阿部サダヲが連続殺人鬼に…『死刑にいたる病』、名女優の本当の姿を描きだす『オードリー・ヘプバーン』など週末観るならこの3本!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
阿部サダヲが連続殺人鬼に…『死刑にいたる病』、名女優の本当の姿を描きだす『オードリー・ヘプバーン』など週末観るならこの3本!

コラム

阿部サダヲが連続殺人鬼に…『死刑にいたる病』、名女優の本当の姿を描きだす『オードリー・ヘプバーン』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、白石和彌が監督を手掛け阿部サダヲが連続殺人鬼に扮するサイコサスペンス、「最も偉大な女優50選」にも選ばれている名女優の人生に迫るドキュメンタリー、”何者かになりたい”と願う新人編集アシスタントの自分探しムービーの、バラエティ豊富な3本!

榛村の洞穴のようなうつろな瞳にぞっとさせられる…『死刑にいたる病』(公開中)

【写真を見る】連続殺人鬼であるとわかっていながらも、次第に榛村に惹かれていく雅也(岡田健史)(『死刑にいたる病』)
【写真を見る】連続殺人鬼であるとわかっていながらも、次第に榛村に惹かれていく雅也(岡田健史)(『死刑にいたる病』)[c]2022映画「死刑にいたる病」製作委員会

ある日、世間を震撼させ、死刑判決が出たシリアルキラーから1通の手紙が届く。かつて殺人鬼である榛村大和(阿部サダヲ)が経営するパン屋に通っていた大学生の筧井雅也(岡田健史)は、彼の冤罪事件の調査を請け負ったことで事件と榛村の危険な魅力にハマっていく。「孤狼の血」シリーズの白石和彌監督が櫛木里宇の傑作小説を映画化した本作は、濃厚な血の匂いがくすぶるサイコサスペンスだ。猟奇殺人の再現シーンはトラウマ級に生々しくも鮮烈で、断罪されてもなお自身の優位を主張する榛村の洞穴のようなうつろな瞳にぞっとさせられる。その一方、高い知能を持ち、計画的に犯行を進める典型的な秩序型殺人犯の榛村が、優しい笑顔と相手が求める的確な言葉を与えることで周囲の者たちを“陥落”させていくしぶとさがたまらなくエキサイティング!翻弄されまくりの雅也と共にその手管を堪能してほしい。(ライター・足立美由紀)

オードリーを知るうえでの教科書のようなドキュメンタリー…『オードリー・ヘプバーン』(公開中)

名優オードリー・ヘプバーンの生き方を丁寧に描いたドキュメンタリー『オードリー・ヘプバーン』
名優オードリー・ヘプバーンの生き方を丁寧に描いたドキュメンタリー『オードリー・ヘプバーン』[c]2020 Salon Audrey Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

亡くなったあとも、残した作品によって次世代のファンを増やし続ける…。『ローマの休日』(53)のオードリー・ヘプバーンは、誰もが認める永遠の映画スター。そんな彼女の作品ごとの特質はもちろん、私生活での素顔、人生を送るうえで頼りにし続けたものなど、オードリーを知るうえでの教科書のようなドキュメンタリー。
映画と共にファッションアイコンとなった類まれな魅力は、映画スターの華やかな側面。第二次世界大戦で飢えにも直面し、父親に捨てられたことがトラウマとなった少女時代は、すべての原点。そして俳優を半ば引退して献身的に身を捧げたユニセフでの活動は、人としての本質…と、多方面からこの偉大なスターの実像が見えてくる作り。ジバンシィの元スタッフや、写真家アヴェドンの孫などの証言も貴重だが、肉親、近所の人たちの言葉からは、ひとりの女性としての魅力がせり上がっていくので、本作で波乱の人生をたどったあとに、もう一度、オードリーの数々の名作を観直したくなる。そうすることで名作の魅力もアップデートされることだろう。(映画ライター・斉藤博昭)


あの大作家も登場!?特殊な業界に足を踏み入れたヒロインの清々しい成長物語…『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』(公開中)

作家を夢見る少女ジョアンナ(マーガレット・クアリー)が”自分探し”を始める『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』
作家を夢見る少女ジョアンナ(マーガレット・クアリー)が”自分探し”を始める『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』9232-2437 Quebec Inc - Parallel Films (Salinger) Dac [c] 2020 All rights reserved.

とても柔らかく不思議な感触を持った映画だ。いわゆるハリウッド的な展開とは一線を画し、『ぼくたちのムッシュ・ラザール』(11)や『グッド・ライ〜いちばん優しい嘘〜』(14)で知られるフィリップ・ファラルドー監督らしい、主人公の成長を温かく見守る視座が効いている。舞台は90年代、ニューヨーク。ジョアンナ(マーガレット・クアリー)はふとしたきっかけで出版エージェンシーに就職し、上司(シガニー・ウィーバー)のアシスタントを任されることに。業務中は「ライ麦畑でつかまえて」の大作家サリンジャーから電話がかかったり、彼宛てのファンレターにみなぎる”言葉の力”に感化させられたりと、このお仕事ならではの醍醐味がいっぱい。どこか『プラダを着た悪魔』(06)のアン・ハサウェイ&メリル・ストリープを思わせつつも、決してああはならない部下&上司の、すこぶる良い影響を与え合える関係性も見どころだ。力まず、自然体。そして最後は、爽やかな後味が残る良作である。(映画ライター・牛津厚信)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!

構成/サンクレイオ翼

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