11歳で出演したMVが再生数24億回!スピルバーグ監督やSiaが認めた、“天才ダンサー”とは?
顔を隠したアーティストの“顔”として活躍してきたジーグラーが、Siaの初監督作である本作に出演することが決まったのは2015年。撮影が行われたのは2017年になってからのことだが、それまでダンサーとしての活動が中心で、本格的な演技経験のなかったジーグラーは、コミュニケーションが苦手でイマジネーション豊かなミュージックという役柄を演じることに不安を抱えていたのだとか。
そんな時にジーグラーの緊張をほぐしてくれたのは、姉のズー役を演じたケイト・ハドソンだという。「髪を剃ってズーを演じる気合十分のケイトを見たら私も怖くなくなりました。自分を信じて、そしてケイトとSiaを信じて一緒に冒険しようという気持ちに切り替わりました」とジーグラーは振り返る。
『あの頃ペニー・レインと』(01)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた経験もあるベテラン女優ハドソンは、ジーグラーの演技について「初めて一緒に撮影を始めた時、彼女が役になりきるのを見て感動しました。彼女の才能は神がかり的。大きな挑戦だったはずだけど、ほかの誰もこの役を演じることはできなかったでしょう」と称賛。またエボ役を演じたレスリー・オドム・Jr.も、劇中でのダンスシーンのためにジーグラーが踊るSiaのMVを参考にしたことを明かす。
こうしてジーグラーの放つエネルギーが共演者たちにも影響を与え完成したエモーショナルな本作は、主人公のズーが愛すべき人々の存在によって生きる希望を見出すドラマシーンと、登場人物の心情を表現したカラフルでポップな音楽シーンによって構成されていく。撮影当時まだ14歳だったジーグラーは持ち前の無垢なエネルギーを放ち、スクリーンのなかでひときわパワフルで圧倒的な存在感を放つことに。
「Siaの要求はいつも一風変わっていたので、ダンサーとしても一皮剥けたと思っています」と本作を振り返ったジーグラー。女優としての新たな一歩を踏みだした彼女はたちまちハリウッドで注目の若手女優に仲間入り。最近ではスティーヴン・スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』(2月11日公開)にも出演を果たすなど、活躍の場を広げている。
「Siaとできるなら、ほかの仕事にも飛びこめるんだと心の準備ができたのだと思います。前向きに挑戦する姿勢が整っていたからこそ、スピルバーグ監督のような巨匠の作品に出演する機会に恵まれたのだと感じています」とSiaへの感謝を語るジーグラー。彼女の今後の女優としての成長ぶりに期待しつつ、その記念すべき1ページとなるであろう『ライフ・ウィズ・ミュージック』での演技を、スクリーンで目撃してほしい。
文/久保田 和馬