マイク・ミルズ監督『カモン カモン』は「人の善意につながっている」“アメリカでは見られない”イベント風景にも笑顔|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
マイク・ミルズ監督『カモン カモン』は「人の善意につながっている」“アメリカでは見られない”イベント風景にも笑顔

イベント

マイク・ミルズ監督『カモン カモン』は「人の善意につながっている」“アメリカでは見られない”イベント風景にも笑顔

ホアキン・フェニックス主演映画『カモン カモン』(4月22日公開)のティーチインイベントが18日、スペース FS汐留にて開催され、マイク・ミルズ監督がオンラインにて参加。本作の宣材デザインを手掛けたグラフィックデザイナーの大島依提亜も登壇し、ファンとの交流を楽しんだ。

ハプニングにも笑顔のマイク・ミルズ
ハプニングにも笑顔のマイク・ミルズ

オンラインイベントは機材トラブルのため、予定を大幅に遅れてスタート。やっとのことでファンと画面越しにつながると、ミルズ監督は安堵の表情を浮かべ「待っていてくれてありがとう。画面越しでも映画を観た人と直接話せるのは本当にうれしい!」と感謝を伝えた。

ホアキン&ウディへの感謝の言葉も
ホアキン&ウディへの感謝の言葉も

音声が出ないというハプニングで、映像のみはつながったまま。ミルズ監督はイラスト付きのメッセージを次々描きあげるなどファンサービス満載の待ち時間となった。「黒って本当に難しい色」と強調した大島は、本作をモノクロで撮影した理由をミルズ監督に質問。モノクロ映画には昔から好きな作品がたくさんあるというミルズ監督は「小津安二郎監督の作品が大好きで、いつか自分でも撮ってみたいと思っていました」とニッコリ。モノクロはカラーとは違う芸術形態と説明し「いろいろなことがシンプルになります。モノクロにしたことで、たたずまいが優しくなるという実感がありました」と制作を振り返った。

本作で子どもを描くと決めたきっかけについては「自分自身の最愛の子どもです」と目尻を下げる。「子どもはいろいろなことを教えてくれるし、自分が必要とされること、どうあるべきかを問いかけてくれる存在。親になることは意味深い体験で、いろいろなチャレンジをもたらしてくれます。子どもは正直に純粋に大人を見据えているから、いろいろな仮面を被っている大人は見透かされてしまいます。子どもと大人の違いは、発達段階が違うだけという考えを根底に置くように心がけていました」と丁寧に説明した。


モノクロ映画ながら、温もりを感じる映画だったというファンのコメントに「登場人物がお互いに理解しようとしている、つながり合おうとしているところが見てとれるから。ホアキン演じるジョニーがウディ・ノーマン演じる甥、ジェシーを理解しようとしている。理解に挑もうとしている姿が伝わったのかな。子どもに対する愛が根底に流れているから、温もりを感じられるのだと思います」と見解を述べ、映画全体にポジティブなメッセージが流れている理由を「人の善意につながっているから」と解説していた。

ハプニングありも心温まるイベントに
ハプニングありも心温まるイベントに

イベント中、画面越しになにやらニヤニヤしていたミルズ監督。その理由について「(質問者が使用した)マイクを綺麗に除菌しているスタッフさんありがとう。実に日本らしい光景です。アメリカでは絶対に見られない!」と感心しきり。その後、質問者が変わるごとにマイクを除菌するタイミングで「ありがとう、スタッフさん」と笑顔で労っていた。

また、本作に登場する本に「オズの魔法使い」を選んだ理由については「正直に言うと…、著作権フリーだから(笑)」と答え、笑いを誘ったミルズ監督。撮影の直前に使うことを思いついたそうで、「結果として、旅路の中で自分を発見するロードムービーという内容の共通点もありました」とニコニコ。たまたまリンクしたと前置きしながら「僕自身も魔法を信じています。魔法を引き寄せることができたのかな、映画のマジックが効いたと思いました」と偶然の出会いがもたらした素敵なつながりについて語っていた。

映画を観た人と直接話せることもひとつの”つながり”と映画のテーマに重ねていた
映画を観た人と直接話せることもひとつの”つながり”と映画のテーマに重ねていた

英語で監督に質問するファンが多いなか、日本語で質問したファンに対しては「“こんにちは”大好きです!」と日本好きらしいコメントをしたミルズ監督。また、ファンが着ていたジム・ジャームッシュのTシャツの柄にまで細かく触れる場面も。「『ダウン・バイ・ロー』は、僕が初めて“僕も映画監督ができるかも”と思った作品です。ジムは小津監督の影響を受けています。僕はジムを通して小津作品を学び、いまだに影響を受けています。今回は我ながら小津っぽい映画になっていると思います」としみじみ。様々なつながりのエピソードが飛び出し、映画に通じるものを感じさせる温かいイベントとなった。

取材・文/タナカシノブ

作品情報へ

関連作品

  • カモン カモン

    4.0
    832
    ホアキン・フェニックス演じるラジオ記者が突如9歳の甥と共同生活を送る、A24作品
    Amazon Prime Video U-NEXT Hulu Netflix