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高校1年生のウェス・アンダーソン監督が寄せた「ニューヨーカー」への“憧れ”『フレンチ・ディスパッチ』インタビュー

インタビュー 2022/1/28 11:30

高校1年生のウェス・アンダーソン監督が寄せた「ニューヨーカー」への“憧れ”『フレンチ・ディスパッチ』インタビュー

グランド・ブダペスト・ホテル』(14)や『犬ヶ島』(18)で映画ファンを魅了してきたウェス・アンダーソン監督の長編監督第10作となる最新作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』がいよいよ本日1月28日より公開中だ。

本作の舞台は20世紀フランスの架空の街にある「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部。才能豊かな記者たちが書き上げる、あらゆるテーマに深く斬り込んだ唯一無二の記事で人気を集めていたが、ある日編集長が急死。その遺言によって廃刊が決定してしまう。ベニチオ・デル・トロやジェフリー・ライト、ティモシー・シャラメといったウェス組初参加のキャストから、エイドリアン・ブロディやレア・セドゥ、フランシス・マクドーマンド、マチュー・アマルリック、ビル・マーレイといったウェス組常連俳優たちまで、類を見ない豪華キャストが集結したことでも注目を集めている。

オーウェン・ウィルソン、ティルダ・スウィントンら常連俳優から、新顔まで揃った
オーウェン・ウィルソン、ティルダ・スウィントンら常連俳優から、新顔まで揃った[c]2021 20th Century Studios. All rights reserved.

上映劇場で発売中のSEARCHLIGHT PICTURES issue『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』劇場パンフレットムックから、一部抜粋&こぼれ話を交えて、ウェス・アンダーソン監督インタビューをお届け。アンダーソン監督ならではのカルチャー愛と、映画作りをともにするキャスト・スタッフへの愛がたっぷりだ。

「この映画に出てくる過剰な詩情や抽象的なシーンの発想の元は、レオス・カラックスからきています」

――フランスの文化に興味を抱いたきっかけはなんだったのでしょうか。

「私の出身はテキサスですが、ずっとフランスに長期滞在したいと思っていました。長い間、フランスは私にとって大きな存在で『フランスから学んだことを活かして映画を撮りたい』という想いが日に日に増していきました。そもそもの理由の一つに、大のフランス映画好きということがあります。映画によってフランスに傾倒したとも言えますね。

フランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』(59)
フランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』(59)写真:Everett Collection/アフロ

(フランソワ・)トリュフォーの『大人は判ってくれない』をヒューストンのビデオ店で発見したのは、多分16歳の時だったと思います。当時のことを思い返してみても、あの映画のいったいどこにひっかかったのだろうと不思議に思います。ポイントはタイトルだったと思います。いまでも、原題の『Les Quatre Cents Coups』のフランス語の意味を完全には理解できていません。英題(『The 400 Blows』)は原題の意味をまったく捉えていません。これはフランス流の表現で、なにかきな臭い、騒ぎが起こる予感がするという意味です。『今夜、“les quatre cents coups”を挙行する』と言えば、『ひと暴れする』という意味です。英語の直訳の『400発』ではまったくの見当違いになります。ですが、私はその誤訳のワナにひっかかって、そのVHSビデオを選び、そこからフランス映画を観ることになるのです」

――トリュフォー以外ではどんな作品を好んで観ていましたか?

「リュミエール兄弟とジョルジュ・メリエスが率いたフランス映画の創成期と、映画の創成期は同じころでした。1930年代のジュリアン・デュヴィヴィエ、『マルセイユ三部作』のマルセル・パニョル、そして最近知ったジャン・グレミヨンといった監督を敬愛しています。もちろん、ジャック・タチ、ジャン=ピエール・メルヴィル、さらにトリュフォーと同じヌーヴェル・ヴァーグのルイ・マル、ゴダールも大好きです。おそらく、そのすべての核となっているのがジャン・ルノワールでしょう。

第74回カンヌ国際映画祭に登場したウェス・アンダーソン監督
第74回カンヌ国際映画祭に登場したウェス・アンダーソン監督[c]2021 20th Century Studios. All rights reserved.


また、カンヌ国際映画祭でこの映画が、レオス・カラックスの映画と同時に初上映されたことは、不思議な偶然でした。この映画に出てくる過剰な詩情や抽象性の傾向がある場面の発想の元は、レオス・カラックスからきています。ティモシー・シャラメとリナ・クードリがオートバイに乗っている場面で、シャラメが書いている詩はそのような詩でした。これこそ、レオス・カラックスやジャン=ジャック・ベネックスへのオマージュです。いわゆる『シネマ・デュ・ルック』期の雰囲気です。(製作・共同原案の)ロマン・コッポラと私は、当時のフランスが湛えていた10代の、抒情的な、ロックンロールのエネルギーをこのストーリーに注入することに意識を傾けていました」

――ティモシー・シャラメが演じたゼフィレッリ役には、若者らしい苦悩と情熱が注入されていました。

「フランスでは若い人の間で哲学についての会話が英米より当たり前に交わされていると思います。特にアメリカでは、以前と比べて減っています。政治的な会話は…ファッションとは言いたくはありませんが、学生が好んで口にする定番の話題となっています。私が10代のころはそんな感じではありませんでした。多分、大学では話題に挙がることもなかったでしょう。しかし、アメリカの10代が哲学に手を出すことは決してありませんでした。フランスで哲学とは、成長と共に向き合わざるを得ないものなのです」

【写真を見る】ティモシー・シャラメがウェス・アンダーソン監督作品初参戦!カリスマ性を放つ学生運動のリーダーで新味をみせる
【写真を見る】ティモシー・シャラメがウェス・アンダーソン監督作品初参戦!カリスマ性を放つ学生運動のリーダーで新味をみせる[c]2021 20th Century Studios. All rights reserved.
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