールに。つまりは「言葉」と「音楽」と「映像」のアマルガム。バンド経験があり、これが劇場デビュー作となるイシグロキョウヘイ監督の豊かなイメージの具現は、挿入歌担当、今や世界的なシティポップのアイコン、大貫妙子の声が響きわたる終盤の展開でクライマックスに達する!! (ライター・轟夕起夫)


未来や宇宙について、インスピレーションを刺激する…『最後にして最初の人類』(公開中)

巨大な戦争記念碑を様々な角度から映し続けることでSFな世界観を創出(『最後にして最初の人類』)
巨大な戦争記念碑を様々な角度から映し続けることでSFな世界観を創出(『最後にして最初の人類』)[c]2020 Zik Zak Filmworks / Johann Johannsson [c]Sturla Brandth Grøvlen

ビョークやシガー・ロスと並ぶアイスランドを代表する世界的な音楽家で、『ボーダーライン』(15)、『メッセージ』(16)などの映画音楽でも知られるヨハン・ヨハンソン。2018年2月に突然この世を去った彼が、最後に監督した“最初で最後の”長編映画が『最後にして最初の人類』だ。1930年に出版されたSF小説が原作で、ヨハンソンが遺した「SF 文学を通じて、記憶と叶わなかったユートピアについて思いを巡らせる」という言葉の通り、未来や宇宙について、私たち観客のインスピレーションを刺激する。とは言え、旧ユーゴスラビアに点在する巨大な戦争記念碑<スポメニック>を映し続ける映像には、ストーリーらしいストーリーがあるわけでなく、かなり前衛的で難解なのは間違いない。しかし、大聖堂に反響するようなヨハンソンの音楽や、ティルダ・スウィントンの厳かなナレーション。そして何より、巨大なスポメニックを様々な角度から捉えた視点と16mmフィルムの粗い画質も相まって、地球ではない、どこか別の惑星に来たような感覚にさせてくれる。ある意味、過去のどんなSF映画よりもSFな世界と言えるかもしれない。作品が投げかけるメッセージについて考察するのもよいが、まずはその映像と音楽に全身で浸ってみてほしい。(ライター・平尾嘉浩)

週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!なお、緊急事態宣言下にある都道府県の劇場の一部では引き続き臨時休業を案内している。各劇場の状況を確認のうえ、足を運んでほしい。

構成/サンクレイオ翼

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