「2人とも、台本以上の感情が動いていた」永瀬廉&柄本佑が語る『真夜中乙女戦争』の撮影秘話|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
「2人とも、台本以上の感情が動いていた」永瀬廉&柄本佑が語る『真夜中乙女戦争』の撮影秘話

インタビュー

「2人とも、台本以上の感情が動いていた」永瀬廉&柄本佑が語る『真夜中乙女戦争』の撮影秘話

作家Fの同名小説を二宮健監督が映画化した『真夜中乙女戦争』(公開中)で、初共演を果たしたKing & Princeの永瀬廉柄本佑。本作は10~20代を中心に圧倒的支持を得る新鋭作家Fの同名小説を原作に、平凡で退屈な日々を送る青年が、自分自身と東京を破壊するまでの恋と戦争を描く物語。主人公の無気力な大学生“私”を永瀬が演じ、鬱屈とした想いを内に秘めたダークな役柄に挑戦。柄本演じる謎の男“黒服”に導かれ、次第に壮大な計画へと巻き込まれていく。劇中で特別な関係性を育む“私”と“黒服”として共演し、兄弟のような絆を育んだという永瀬と柄本が、役者としてお互いに感じた魅力や、和気あいあいと過ごした撮影期間を語り合った。

「永瀬さんの、お芝居に入った時の変貌ぶりはすごい」(柄本)

【写真を見る】"私”を未知の世界へ導く謎の男“黒服”(柄本佑)
【写真を見る】"私”を未知の世界へ導く謎の男“黒服”(柄本佑)[c]2021「真夜中乙女戦争」製作委員会

――“私”と“黒服”として、がっつりと対峙する間柄での初共演がかないました。

永瀬「以前より佑さんの作品はいろいろと拝見していました。“私”は“黒服”から影響を受ける場面がとても多い役ですが、演じながら“黒服”の放つ一言一言によって、心の中までギュッと掌握されているような感覚になったことを、いまでも覚えています。佑さんとは今回初めて一緒にお芝居をさせていただき、僕もいつかこういう芝居ができたら…という刺激をたくさん受けました。“私”が心の中で考えていたこと、溜め込んでいたものまでを、“黒服”から引っ張り出されたような気がしています」

柄本「初めてリハーサルをした時にとても印象的だったのが、永瀬さんの目。“私”がいろいろなものを諦め、もがき苦しんでいることが、その目から伝わってきました。“私”を演じるうえで必要なものがもともと備わっていたのではないか、と思うほど。もちろん普段の永瀬さんは、“私”みたいなところはまったくないですよ(笑)!いつも場を和ませてくれて、ものすごく柔らかい空気を持っている方。お芝居に入った時と、撮影以外の時の居住まいがガラッと変わるんです。“これはすごいな”と思いながら、一緒に過ごさせてもらいました」

“黒服”の行動は徐々にエスカレートし、危険な同志たちと「東京破壊計画」を実行に移していく…
“黒服”の行動は徐々にエスカレートし、危険な同志たちと「東京破壊計画」を実行に移していく…[c]2021「真夜中乙女戦争」製作委員会

――初対面から打ち解けることができたのでしょうか?

永瀬「初対面の時、僕は人見知りをしてしまっていたのですが、佑さんは初めからずっと、優しくておもしろくて(笑)。僕がなにを言っても、いつもどっしりと受け止めてくださるんです。ものすごく話しやすいですし、いまでは気軽にボディタッチもできるようになりました!」

柄本「僕だって、初対面は緊張していたよ」

永瀬「いやいや!佑さんは『クランクインの前日は眠れないくらい、いつも緊張するんだよ』とおっしゃっていますが、絶対に嘘なんです。ものすごく落ち着いていますもん!」

柄本「嘘なわけあるか(笑)!やはりクランクイン前日はどうしても緊張するものなんです。永瀬くんは本当に物腰が柔らかいよね。気さくだし、永瀬くんからのボディタッチが増えたとしても、それも品がいいものですから。ボディタッチもさせっぱなしにしてしまいます(笑)。なんだかそういったことも含め、人間力を感じます」

永瀬「ありがとうございます(笑)!」

「“私”のバックグラウンドや想いを考えると、自然とあの目になっていた」(永瀬)

――影響を受け合って、“私”と“黒服”を作り上げていったとのこと。特にお互いの芝居に圧倒されたようなシーン、引きだされたなと思うようなシーンがあれば教えてください。

永瀬「“黒服”がある行動を起こして、“私”と“黒服”が車で逃げていろいろな話をするシーンはよく覚えています。“私”が何年間も考え、自分のなかで凝り固まっていたものを、“黒服”があっという間にギュッとつかんで、それをほぐしていった。“私”も驚き、こういう人と出会いたかったんだと感じるシーンなのですが、僕自身、佑さん演じる“黒服”の存在感に衝撃を受けました」

柄本「とても大事なシーンでしたね。“黒服”は“私”に向かって、少しずつマウントを取り始める。“黒服”からしたら、“私”を口説き落としにかかっているシーンです(笑)。“黒服”が『お前はなぜ生きているんだ、お前はなんで死ぬんだ?』と問いかけると、“私”は『そういうことを聞いてくるやつが一番嫌いだよ』と答えるのですが、その時の“私”の表情がすばらしかった。か弱いけれど、強がっているようで、こちらが手を差し伸べたくなるような魅力がありました。あの瞬間は、2人とも台本に書かれている以上の感情が動いていたような気がしています」

