現在の日本映画の勢いはここから始まった!山下敦弘らが語る“1990年代日本映画”のエネルギーと強さ|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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イベント 2021/11/6 12:45

現在の日本映画の勢いはここから始まった!山下敦弘らが語る“1990年代日本映画”のエネルギーと強さ

現在開催中の第34回東京国際映画祭で4日、共催・提携企画である第18回文化庁映画週間のシンポジウムが開催。今年は「1990年代日本映画から現代への流れ」をテーマに、第1部ではヨーロッパから見た当時の日本映画界の作り手たちに、第2部では当時映画界に活気をもたらしたインディペンデント作品にそれぞれフォーカスを当てながらトークが進められた。

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「私と90年代日本映画のディスタンス」と題された第1部に登壇したのは、映画評論家で映画史家のジャン=ミシェル・フロドンと、『ハッピーアワー』(15)や『スパイの妻 劇場版』(20)で共同脚本を務め、初長編監督作『三度目の、正直』が今年の東京国際映画祭コンペティション部門に出品されている野原位監督。そしてモデレーターを映画ジャーナリストの金原由佳が務めた。

「1990年代は商業的にも批評的にも好評の監督がおり、フランスをはじめとしたヨーロッパで日本と違うかたちでどのように日本映画が受け入れられていったかを話したいと思います」と挨拶したフロドンは、当時フランスの有名紙「ル・モンド」の記者として東京国際映画祭などで頻繁に来日。彼が黒沢清監督の『CURE』(97)を同紙で紹介したことが、後の黒沢の国際的評価につながったとも言われている。

第1部に登壇した映画評論家で映画史家のジャン=ミシェル・フロドン
第1部に登壇した映画評論家で映画史家のジャン=ミシェル・フロドン

「大島渚や今村昌平など、ベテランの監督たちの継承者がいるのだろうかと思っていたら、そのための場が学校にあることを知りました。蓮實重彦の教えを受けた若い監督たちが生まれ、黒沢清や青山真治にお会いすることができた。新しいエネルギーを生みだしながら、昔からある伝統を継承していったのが90年代。それまでは日本映画への関心が低かったフランスでも、若い監督たちのおかげで日本では若い監督が生き生きしていると大いに盛り上がることになりました」と振り返った。

さらにフロドンは、黒沢や青山以外にも、北野武や是枝裕和、河瀬直美といった当時頭角を表してきた監督たちの名前を挙げていきながら、それぞれの作風を分析。そして「特に黒沢監督はホラーのような非現実的な題材と同時に、同時代の問題を深いところで扱う監督。『カリスマ』が環境問題や自然問題を語っていたように、日本だけでない世界各国が関わる課題を映画のなかでいち早く取り上げ、ヨーロッパの人々は自分たちにも通じるものだと感じることになりました」とその先見性を高く評価した。


第34回東京国際映画祭コンペティション部門に長編監督デビュー作が出品されている野原位監督
第34回東京国際映画祭コンペティション部門に長編監督デビュー作が出品されている野原位監督

一方で、1990年代にはまだ少年期を過ごしており「1990年代の映画は後から教科書のように観ていました」と明かす野原は、東京藝大時代に黒沢監督から教えを受けたことを振り返る。「当時黒沢さんが学生をスタッフにして16ミリを撮るという授業があり、近くで演出を見ることができました。的確なカメラポジションを決めていくのを見て、監督とは撮る時点で頭のなかである程度の編集ができあがっているのだと学びました」と、師との思い出を回想していた。


さらなる進化を目指す、「第34回東京国際映画祭」特集