「ムーミン」「くまのプーさん」「指輪物語」はここから誕生した!著名作家たちの人生に迫る映画たち|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
「ムーミン」「くまのプーさん」「指輪物語」はここから誕生した!著名作家たちの人生に迫る映画たち

コラム

「ムーミン」「くまのプーさん」「指輪物語」はここから誕生した!著名作家たちの人生に迫る映画たち

日本はもちろん、世界中で愛される「ムーミン」の生みの親として知られるフィンランドの作家、トーベ・ヤンソン。彼女の半生や「ムーミン」誕生の軌跡にも迫る『TOVE/トーベ』が現在公開中だ。そこで今回、本作と同じく著名な作家やその創作活動を描いた映画のなかから印象的な作品をピックアップ。見どころとあわせて紹介していきたい。

『TOVE/トーベ』のほか作家やその創作活動に迫った映画を紹介!
『TOVE/トーベ』のほか作家やその創作活動に迫った映画を紹介![c] 2020 Helsinki-filmi, all rights reserved

「ロード・オブ・ザ・リング」&「ホビット」の壮大な物語を創り上げたJ・R・R・トールキンの青春時代に迫る『トールキン 旅のはじまり』

ピーター・ジャクソンによって「ロード・オブ・ザ・リング」&「ホビット」三部作として映画化された「指輪物語」と「ホビットの冒険」。これらのベストセラー小説を執筆し、現代のファンタジーの基礎を築いたと言われる作家、J・R・R・トールキンの物語を映画化したのが『トールキン 旅のはじまり』(19)だ。

3歳で父親を、12歳で母親を亡くし、母親の友人で後見人でもあるモーガン神父のサポートにより名門キング・エドワード校へ入学したトールキン。そこで芸術を愛する3人の少年と出会い、「芸術で世界を変えよう」を合言葉にかけがえのない絆で結ばれていく。さらに、3つ年上の女性エディスと恋に落ち、トールキンの青春時代は充実したものになるが、第一次世界大戦の勃発によってすべてが一変してしまう。

「指輪物語」&「ホビットの冒険」の作者として有名なJ・R・R・トールキンの半生に迫る『トールキン 旅のはじまり』
「指輪物語」&「ホビットの冒険」の作者として有名なJ・R・R・トールキンの半生に迫る『トールキン 旅のはじまり』写真:EVERETT/アフロ

トールキンを演じるのは、「X-MEN」シリーズなどのニコラス・ホルト。エディス役のリリー・コリンズのほか、シェイクスピア劇などで活躍してきた名優デレク・ジャコビもトールキンが師事する言語学者役で出演している。仲間たちと秘密クラブ「T.C.B.S.」を結成し、芸術や夢について語り合う様子やエディスとの恋物語は瑞々しさを感じさせる青春ストーリー。一方で、壮絶な従軍経験も描かれ、戦争の残酷さも浮き彫りに。トールキンが出会った人々や戦争によって様々な犠牲を払った経験が、彼が創り上げた壮大な物語の世界観に影響を与えたのだと想像させる。ちなみに、ホルトはJ・D・サリンジャーの半生を描いた『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』(17)でも主演しているので、偉大な作家を立て続けに演じた彼を見比べてみるのもおもしろいかも。

名門校に入学したトールキンが生涯の友と出会い、芸術や夢について語り合う様子も(『トールキン 旅のはじまり』)
名門校に入学したトールキンが生涯の友と出会い、芸術や夢について語り合う様子も(『トールキン 旅のはじまり』)写真:EVERETT/アフロ

トルーマン・カポーティの最後の小説「冷血」誕生秘話と心の揺れ動きを描く『カポーティ』

カポーティ』(05)は、人気作家トルーマン・カポーティがノンフィクション小説「冷血」を書き上げた6年間に迫る伝記作品。23歳で初めての長編「遠い声 遠い部屋」を発表し、若き天才作家と絶賛されたカポーティ。その後ものちに映画化される「ティファニーで朝食を」を出版し、社交界で注目を集めるなど一躍時の人になっていた。そんな時、彼は新聞に掲載された一家殺人事件の記事に興味を持ち、拘留中の犯人に接触しようとする。

実際に起きた事件を綿密にリサーチして小説にする、ノンフィクション・ノベルという新たなジャンルを築くことになった「冷血」。しかし、幼少期に実の親に捨てられたという自身と似た境遇を持つ殺人犯の男に親近感を覚えたカポーティは、取材を進めるうちに彼を救いたいという想いが芽生え始め、死刑が執行されることで作品を早く完成させたいという気持ちとの狭間で精神的にも大きく疲弊していく。

トルーマン・カポーティがノンフィクション小説「冷血」の執筆に至る苦悩を映しだす『カポーティ』
トルーマン・カポーティがノンフィクション小説「冷血」の執筆に至る苦悩を映しだす『カポーティ』写真:EVERETT/アフロ

事実として、カポーティは「冷血」以降は長編を書き上げることができず、1984年に59歳で急死してしまう。本作では、このような結末を迎えるに至った彼の心理的変化と死刑囚との奇妙な友情が描かれていく。複雑な感情を繊細に表現した主演のフィリップ・シーモア・ホフマンは、まるで本人の生き写しだと高く評価され、第78回アカデミー賞で主演男優賞を受賞した。

主演のフィリップ・シーモア・ホフマンがアカデミー賞主演男優賞を受賞した(『カポーティ』)
主演のフィリップ・シーモア・ホフマンがアカデミー賞主演男優賞を受賞した(『カポーティ』)写真:EVERETT/アフロ

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