渋谷の道玄坂上や赤羽…1990年代東京を完全再現!「TOKYO VICE」が挑んだ“世界で最もロケが難しい都市”での撮影秘話|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
渋谷の道玄坂上や赤羽…1990年代東京を完全再現!「TOKYO VICE」が挑んだ“世界で最もロケが難しい都市”での撮影秘話

コラム

渋谷の道玄坂上や赤羽…1990年代東京を完全再現!「TOKYO VICE」が挑んだ“世界で最もロケが難しい都市”での撮影秘話

映画やテレビドラマに撮影可能なロケ地の情報を提供し、案内、調整をサポートする組織「東京ロケーションボックス」は、映像作品を通して東京の魅力を国内外に発信しながら、ロケ撮影で地域活性化を図ることを目的としている。今回は、東京ロケーションボックスも関わったWOWOWとHBO Maxによる日米合作のドラマシリーズ「TOKYO VICE」(WOWOWにて毎週日曜22時より独占放送中)にフォーカス。“世界で最も撮影が難しい都市”といわれる東京とその近郊ですべてのロケが行われた本作の撮影秘話を、ジャパン・プロデューサーの鎌田雄介とプロダクション・マネージャーの福井一夫の言葉を借りながら紹介したい。

主演は『ウエスト・サイド・ストーリー』のアンセル・エルゴート。渡辺謙ら日本の実力派キャストも集結!
主演は『ウエスト・サイド・ストーリー』のアンセル・エルゴート。渡辺謙ら日本の実力派キャストも集結![c]HBO Max / James Lisle

全8話で構成される「TOKYO VICE」。『ヒート』(96)、『インサイダー』(99)などの監督であるハリウッドの巨匠マイケル・マンが第1話を監督し、全話のエグゼクティブ・プロデューサーとしても参加。主演は『ウエスト・サイド・ストーリー』(21)のアンセル・エルゴート、日本からは渡辺謙、菊地凛子、伊藤英明、笠松将、山下智久ら豪華キャストが名を連ね、日米スター共演が実現した。

1990年代、東京の大学を卒業したアメリカ人青年ジェイク(エルゴート)は、故郷に戻ることを勧める両親に反し、難関な試験を突破して、日本の大手新聞社に就職する。警察担当記者となった彼は、特ダネを追いかけるうちに、ヤクザがらみの事件を手練で解決する刑事、片桐(渡辺)と出会う。ジェイクの上司で男社会を渡り歩く女性記者、詠美(菊地)、風俗街で暗躍する刑事、宮本(伊藤)、ジェイクと意気投合する若きヤクザのリーダー、佐藤(笠松)、謎めいたカリスマホスト、アキラ(山下)といったひと癖ある人物たちと関わりながら、ジェイクは危険な闇社会へと入り込んでいく。

“世界で最も撮影が難しい都市”で1990年代の東京を再現

本作は、東京のアンダーグラウンドを駆け巡った全国新聞初の外国人記者の物語。“90年代の東京”を再現するにあたって、当初、アメリカの制作陣は90年代後半をイメージしているとの話だったという。ただ、「マイケル・マン監督からすると、90年代にすでに存在していた建物は新しすぎたようでした。もっと古い年代の建物でないと決まらないことも多かったんです。なので、90年代後半と言いつつも、もう少し昔の、バブル期が終わる前後、やはり90年代初めくらいの建物が、アメリカサイドのイメージとマッチしたかなと思いました」と福井は話す。


日本の大手新聞社に就職し、警察担当記者となったジェイク
日本の大手新聞社に就職し、警察担当記者となったジェイク[c]HBO Max / Eros Hoagland

繁華街や街中のシーンが、すべて東京でロケが行われたという点において画期的ともいえる本作。世界中の都市で最も撮影が難しいとされる東京、そのなかでも特に撮影許可を取ることが困難な渋谷での撮影も見事に実現させている。第1話では、渋谷の道玄坂上にあり、通行止めのできない商店街、百軒店でのシーンが登場。ある男性が焼身自殺をする衝撃的なシーンは、百軒店の一番奥にある「千代田稲荷神社」で撮影された。「監督は本当にその場で、(火を使って)撮影したいと言っていたのですが、アメリカの安全管理チームが『それはあまりにも危険すぎる』と判断して、炎の部分は合成することになりました」と続ける。

人々の欲望が渦巻く繁華街とネオンの光

「TOKYO VICE」では新宿警察署の管轄内という設定だったが、実際の撮影は渋谷をはじめ、いろいろな場所で撮影したという。ジェイクがクラブを訪れるシーンを撮った道玄坂上のナイトクラブ「WOMB(ウーム)」も、新宿にあるクラブとして登場している。また、渋谷の百軒店は、マン監督も特に気に入っていたエリアのひとつだった。「本当はちょっと寂れているようなところのほうが、貸し切りにできますし、撮影しやすいんですが、監督は絶え間なく人が行き来し、繁盛しているエリアで撮りたいと考えていたようです。なおかつ、建物の形も変えたいと要望もあり、調整が大変でしたね」と福井は振り返る。

夜の繁華街でのシーンでは、やはりネオンが大事なポイント。鎌田はロケハンの際、新宿・歌舞伎町の真ん中をマン監督と一緒に歩いてみたという。「監督にとっては、90年代のネオンのイメージと、いまの東京のLEDによる風俗的なサインが合わなかったようで、LED特有のちょっと青白い光は『本作の雰囲気とは違う』と言っていました」。

「TOKYO VICE」に登場するネオンが光る夜の風景…アンセル・エルゴートら日米スターが歩く繁華街のロケ地とは?
「TOKYO VICE」に登場するネオンが光る夜の風景…アンセル・エルゴートら日米スターが歩く繁華街のロケ地とは?[c]HBO Max / Eros Hoagland

その点、ジェイクが百軒店を歩いているシーンで真後ろに映る、渋谷の有名なストリップ劇場「渋谷道頓堀劇場」のネオンはマン監督の大のお気に入り。「『このカットが撮りたい!』という監督の意向で、本当は消えている時間帯だったのですが、わざわざネオンを点けていただきました」と福井は明かす。さらに、周囲に映り込む「プレイガール」という風俗店などは撮影のために新たに建てたもの。「美術部、装飾部のスタッフが、朝から取りかかり、夕方暗くなる前に完成させました。本来3日間くらいかけてやるような作業を、たった1日でやり遂げていました」。その場所を知る人が見ればわかる、撮影用に作った店と、実際に営業しているラーメン店などが混在するユニークなカットとなった。


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