藤井道人監督×小松菜奈×坂口健太郎『余命10年』、空を舞台にした青春アニメ『ブルーサーマル』など週末観るならこの3本!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
藤井道人監督×小松菜奈×坂口健太郎『余命10年』、空を舞台にした青春アニメ『ブルーサーマル』など週末観るならこの3本!

コラム

藤井道人監督×小松菜奈×坂口健太郎『余命10年』、空を舞台にした青春アニメ『ブルーサーマル』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、藤井道人が監督を手掛けるせつないラブストーリー、グライダーに青春をささげた大学生たちの奮闘を描くアニメ、“自分の頭の中だけに響く音“に悩まされる女性がある真実に迫るドラマの、バラエティー豊かな3本!

10年をともに生きたふたりを見守り続けた人たちの物語…『余命10年』(公開中)

数万人に一人という不治の病を患った茉莉は、生に執着しないよう恋はしないよう決めていた(『余命10年』)
数万人に一人という不治の病を患った茉莉は、生に執着しないよう恋はしないよう決めていた(『余命10年』)[c] 2022 映画「余命10 年」製作委員会

難病を患い、文庫版の発売を待たずに38歳の若さで逝去した小坂流加の長編デビュー作を、『新聞記者』(19)などの藤井道人監督が小松菜奈坂口健太郎のW主演で映画化した本作。“余命10年”、厳しい事実を知った20歳の茉莉(小松)は、生きることに執着しないよう、恋だけはしないと決めていたが、地元、三島の同窓会で再会した和人(坂口)に次第に想いを寄せるようになっていく。限られた時間、未来のない恋。そう分かっていても“彼に会いたい”という気持ちを抑えられず、それが茉莉の“生きたい!”という衝動を引き起こす。そして、そんな彼女によって「生きる意味なんか分からない」と言っていた和人の心にも変化が。そう、これは残り10年しか生きられなかった茉莉の物語ではなく、10年をともに生きた茉莉と和人、ふたりを見守り続けた人たちの物語なのだ。
四季折々の日本の風景のなかで幾度となく離れながらも、強い引力で再び結ばれる恋人たちがキラキラ輝いていて美しい。それだけに、人前では笑顔を見せながら、悲痛な想いを背中の芝居で伝えた茉莉役の小松にグッとくる。そして、さらに思う。原作者の小坂は小説や本作と同じ恋愛をしたわけではないので、これはあくまでも彼女の実体験をベースにしたフィクション。茉莉の有限の恋には小坂の夢と願いが込められているのは確かで、そこに想いを馳せると映画の見え方がまた変わってくる。(ライター・イソガイマサト)

操縦席からの景色をそのまま映しだすような“青”…『ブルーサーマル』(公開中)

ひょんなことからグライダーと出会い、空に恋をした女子大生の日々を映しだす『ブルーサーマル』
ひょんなことからグライダーと出会い、空に恋をした女子大生の日々を映しだす『ブルーサーマル』[c] 2022「ブルーサーマル」製作委員会

キラキラ☆のキャンパスライフに憧れていたはずの主人公、たまき(声:堀田真由)が入部したのは、過酷なグライダー競技に励む体育会航空部。ブルーサーマルとは“幸せになれる風”=グライダーを高く押し上げて勝利を引き寄せる上昇気流のことだ。ニッチなジャンルながら描かれるのは王道青春ストーリー。天真爛漫なたまきが非凡なセンスを見出されて成長していく姿は爽快で、見守る部員との友情や淡い感情の交換にも心が温まる。しかし、最大の魅力はなんといっても空の描写。操縦席からの景色をそのまま映しだすような“青”は美しく、観る者を一瞬で登場人物の目線&感情にシンクロさせてくれる。映画館でできる飛行体験、あなたもぜひ!(映画ライター・ほそいちえ)


彼の世界にどこかコネクトし、フッと魅せられる瞬間が訪れる…『MEMORIA メモリア』(公開中)

「頭内爆発音症候群」という症状に悩まされた女性の記憶の旅路を描く『MEMORIA メモリア』
「頭内爆発音症候群」という症状に悩まされた女性の記憶の旅路を描く『MEMORIA メモリア』Photo: Sandro Kopp [c] Kick the Machine Films, Burning, Anna Sanders Films, Match Factory Productions, ZDF-Arte and Piano, 2021

カンヌ国際映画祭で4度目の受賞(今回は審査員賞)となった独創的なクリエイター、タイのアピチャッポン・ウィーラセタクンによる、7作目の長編映画。既に何作か経験済みの観客は、再びハテナ?混じりの混乱にたゆたうだろう。そう、最初は“ポカ~ン”上等。分からないまま“たゆたう、浸る”ことで、彼の世界にどこかコネクトし、フッと魅せられる瞬間が訪れる。頭の中で“不穏な音”が響くようになったジェシカ(ティルダ・スウィントン)が、その原因や解決法を探そうと、街をさすらう。その中で不可解な現象に出会いながら、やがて小さな村へたどり着く。そこで「すべてを覚えている」男と出会ったジェシカは、自分のものと錯覚しつつ彼の記憶をともに辿ることになる。
相変わらず語り口は素っ気なく、小さな疑問は積み上がる。だが、届きそうで届かない不可思議な期待にも似たなにかが先を観続けさせる。初めて自国を出てコロンビアで撮ったからか、馴染みの世界で深度を深めていくというより、見知らぬなにかの核心に探り探り近づいていくような手触り。終盤“不穏な音”につながる“まさかの正体”に、最大級の「えぇ!?」という驚きが!霊的なものであれ宇宙的なものであれ、我々の世界は常に人知を超えたなにかが存在し、つながっている。「すべてを覚えている男」の記憶が、長い夢からぼんやり醒めたような我々の脳裏に、ぼやっと焼き付く。(映画ライター・折田千鶴子)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!

構成/サンクレイオ翼

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