“私”と“黒服”はこのアジトでパーティーを開いたり、映画鑑賞を楽しむ
“私”と“黒服”はこのアジトでパーティーを開いたり、映画鑑賞を楽しむ[c]2021「真夜中乙女戦争」製作委員会


――先ほど柄本さんから、永瀬さんの目に“私”の葛藤が宿っていたというお話がありました。永瀬さんは、どのようにその目を作り上げたのでしょうか。

永瀬「“私”のバックグラウンドや、世の中に絶望していて、退屈で孤独で…という彼の想いをいろいろと考えていくと、特に自分では意識はしていなかったのですが、自然とあの目でお芝居をしていました」

――NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」で演じられた亮とは、また違った“憂いの目”をしています。

永瀬「“私”と亮では抱えている想いがまったく違うので、それぞれ目の表情も変わって見えたら、とてもうれしいなと思っています」

――柄本さんは、佇まいからも“黒服”の持つ不穏さが伝わってきました。

柄本「“私”と黒服”って、表裏一体なところがある関係性なのかなと感じています。また彼らが抱く破壊衝動も、きっと誰もがどこかに持っているものなのかなと。それは若さや愚かしさでもあるのですが、そういった意味では本作は突飛なことを描いているのではなく、とても普遍的な感情を描いている物語である気がしています」

"私”が思いを寄せる、美しく聡明な“先輩”(池田エライザ)
"私”が思いを寄せる、美しく聡明な“先輩”(池田エライザ)[c]2021「真夜中乙女戦争」製作委員会

「永瀬さんからの無茶振りには、肝を冷やしました(笑)」(柄本)

――完成披露イベントでは、永瀬さんが「兄貴と姉貴に囲まれながら楽しく撮影させていただいた」と休憩時間などは柄本さん、“先輩”役の池田エライザさんと和気あいあいと過ごされていたことを話していました。休憩時間はどのように過ごされていたのでしょうか。

柄本「“黒服”のアジトのシーンを撮影していた時にすごく印象的だったことがあって。室内で緊張感のある芝居をしていたので、休憩時間に外に出るとホッとリラックスできたりして。そんな時に永瀬さんが『佑さん、マジックできますもんね』と急に無茶振りしてきたんです」

永瀬「言ってないですよ(笑)。そんなこと、意味わからないですもん」

柄本「そうなんだよ、意味がわからない!なので僕、『廉くん、ちょっと手を合わせてみて。3秒数えたら、手が離れなくなるよ』って…。ここ5年くらいで一番頑張って、無茶振りに応えました!そんなこともありましたが、緊張と緩和のバランスのあるいい現場だったなと思います」

永瀬「結局、手はまったくつきませんでした(笑)!緊張感のあるシーンが続く作品でもありますので、休憩時間は楽しく過ごしたいなという気持ちもあって。なにか楽しいことないかなと考えた結果、そうだ!佑さんとマジックをやろう!という考えに至りました(笑)」

劇中では微妙な関係性の3人も、撮影の裏側では和やかな雰囲気で過ごしたようだ
劇中では微妙な関係性の3人も、撮影の裏側では和やかな雰囲気で過ごしたようだ[c]2021「真夜中乙女戦争」製作委員会

「佑さんの大人の色気と余裕に憧れますし、こういう大人になりたい」(永瀬)

――お互いについて「ここはかっこいい、憧れるな」と思われたような点はありますか?

永瀬「それはもう、佑さんの落ち着きのあるところですね。佇まいからも大人の色気と余裕が感じられて男としても憧れますし、こういう大人になりたいなと思います」

柄本「永瀬さんは、繊細さと大胆さを併せ持っている方だと思います。そういった点には憧れますね。永瀬くんが一人で佇んでいると憂いを感じるようなところもあって。でもこうやって話しているとそれを微塵にも感じさせないんですよね」

永瀬「佑さんに憧れてもらえるようなところが少しでもあるならば、ものすごく光栄です」

――余裕や色気を出す秘訣はあるのでしょうか。

永瀬「それ、聞きたいです!本当に大人の余裕がありますよね」

柄本「昔から『佑は緊張しないタイプだからいいよな』とよく言われるんですが、実際は緊張しているんですよ!そう見られないのは損だなと思います。緊張しているように見えないって、なんだか可愛げがないよね」

永瀬「僕からしたら、それは佑さんの魅力です」

柄本「17歳くらいのころに、長瀬智也さんと共演をさせていただいて。撮影の最終日に長瀬さんから『いくつなの?』と聞かれて『17歳です』と答えたら、『30代かと思った。てっきりVシネの大御所の方かと』とびっくりされたことがあるんです(笑)。自分としては緊張もしているんだけどなあ。色気などは衣装やヘアメイクで作ってもらっているところが大きいんじゃないかなと思います。“黒服”はセリフもかっこいいですから」

永瀬「めちゃめちゃかっこよかったです!そのかっこいいセリフが、佑さんにとても似合っていました。完成した作品を観ても、佑さんのお芝居から漂うものがたくさんありました。僕も佑さんのように色気や余裕が漂う俳優さんになりたいです」

取材・文/成田おり枝

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