エヴァ、ハルヒ、まどマギ、そして『バブル』へ…ファンを魅了する“セカイ系”アニメの系譜

コラム

エヴァ、ハルヒ、まどマギ、そして『バブル』へ…ファンを魅了する“セカイ系”アニメの系譜

少女の願いが生みだすセカイ系「魔法少女まどか☆マギカ」

“魔女”の正体や、契約した少女たちのつらすぎる行方など、ストーリーの重みも本作の見どころ(「魔法少女まどか☆マギカ」)
“魔女”の正体や、契約した少女たちのつらすぎる行方など、ストーリーの重みも本作の見どころ(「魔法少女まどか☆マギカ」)[c] Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

映画『バブル』の脚本を務めた虚淵玄の知名度を上げたアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」。なんでも1つ願いを叶える代償として、敵である“魔女”と戦う“魔法少女”となった中学生の少女たちの過酷な運命を描いたアニメだ。主人公の鹿目まどか(声:悠木碧)は、謎の生き物、キュゥべえ(声:加藤英美里)から魔法少女の契約を迫られながら、魔法少女になった友人の側で、様々な魔法少女たちと関わっていく。そして、強大な魔女“ワルプルギスの夜”を前に決断を迫られるまどかと、その決断を食い止めるために暗躍する同級生の魔法少女、暁美ほむら(声:斎藤千和)を含めた少女たちの関係が物語の肝となっている。


魔女との戦いで命を落とす者や、魔法少女のなれの果てを描くなど、従来の魔法少女アニメとは一線を画す作品となった本作。虚淵の描く予測できない展開や、かわいいだけでは収まりきらない革新的なストーリーを堪能してほしい。本作の鑑賞後に『バブル』を観ると、いい意味で裏切られるかもしれない。

多くのセカイ系作品を届ける、新海誠監督

君の名は。』(16)、『天気の子』(19)など国民的な大ヒットアニメ映画を世に送りだしている新海誠監督。実は新海監督作品の多くは、しばしセカイ系と定義されている。デビュー作の『ほしのこえ』(02)、2作目となる『雲のむこう、約束の場所』(04)は主人公の少年とヒロインの少女の小さな日常が、世界規模の大きな出来事に発展していく王道のセカイ系作品だ。一方、『君の名は。』は隕石で消滅してしまうヒロインの住む田舎町を平凡な主人公と共に救う話、『天気の子』は雨で浸水する東京を助ける依り代の少女と平凡な主人公が事象に向き合う話、と小さい規模のなかで物語が展開していく。『バブル』はどちらかと言えば、後者の内容に近いだろう。

新海監督自身は『天気の子』のインタビューで「『セカイ系を作っている』という意識は、昔から特になかったんです。いま一番気になっているテーマや、みんなが共有していると思うような気持ちを描いたことが、結果的にそう言われている」と明かしているが、筆者的には紛れもないセカイ系作品であると感じる。様々なカタチのセカイ系を楽しみたい方は、新海監督の作品を順に追ってみてほしい。

令和に生まれた新しいセカイ系『バブル』を体感しよう

危険なプレーで海に落ちたヒビキをウタが救う(『バブル』)
危険なプレーで海に落ちたヒビキをウタが救う(『バブル』)[c]2022「バブル」製作委員会

すでに『バブル』を鑑賞し、そのストーリーに魅了された方は今回ピックアップした作品にも魅了されるはず。また、今回ピックアップした作品が好きな方はぜひ『バブル』を観ていただきたい。“セカイ系”系譜でありながら「パルクール・アクション」という新しい映像体験を味わうことができるだろう。日本アニメのトップクリエイターたちが令和に生みだした、新しい“セカイ系”のカタチをぜひ体感してほしい。

文/阿部裕華

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