映画でおなじみのホラーアイコン!“生ける屍”のモンスター・ゾンビ【妖怪大図鑑】
勇者に選ばれた少年と個性豊かな妖怪たちが巨大な“妖怪獣”に立ち向かう、大人から子どもまでドキドキしながら楽しめる、夏休みにぴったりの映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』が現在公開中だ。この連載「妖怪大図鑑」では、本編に登場する妖怪&人間たちを一挙に紹介。映画の予習にはもちろん、映画を観たあとに気になったキャラクターのトリビアまで丸わかり。ちょっとコワくて、どこか憎めない、お気に入りの妖怪を探してみよう!
『妖怪大戦争 ガーディアンズ』は、伝説の妖怪ハンターの血を引く気の弱い小学生、渡辺ケイ(寺田心)が廃校の神社で赤いおみくじを引いたことから始まる物語。フォッサマグナから現れた巨大な“妖怪獣”を倒すため、勇者を待ち望む妖怪たちの世界へ導かれていくケイが冒険のなかで出会うのは、見た目も個性も様々な妖怪たち。ケイと妖怪たちは妖怪獣に対抗するため、最終兵器“大魔神”を復活させることに。
第50回:“生ける屍”のモンスター・ゾンビ
今回紹介するゾンビは、墓地からよみがえった“生ける屍”のモンスター。元々はアフリカのコンゴで信仰される神様「ンザンビ」に由来しており、やがてカリブ海ハイチの民間信仰であるブードゥー教と合わさり、犯罪者の遺体をよみがえらせて労働力として利用したとか。一般的にイメージされる凶暴さや感染力の高さなどは、後々の映画作品で定着。なかでもジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(68)を皮切りにホラーアイコンとして浸透し、世界的に“ゾンビ映画”というジャンルが成立するように。埋葬文化のない日本などでは、ウイルス感染などでゾンビ化するという設定も見受けられるなど、その拡がりは著しいものがある。
本作では、日本の妖怪たちだけでなく世界中のモンスターたちも一堂に会した世界妖怪会議<ヤミット>のシーンで登場する。議場でイエティの隣に座っているゾンビは、東京方面へ向かう妖怪獣に進路変更を交渉した河童がぺしゃんこにされてしまったことを知り、ほかの海外モンスターたちと一緒に大盛り上がり。ぬらりひょんが協力を申し出た際には、日本妖怪たちの席にそっと近付いてくる様子も見られ、パンチの効いた見た目とは対照的に愛嬌あるキャラクターなのかも…。
全50回にわたったこの「妖怪大図鑑」も、今回が最終回。『妖怪大戦争 ガーディアンズ』には、本連載で紹介した妖怪たち以外にも、たくさんの妖怪やモンスターなどが登場。是非とも劇場で、画面いっぱいに現れる様々なキャラクターたちをチェックしてほしい!
文/久保田 和馬