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松坂桃李が働くカフェ“calico”の誕生秘話が明らかに!『流浪の月』は物語を彩る“種田美術”に注目

コラム 2022/5/2 20:30

松坂桃李が働くカフェ“calico”の誕生秘話が明らかに!『流浪の月』は物語を彩る“種田美術”に注目

広瀬すずと松坂桃李がダブル主演を務め、2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆうの同名小説を映画化した『流浪の月』(5月13日公開)。15年前に起きた誘拐事件の“被害女児”と“加害者”の稀有な関係性を描きだす本作。その寓話性のある世界観を支えているのは、12年ぶりに李相日監督とタッグを組んだ、種田陽平が手掛けた物語性の高い美術だ。

凪良ゆうの同名小説を映画化した『流浪の月』
凪良ゆうの同名小説を映画化した『流浪の月』[c] 2022「流浪の月」製作委員会

雨の夕方の公園で、びしょ濡れになった10歳の家内更紗に傘を差し出した19歳の大学生、佐伯文(松坂)。文は引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、自身の部屋に彼女を招き入れ、2か月を共に過ごすことになる。しかしほどなくして、文は更紗を誘拐した罪で逮捕されてしまう。やがて15年の月日が流れ、“傷物にされた被害女児”とその“加害者”という烙印を背負ったまま2人は再会。更紗(広瀬)には婚約者の亮(横浜流星)がおり、文のかたわらにも谷(多部未華子)という女性が寄り添っていた。

15年前に起きた誘拐事件の被害女児と加害者が再会する
15年前に起きた誘拐事件の被害女児と加害者が再会する[c] 2022「流浪の月」製作委員会

「李さんとは随分長い付き合いだが、最近の作品は一緒に仕事ができていなかったので、今回はなんとかお役に立ちたいと思いました」と語る種田。1980年代から数多くの映画に携わり、実写映画のみならずスタジオジブリの『思い出のマーニー』(14)などのアニメーション作品でもその才を発揮してきた種田は、これまで『69 sixty nine』(04)、『フラガール』(06)、『悪人』(10)の3作で李組に参加。

「人間を見つめ、同時に人間を取り巻く環境を深く考えています。なぜ、どうして、こうした人間ができあがったのか。彼らはどうしてこう行動せざるをえなかったのか。そこからしぼりだされるものが、李さんの映画なのだと思います」と、デビュー以来エモーショナルで骨太な作風で観客の心を掴んできた、李監督の作品世界を分析する。

種田は近年ハリウッド作品からアジア映画など世界を股にかけて活躍してきた(写真は『ヘイトフル・エイト』)
種田は近年ハリウッド作品からアジア映画など世界を股にかけて活躍してきた(写真は『ヘイトフル・エイト』)[c]Everett Collection/AFLO

クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』(03)に携わって以降、チャン・イーモウ監督の『金陵十三釵』(11)やタランティーノ監督の『ヘイトフル・エイト』(15)、ジョン・ウー監督の『マンハント』(17)など、世界を股にかけて活躍してきた種田。また岩井俊二監督や是枝裕和監督、三谷幸喜監督ら様々な日本の映画人と組んできた彼は、長らく種田のもとで経験を積み、ドイツ映画で美術監督を務めた経験もある北川深幸と共に本作の美術を手掛けた。異国の風を持ち込み、ほかの日本映画にはない独特の雰囲気を携えた作品世界を構築していった。

種田陽平が李相日監督とタッグを組むのは12年ぶり
種田陽平が李相日監督とタッグを組むのは12年ぶり[c] 2022「流浪の月」製作委員会

「原作には“風”、脚本には“水”を感じました。更紗と文が、魚のようにいきいきと泳ぎ始めるように感じたのです」と、脚本を読んだ際の印象を振り返った種田は、李監督と共にロケハンをリードしたという。劇中で物語のキーとなる、文が営む小さなカフェ“calico”のロケ場所探しの際には、漠然としたイメージしかなく難航するなか、種田の提示した「文がいるのは水辺がいい。でも海じゃない」という言葉が突破口となり、ふさわしいロケ場所が見つけられることに。


劇中のキーとなる小さなカフェ“calico”
劇中のキーとなる小さなカフェ“calico”[c] 2022「流浪の月」製作委員会

長野県松本市にある廃ビルで撮影が行われた“calico”のシーン。種田と北川によって作りだされた美術には李監督も「この空間のあり様に作品のトーンがかかっていた。原作にほのかに漂う寓話性と、実写が持つ生身感を絶妙なバランスで両立させなければならず、そこには種田さんの多彩なアイデアが非常に頼りになりました」と大絶賛。また原作者の凪良からも「映像になった時、びっくりしました。あ、これはcalicoだなって」と太鼓判を捺すコメントが寄せられるほど。

“許されない2人”の宿命の物語を、より一層魅力的なものにしていく種田の美術世界。是非とも映画本編をご覧の際には、細やかなディテールにまで注目しながらその世界観を存分に味わってほしい。

文/久保田 和馬

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