“マジックリアリズム”と子どもたちの生命力!『雨を告げる漂流団地』には、スタジオコロリドの魅力がいっぱい|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
“マジックリアリズム”と子どもたちの生命力!『雨を告げる漂流団地』には、スタジオコロリドの魅力がいっぱい

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“マジックリアリズム”と子どもたちの生命力!『雨を告げる漂流団地』には、スタジオコロリドの魅力がいっぱい

第42回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞した『ペンギン・ハイウェイ』(18)、第24回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀作品賞に輝いた『泣きたい私は猫をかぶる』(20)を生みだした新鋭スタジオ「スタジオコロリド」が手掛ける長編アニメ映画第3弾『雨を告げる漂流団地』(9月16日より公開&Netflixにて全世界独占配信)。アニメファンのみならず映画ファンからも大きな注目を集める「スタジオコロリド」の魅力と共に、本作の見どころを紹介していこう。

姉弟のように育った幼なじみの小学6年生、航祐と夏芽。2人は航祐の祖父の他界をきっかけにギクシャクしていた。そんな夏休みのある時、航祐はクラスメイト共に取り壊しの進む「おばけ団地」に忍び込む。そこは航祐と夏芽が育った思い出の家。思いがけずに夏芽と遭遇した航祐は、謎の少年“のっぽ”の存在について聞かされる。すると突然不思議な現象に巻き込まれ、気が付くと辺り一面が大海原となり、航祐たちを乗せた団地は謎の海を漂流することに。

スタジオコロリドの十八番!“マジックリアリズム”の魅力が全開

取り壊しの進む団地が突然漂流!日常から一気に不思議な世界へ
取り壊しの進む団地が突然漂流!日常から一気に不思議な世界へ[c]コロリド・ツインエンジンパートナーズ

スタジオコロリド作品の大きな特徴といえるのは“マジックリアリズム”と呼ばれる作風だ。物語の冒頭は観客と同じ日常から始まりながら、いつの間にか日常のなかに潜む非日常が混ざり合い、不思議な世界観が作りだされていく。森見登美彦の同名小説を原作にした『ペンギン・ハイウェイ』では、主人公のアオヤマ君の日常を描きながら、彼の住む郊外の街に突如として現れるペンギンや、森の奥の草原に透明な大きな球体“海”が浮かぶ魅力的な世界観が描かれていた。


最新作『雨を告げる漂流団地』における“マジックリアリズム”は、タイトルでも示されている通り「大海原を漂流する団地」によって表現されている。海に浮かぶ団地の姿はさながら大きな船のようだが、その光景はなんとも不思議で実にアイコニック。戦後の日本人の原風景として親しみのある団地を描きながら、窓から外を覗けば海という現実では決して見ることができない幻想的な風景は、いかにもスタジオコロリドらしいユニークな発想だ。

アニメ好きも映画好きも虜にする「スタジオコロリド」の魅力とは
アニメ好きも映画好きも虜にする「スタジオコロリド」の魅力とは[c]コロリド・ツインエンジンパートナーズ

メガホンをとった石田祐康監督は「きっと誰にでもある大切な場所は往々にして他人にとっては他人事。でもだからこそ“自分だけの特別な体験”がそこにあったはず。そういう個人的な体験を他人に伝えるのは難しいことですが、そこから飛び出てくる熱量を前にすると、せめて自分だけでも信じてやれないものかとなって…。この映画はそういうことを信じた結果、タイトルにしてしまうほど団地に思いを寄せた作品となりました」と“団地”への想いを述懐。

みずみずしいタッチで描かれる、日常でもファンタジーでもない世界観に、きっと誰もが心ときめくことだろう。

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